《冷たい部長の甘い素顔【完】》第61話 してる

日も傾きかけた夕方、16時。

ホテルでのひと騒から帰宅すると、將軍さんは、玄関のドアを閉めるなり、ぎゅっと私を抱きしめた。

「爽、してる……

世界中の誰よりも、俺が1番爽を……」

將軍さんの聲が、今まで聞いたことないような、切なく絞り出すような聲だったから、こちらまで切なく苦しくなる。

「私も、將軍さんが好き。

將軍さんだけをしてる……」

私は、將軍さんの背中に腕を回して、その溫もりをじる。

きっと、將軍さんにも嫌な思いをさせたんだよね?

將軍さん、ごめんね。

私は、その謝罪の言葉を口にすることなく、ただその思いが伝わることを祈って、ギュッと強く抱きしめる。

口に出せば、きっと將軍さんのことだから、また、私は悪くないって言うに決まってるから。

そのあとすぐに將軍さんは急に重ねる。

いつもの優しいキスじゃない。

熱に浮かされたように、あっという間に深くなる。

まるで、私がここにいるのを確かめるように……

誰にも渡さないと言わんばかりに……

私も將軍さんの思いに応えたい。

私は、將軍さんのものだと伝わるように……

の隙間から忍び込んだ將軍さんの舌に、自分のそれを絡ませ、思いを伝える。

そうしていると、自分の奧に熱が燈るのをじる。

キスだけじゃ足りない。

將軍さんがしい。

でも、そんなこと自分からは言えなくて……

すると、將軍さんのが離れていく。

やだ……

「お願い……、もっと……」

思わず、そうおねだりをすると、將軍さんは、くすりと笑った。

「俺も。

だから、続きはベッドで」

そう言ったかと思うと、屈んだ將軍さんは、私の膝裏に手をれて、スッと抱き上げた。

「えっ!?」

これ、お姫様抱っこ!?

私は、慌てて將軍さんの首に抱きついて摑まる。

「あの、將軍さん!

私、重いから!

下ろして……」

私は、目の前にある將軍さんの顔を見つめながら、訴える。

「大丈夫!

爽は軽いよ。

俺の寶だから、大切に運ばないとな」

そう微笑む將軍さんは、もういつもの優しい將軍さんだ。

「でも……」

「それとも、爽は俺の腕の中はいや?」

そんなはずない。

私は、首を橫に振って答える。

「なら、良かった。

このまま、ずっと俺のものでいて」

そう言うと、私を抱え直して、そのまま寢室へと向かう。

もしかして、將軍さんも私をしいと思ってくれた?

何よりそれが嬉しい。

將軍さんは、私をベッドに橫たえると、上から覆いかぶさるように、再びを重ねる。

一瞬で深くなり、舌と唾を絡ませ、互いの熱を換する。

私たちは、互いを求め合い、自が相手のものだと伝え合う。

そう、私には、將軍さんしかいない。

今までの人生は、きっと將軍さんに出會うためにあったんだと思う。

だから、もう、將軍さんだけいてくれれば、それでいい。

いつの間にか、すっかり日も暮れた20時。

私たちは、遅めの夕食をとる。

晝に食べ過ぎた分は、2人で仲良く戯れて運したから、どこかへ行ってしまった。

2人で簡単に料理をして、軽く食べ、そして、食後は、また仲良くそのカロリーを消費する。

いくら求めても、求めたりないなんてこと、生まれて初めて。

私、いつからこんなふうになったんだろう。

將軍さん……

してる……

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