《冷たい部長の甘い素顔【完】》將軍編 第5話 合コンの理由

とは、やはり2人きりで話したい。

そう思った俺は、いつも世話になっている店員を呼んで、個室を用意してもらった。

個室で2人きりになると、やはり張する。

それでも、俺は、一杯の虛勢を張って、平然と彼の希を尋ねる。

「食べたい、あるか?」

「よく分からないから、お任せします。

……あ! 

でも、鴨、食べたいです。

それから、納豆は苦手です」

は、怖ものおじすることなく、ハキハキと答える。

「くくっ

お前、お任せって言っておきながら、はっきりしてるなぁ。

お前の辭書に遠慮って言葉はないんだろ?」

その、変に建前で遠慮しないところが、いいところでもあるんだけど。

「えぇ!?

失禮な!

私だって、必要な時は遠慮しますよ」

へぇ……

そんな風には見えないけど……

「必要な時?」

「相手が、年下だったり、お金持ってなさそうだったり……」

くくっ

そういうことか……

「つまり、俺は、年上で、金を持ってそうだと思われてるって事だな」

「ピンポン!

正解です!」

ピンポンって……

ほんとに全く壁がないな。

「くくく

卻って清々しい位に気持ちがいいな」

気持ちいいけど、それはいいことなのか?

いいカモだと思われてるわけじゃないのか?

それでも、彼は、悪評が定著している俺に対しても壁を作らないし、偏見の目で見ることもない。

たとえ、カモだと思われてるとしても、俺の中で、彼の特別がさらに膨らんでいく。

「で?

言い訳とやらを聞かせてもらおうか」

俺は、本題を切り出した。

俺が合コンの理由を聞くと、合コンに呼ばれる理由だけではなく、彼の中の合コンに參加する理由を語り始めた。

「実は私、8月に男に振られまして……

初めは、仕事に集中したいから…っていうよく分からない理由で振られたんですけど、8月末に友人の所に元カレから結婚式の招待狀が屆いたんです。

どうも、二かけた挙句、相手を妊娠させたらしくて……」

はぁ!?

なんだってそんなこと……

サイテーなやつだな。

「悔しいから、合コンで私だってモテるんだぞっていう事を自分で認識したいというか、いいだって自信を持ちたいというか……」

で自己肯定が落ちて、承認求を合コンで満たしてたってことか。

しかし、それ以上に、彼の失の理由を聞いて、相手の男に対する怒りがふつふつと沸き起こる。

「だけど、もうはこりごりだから、相手がデートにってくれたら、それをお斷りして、さよならにしてるんです。

私の中では、もう、一生獨の決意をしましたから……」

えっ?

一生獨!?

聞き捨てならない臺詞に、俺の中の思考が、一瞬、固まる。

「だから、一生獨のつもりでいるのに、男漁りをしてると思われてるのは、心外というか、納得がいかないので、言い訳をさせていただきたかったんです」

尊厳って言ってたのは、そういうことか……

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