《【完結】苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族~》最終章 社長、婚約者、結婚!?(1)新婚の母
プリンパーティの翌日の日曜、私と仁は八雲社長に呼びだされていた。
「……」
車を運転する仁はずっと無言。
今朝はおはようのキスもなかった。
「あの、ですね」
「……」
やっぱり、黙ったままの仁に心の中でため息をつく。
なんでそんなに、怒っているんだろう。
私が仮に千里部長と付き合っていたとしても、仁になにか不都合があるとは思えない。
「私が千里部長と付き合うとかありえないので。
その、私は、……恐怖癥、みたいなものなので」
「涼夏?」
心配そうな仁の聲に、機嫌はしは直ったのかと安心した。
俯いたまま、顔も上げずに先を続ける。
「私の父は若いを作って、家から私と母を追い出しました。
好きな人ができた、もうお前はしてない、って」
あのとき、母はずっと困ったように笑っていた。
仕方ないわね、って。
父は母がお人好しなのをいいことに、酷い言葉を私の前でも投げつけていた。
きっと、い私にはわからないと思っていたんだろうけど、言葉の端々から、母を馬鹿にしていたのはわかる。
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「父と母は好きあって結婚したはずなんです。
なのにあんな酷いこと。
私は母のようなつらい思いはしたくない。
だから、は嫌なんです」
ずっと避けていたはずなのだ。
なのにいま、仁を好きになっている自分がいる。
好きという気持ちが、こんなに自分の思い通りにならないものだとは思わなかった。
でも私はこれを――封じ込める。
「そう、か」
「はい」
顔を上げて真っ直ぐに前を見た。
私の決斷は間違っていない。
私はずっと、仁の妹でいる。
「わかった。
涼夏は苦労、したんだな」
仁の聲が、ずっとらかい。
視線を向けると、ちらっとこちらを見た仁と目があった。
目が下がって眼鏡の影に笑い皺がのぞく。
ああ、やっぱりこの人が好きだ。
でもこの気持ちは誰にも知られてはいけない。
仁にも――私自にすら。
八雲社長宅――仁の実家はやはり高級住宅地の中にあった。
「大きいですね……」
周りのお宅もすでに一般住宅地に比べれば十分大きいのだが、八雲社長宅はさらに大きい。
「涼夏」
ぽけっと車を降りてお屋敷を――うん、もう家というよりお屋敷規模の建を見上げていたら、玄関をろうとしていた仁から聲をかけられた。
「あっ、はい!」
まるで田舎者、というか一般庶民丸出しで恥ずかしい。
「仁さん、涼夏、いらっしゃい」
玄関では母が出迎えてくれた。
母はあのあとすぐに籍をれ、八雲社長宅へと引っ越している。
「こんにちは、有希さん」
挨拶をした仁は、母にキス……などしなかった。
私には挨拶のキスは普通だってあんなにするのに。
「晝食の準備ができているの」
私たちを食堂に案する母は仕立てのいい服を著ているせいか、もうすでにセレブマダムに見える。
母は気立ても見た目もいいのだ。
別れた父のような男と結婚したのがそもそもの間違いでしかない。
「父さん、ただいま」
「お、おじゃまします」
食堂にはすでに、八雲社長が待っていた。
ポロシャツにチノパンというラフな格好ながら、ダンディさが引き立つ。
「よく來たな。
まずは食事にしよう」
「さあ、召し上がって」
テーブルの上にはちらし壽司をメインに、サラダやローストビーフがのっている。
さらに私たちが席に著くのと同時に、茶碗蒸しとお吸いも出てきた。
「お口に合うといいんだけど」
母はずっと、八雲社長が食べるのを気にしている。
今日の料理は母が作ったんだろうか。
「うん、うまい」
一口食べた八雲社長はにっこりと、母へ微笑みかけた。
「よかった!」
途端に、母の顔もぱーっと輝く。
「別に味など気にすることはない。
有希が作ったものならなんでもうまい」
「えっ、そんな……」
母が赤くなった頬を押さえてもじもじしているのは……その。
見ているこっちが恥ずかしくなってきます!
「仁もうまいものを食べさせてもらっているんだろ?
最近は顔がいい」
社長としてもやはり、仁の食生活は心配だったんだろうか。
「まあ……ええ……」
歯切れ悪く返事をしながら、仁は眼鏡を上げた。
「涼夏さんにも謝している。
仁はあのとおり、生活が破綻しているだろう?
お手數かけるとは思うが、面倒見てやってくれ」
「えっ、あたまを上げてください、八雲社長!」
社長にあたまを下げられ、慌ててしまう。
もしかして社長は、最初からそれが狙いで私を仁と同居させた……なんてことはないと思いたい。
「いや、さっさと結婚してくれればその心配もなくなるんだろうが、相手は留學中でまだあと一年は戻ってこないというし。
それまではよろしく頼む」
「は、はい」
仁とああやって一緒に暮らせるのは、あと一年なんだ。
急に背筋がすーっと寒くなっていく。
また、ひとりになるのが怖くて。
前はひとりでも淋しくなかったのに。
「さっきから面倒見てくれとかよろしく頼むとか。
僕の方が兄なんだが」
はぁっと呆れるように仁がため息をつき、笑いが起きる。
だって仁、頼りないんだもん、実生活だと。
「それにしても家で、しかもプライベートで社長と呼ばれるのはあまり好きじゃない。
お父さんと呼べとは言わないがせめて、名前で呼んでくれないだろうか」
こほんと小さく咳払いした社長が、おずおずと提案してきた。
――耳を真っ赤にして。
こんなところは親子なんだな。
「はい。
じゃあ、い、……巌、さん」
「うん」
ふぅーっ、と深く深呼吸し、社長は笑って頷いた。
母はこんな人に見初められて、本當に幸せだ。
もしも変わってしまうなら
第二の詩集です。
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