《冷たい部長の甘い素顔【完】》第70話 式場巡り

それから、休みのたびに式場を回るようになった。

式場では、まず日程を聞かれる。

「挙式は、いつ頃をご予定ですか?」

何も考えていなかった私たちは、顔を見合わせて首を傾げる。

「決めてません」

と私が答えると、將軍さんは、

「出來るだけ早く」

と付け加える。

そんなに急がなくてもいいのに…とも思うけれど、將軍さんは、

「爽と1日でも早くちゃんと結婚して、一緒に暮らしたい」

と言う。

私は心の中で、

なんで、今の狀態で、一緒に暮らしてないと思うの!?

と突っ込んでみるけれど、それは將軍さんには緒。

そうして、何軒かの式場を回るけれど、たいていの式場で、土日祝日は、半年先くらいまで埋まってると言われてしまう。

逆に、今すぐ、1〜2月は閑散期なので、空いてはいるけど、それだといろんな準備が間に合わないらしい。

招待狀を用意したり、裝を決めたり、引き出を決めたり、やることはたくさんある。

ということで、最短でも3月後半と説明をけたんだけど、殘念ながら、3月後半からは、繁忙期にるらしく、どこもスケジュールが埋まっているらしい。

代わりにジューンブライドが終わる7月からは、再び閑散期にるので、空いてるとのこと。

私は、何もそんな暑い中でやらなくても、次の秋でもいいと思うんだけどなぁ。

そんな中、ある式場から將軍さんに電話がった。

「実は、3月21日にキャンセルが出ましたので、いかがかと思いまして……」

將軍さんは、即座に仮押さえをして、私に尋ねる。

「爽、誕生日に結婚しないか?」

そう、3月21日は、私の誕生日。

「大丈夫?

準備、間に合うかな?」

一抹の不安がをよぎる。

「それは、なんとかする。

日程を決めて招待狀を出してしまえば、後はなんとかなるはず」

うーん、そうかもしれないけど……

「ちなみに、將軍さんは、結婚記念日を忘れない自信ある?」

「ん?」

將軍さんは、不思議そうに首を傾げる。

「あのね、誕生日に結婚するのは、いいの。

ただね、誕生日と結婚記念日が一緒だと、もし忘れられたら、両方忘れるってことでしょ?

それは、寂しいなぁって思うの」

できれば、どちらも忘れてしくないから……

すると、將軍さんは私の頬にそっと手を添えた。

「俺が、爽の誕生日を忘れるわけないだろ。

しかも、祝日だぞ?

絶対忘れないよ」

嬉しい……

私は、その頬に添えられた溫もりに、自ら頬をすり寄せる。

こうして、私たちの結婚式は、私の誕生日に決定した。

けれど、それからが大変だった。

決めることは山のようにあり、でも、休みは限られていて、なかなか思うように準備が進まない。

それでも、それを2人で一緒に乗り越えることで、本の夫婦になれるのかもしれないという気もして、私たちはああでもない、こうでもないと言い合いながら、準備を進めた。

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