《冷たい部長の甘い素顔【完】》その後 第15話 永遠に
エレベーターのドアが開くと、將軍さんは、右手にキャリーケース、左手に私の手を握りしめて、エレベーターを降りる。
玄関を開け、中にると、靴をぐ間もなく、三和土たたきでそのまま再びくちづけられる。
「ん…… ふ……」
將軍さんの腕に包まれて、將軍さんに求められる覚が嬉しい。
「爽、いい?」
將軍さんに尋ねられて、私は無言で將軍さんに抱きつく。
私は、將軍さんのに顔を埋うずめ、將軍さんからは顔が見えないようにして、小聲で
「うん……」
と答えた。
私たちは、明るい朝日が差し込む寢室へと移し、我を忘れて互いを求め合う。
いつもなら、明るいと恥ずかしくて仕方ないのに、それすら気する余裕もない。
それほど、私も將軍さんをしていたのかもしれない。
2週間の寂しさを埋めるように、互いを求めた私たちは、十分な充電を終え、その溫もりの中でまどろむ。
「そういえば……」
私は、將軍さんの腕枕に頭を預けながら、ふと思い出す。
「なんか、西野さん、じが変わらなかった?」
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前は、將軍さんを狙う豹のようにじたのに、今日はなんだか、しサバサバした印象をけた。
「ん? ああ……
あれかな? 2週間、爽をことを自慢しまくってたら、呆れたのかもな」
えっ? それって……
「もしかして、のろけって言うんじゃないの?」
それは、嬉しいより、恥ずかしいの方が勝るかも。
「事実だから、いいんだよ」
將軍さんは、全く悪びれる様子もない。
もう……
どんな事実を言ったんだか……
「事実でもなんでも、普通、取引先のにそんなこと言わないでしょ?」
私がそう言うと、將軍さんは悪びれもせずに答える。
「向こうも普通じゃないから、これくらいでちょうどいいんだよ」
えっ?
「普通じゃないって?」
もしかして、向こうで何かされたの!?
將軍さんがいない間の心配が、によみがえる。
「普通、取引先の既婚男にあんなあからさまなモーションかけないだろ。人なんだから、放っておいても男は寄ってくるだろうに」
將軍さんは、呆れたように言う。
「遠回しに、その気がないことを伝えても通じないし、取引先だから、あからさまに嫌われるような態度を取るわけにもいかなくて……。
だから、延々と2週間、爽の自慢話を聞かせてやったら、それ以上、寄って來なくなったよ」
將軍さんは得意げに言うけど、それって男として殘念な人だと思われたってことじゃないの?
西野さんに取られなかったのは、すごく嬉しいけど、でも、大好きな將軍さんが、殘念な男に見られるのは、なんだか釈然としない。
「西野さん、これから、どうするのかな?」
旦那さまと仲直りできれば、いいんだけど……
「さあ。彼は、あのままじゃないか? ダンナが浮気したらしいし」
「えっ?」
今、將軍さん、さらっとすごいこと言わなかった?
「ああ、爽は知らないよな。あの人、浮気されて、別居してるんだよ。しかも、相手はごく普通のルックスらしい」
將軍さんは、事もなげに語る。
「なんで、將軍さんが知ってるの?」
この2週間で、そんな話までしたの?
「帰りの飛行機で愚癡ってたよ。自分より人なら仕方ないけど、そうじゃない相手にとられたって」
はぁ……
他人事ながら、ため息が出る。
「それは西野さんが、ルックスでしか人を判斷しないからなんじゃないの? きっとその浮気相手には、ルックスだけじゃない魅力があったんだろうし……」
浮気した旦那さんを擁護する日が來るとは思わなかった。
「だよな。だから、俺も言ってやったよ。結婚する時、ちゃんと相手の中を見て、中に惚れたのか?って。どうやら、人だから寄ってくる男の中で、1番見た目のいい男を選んだらしい。結婚前はチヤホヤしてくれたのに、結婚したら、普通の奧さん扱いされたって、変な怒り方してたよ」
それは……
將軍さんが思われた以上に、殘念な人なんじゃ……
「爽みたいに中も極上の相手と結婚できた俺は、ほんと、幸せなんだと思ったよ」
そう言って將軍さんは、優しく私の頭をでる。
私なんて、外見も中もごく普通なのに、そんなふうに言ってくれるなんて、ほんと、いい旦那さまと結婚したなぁ。
きっと、このまま春になれば、いいパパになってくれるに違いないよね。
私は、幸せな気分で將軍さんにぴったりと寄り添う。
どうか、この幸せが、このまま永遠に続きますように……
─── その後 Fin. ───
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
他サイトにて、続編の要が多く、『將軍編』・『その後』を加筆しましたが、ひとまず、ここで締めさせていただきます。
春に生まれる爽の子供が、男の子なのか、の子なのか、2人がどんな親になるのか、想像してやってください。
想・コメント・さらなる続編リクエストなど、楽しみにお待ちしております。
お気軽にひとこと呟いてくださいね。
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