《冷たい部長の甘い素顔【完】》その後 第12話 予定日は

・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・

7月30日 火曜日

・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・

翌日、私は通院のためと會社に連絡をれて、有休を取った。

私は、車で迎えに來てくれた母と、病院に向かう。

「爽、調は? ちゃんとご飯食べられてる?」

運転席の母が、尋ねる。

「うーん、ここのところ、仕事でちょっとむかつくことがあったから、食不振なんだと思ってたんだけど、もしかしたら、実はつわりだったのかも」

食べたかったのは、よく聞くレモンやグレープフルーツじゃなくて、トマトだったけど。

「そう。まぁ、無理に食べても、つわりなら戻しちゃうから、食べられるものを食べられる時に食べなさい」

出産経験のある母の意見は、なんだか重みがあるなぁ。

病院で、初めてエコー検査をけた。

小さな小さな赤ちゃん。

はっきり言って、まだよく分からない畫像だけど、それでも、ここにちゃんと私と將軍さんの子がいるんだってことは、よく分かった。

Advertisement

「おめでとうございます。現在、妊娠2ヶ月、7週ですね。出産予定日は、3月24日頃です」

お醫者さんが、診察の後、説明をしてくれる。

出産予定日を聞いた私は、なんだか、わくわくした。

3日早く生まれたら、私と同じ誕生日で、私たちの結婚記念日がこの子の誕生日になるってことでしょ?

なんて素敵なプレゼントなの。

私は、そのまま次回の健診と分娩予約をして、病院をあとにした。

その日の夜。

將軍さんに電話したいなぁ。

でも、きっと現地で接待をけてたりするよね。

西野さんも一緒に……

考えまいとしても、西野さんと同じホテルに泊まってるっていうのは、やはり釈然としないものがある。

なんで、結婚してるのに、將軍さんに手を出そうとするの?

そんな暇あったら、自分の旦那様とさっさと仲直りすればいいのに……

西野さんだって、大好きな人と結婚したんだと思うんだけど、なんで別居しちゃったのかな。

私だったら、將軍さんと別居なんて考えたくもないんだけど。

そんなことを思ってると、攜帯が鳴った。

えっ!? 將軍さん!?

だって、まだ9時……

現地では、7時ってことだよね?

早くない?

そんなことを思いながらも、私は電話に出る。

「もしもし?」

『爽? 俺』

ほんとに將軍さんだ。

「うん、お疲れ様」

いつも、面と向かって話してるから、電話だと何を話していいのか、ちょっと戸ってしまう。

思えば、付き合い始めて10日後には、將軍さんに強引に同棲狀態にさせられたから、ほとんど電話ってしたことないのよね。

「將軍さん、すごく早いけど、お仕事はいいの?」

私は、心配になって尋ねた。

『當たり前だろ。仕事なんて、夕方には終わるもんだよ。その後の食事なんて、別に強制されて一緒に食べるもんじゃない。今日は、爽に電話しなきゃいけないからって言って、斷って帰ってきたんだ』

いつもなら、將軍さんは、それでも仕事上のお付き合いをないがしろにしたりはしないのに、私を優先してくれたことが嬉しい。

『今日、病院に行ったんだろ? どうだった?』

「うん、異常なしだって。でね、予定日は3月24日だって」

私は、意気揚々と將軍さんに報告をする。

『そうか。爽の誕生日と近いな。同じ誕生日だと、なんだか運命的なじがするな』

將軍さんも気付いてくれたんだ。

しかも、なんだか、聲が楽しそう。

「うん。そしたら、2人分の誕生日と結婚記念日のお祝いとで、すっごくおめでたい日になるね」

なんだか、想像するだけで楽しくなる。

『そしたら、毎年、春に旅行に行ってもいいかもな。年度末だから、海外とかは無理だろうけど、一泊で溫泉とか、子供がし大きくなったら、遊園地とか』

將軍さんも話が盡きないみたい。

延々と2人で話をした後、將軍さんは、ポツリと言った。

『爽……、會いたい』

將軍さんの切ない聲に、が苦しくなる。

「私も……」

會えるものなら、今すぐにでも會いたい。

『ハハ、ダメだよな、責任者なのにこんなこと言ってちゃ』

將軍さんは、笑ってごまかすけれど、會いたいのは、私も同じ。

『とにかく、2週間、爽は、無理せず、に気をつけるんだぞ。部屋は、俺が帰るまで、散らかしたままでいいから』

「ふふっ」

將軍さんってば、一、何の心配をしてるんだか。

「大丈夫。出來ることだけ、のんびりやるね」

電話を切ると、部屋の中がすごく寂しくじる。

將軍さんがいるはずの席、將軍さんがくつろいでるはずのソファー、將軍さんが眠るはずのベッド。

早く2週間、経たないかな……

    人が読んでいる<冷たい部長の甘い素顔【完】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください