《【完結】苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族~》第2章 キス、プレゼント、ランド!?(7)ランドへ、ゴー!

翌日はこれでもかってくらい晴天だった。

「で、これを著けるんですか」

「當たり前だろ」

園と同時に、仁はコネインを模したうさ耳カチューシャを買ってきた。

「わかりましたよ……。

……ぷっ」

渋々、あたまにカチューシャをのせる。

同じくあたまにのせた仁を見て、思わず吹き出した。

「似合わな……」

笑いを堪えるのに肩がぷるぷるる震えてしまう。

「笑うことないだろ」

例のごとく仁が眼鏡を押し上げる。

自分でも自覚があるようだ。

「ほら、寫真撮るぞ」

お城をバックに、仁が私の肩を抱き寄せて自撮りモードでカメラをかまえる。

「えっ、本気ですか!?」

「撮るだろ、普通。

はい、チーズ」

顔を作る余裕もなく、仁がシャッターを押す。

「ほら」

見せられた畫面の中には、珍しく笑った仁と、驚いた顔をした私が寫っていた。

「……不意打ち、狡い」

「今日はたくさん、寫真を撮るつもりだからいいだろ」

私の手を摑み、仁は歩きだす。

「効率的にアトラクションを回る順番や、買い食いスポット、パレードを見る場所など全部調べてある。

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行くぞ」

「はい」

それでここ二、三日、話しかけても上の空のことが多かったんだ。

真面目な仁らしい。

仁のプランに沿ってアトラクションを回る。

「想定外の待ち時間だ」

「いいじゃないですか、待ちましょう」

自分の計畫外の待ち時間を仁は嘆いているが、そんなことがあるのがテーマパークの醍醐味ってもんだよね。

は渇いてないか?」

今日は夏日なだけあって、仁はちょこちょこ私の調を心配してくれた。

「大丈夫ですよ。

さっき水、飲んだばかりですから」

「乾いたと思ったときに飲んでも遅いからな。

こまめに取れよ」

待ち時間も、なるべく私が日になるようにしてくれた。

こういうのは本當、格好いい兄だ。

「……ねえ」

「……うん」

し離れたところから、こそこそと話すの聲が聞こえてくる。

ずっと、そう。

仁が歩くと周りのの目を奪った。

「……」

私のあたまの上で、攜帯を作している仁をちらり。

白のパンツにボーダーのTシャツ、それに黒の麻ジャケットを羽織って袖捲りし、スニーカーを履きこなす仁は、まるでモデルのようだ。

その一方で私は、デニムのショートパンツに、しだけ見栄えがよさそうな白のフリルシャツ、それにスニーカーとまるで大學生みたいな格好。

さらに地味顔で全く仁と釣り合っていない。

「どうかしたのか?」

視線に気づいたのか、仁がしだけ首を傾げて訊いてくる。

「いえ、なにも」

笑って誤魔化して、視線を外した。

心の中ではぁっとため息。

兄妹だからって仁は私を連れていて恥ずかしくないんだろうか。

私はこんな格好いい人の橫にいる、イケていない自分が恥ずかしい。

仁はその後も、私の気持ちになど気づかずにパークの中を私を連れて歩いた。

「休憩、するか。

なんか買ってくるからちょっと待ってろ」

私をベンチに座らせ、仁はひとりで行ってしまった。

うさ耳をつけてはしゃいでいる自分すらいたたまれなくて、カチューシャを外す。

「涼夏」

しして、仁が戻ってきた。

彼の移と共に視線も移する。

けれどその先に待っているのが私だと知って、全員があきらかにがっかりしていた。

「疲れたのか」

飲みを渡しながら、仁はその眼鏡の下の眉を寄せた。

「疲れたなら、帰るか。

まだ來たばかりだが、涼夏の方が心配だ」

ブラウナランドのこと隅から隅まで調べるほど、楽しみにしていた彼にこんな気を遣わせている自分がけない。

「大丈夫、なので。

疲れてなんかない、し」

恥ずかしくて顔が上げられない。

俯いたまま、仁の袖を摑んだ。

「でも、無理しない方がいい。

も心なしか悪い気が……」

「仁は」

彼の優しさに縋るように、ぽろりと言葉が落ちた。

「ん?」

「仁は私といて、恥ずかしくないんですか!?」

腕を強く摑み、顔を勢いよく上げる。

見上げた仁は、レンズの大きさいっぱいいっぱいに目を見開いていた。

「なんでだ?」

を下げ、私を安心させるように仁が優しく笑いかける。

「涼夏は僕の可い妹だ。

なのに恥ずかしいなんてことがあるわけがない」

傍らに置いていたうさ耳カチューシャを取り、仁は私のあたまにのせた。

「そんなことを気にしていたのか、涼夏は。

馬鹿だな」

仁の顔が近づいてきて、あれ? とか思っていたら額にらかいものがれた。

「……人前で」

「ん?」

「人前でそんなこと、しないでくださーい!」

まるで熱中癥にでもなったかのように、が一気に熱を持つ。

「別に兄妹なんだからいいだろ」

「よくない!」

の熱を冷ますように、カップの蓋を取って氷ごと流し込む。

でもおかげで、さっきまでの悩みは掻き消えた。

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