《【完結】苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族~》最終章 社長、婚約者、結婚!?(7)……誓う、から
言われていったレストランで案された個室にはすでに、仁が來ていた。
「……帰る」
短くそれだけ言って、仁が立ち上がる。
まだ仁は怒っているのだとが苦しい。
けれど私は咲夜子さんと約束したのだ。
「待って、ください」
手を摑んだら、仁は止まった。
「私の話を、聞いて、ください。
……聞くだけで、いいから」
「……」
ゆっくりと震える手を離すと、仁は無言で椅子に座り直した。
ふたりが揃い、すでに注文してあったのか料理が出てきはじめる。
話さなきゃ、わかっているのにどう切りだしていいのかタイミングが摑めない。
ぐずぐず迷っているうちにオードブルを食べ終わる。
「……私は。
仁が」
次の料理が出てくるまでの間に震えるで必死に言葉を紡ぎだす。
「仁が。
仁が……」
「ズッキーニのポタージュでございます」
肝心の言葉は出てこないまま、次の料理が出てきた。
やはり無言でスープを食べる。
言えない時間はどんどん気持ちを後ろ向きへしていった。
このまま言わない方がいいんじゃないか、そんな考えさえ浮かんでくる。
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「あのマンションには涼夏が住めばいい。
僕は別のところを探す。
最初からそうするべきだったんだ」
しびれを切らしたのか、とうとう仁の方から話しはじめた。
「後悔、しているのですか」
視線のあった仁が、レンズの奧で私から目を逸らす。
「……ああ」
「……」
俯いてきつくを噛んだ。
これでますます、私の気持ちを伝えられなくなった。
そのあと食べたものの味なんて覚えていない。
ただ、こんなところで泣くなんてみっともないことはできなくて、ひたすら耐えていた。
「じゃあ、そういうことで」
デザートも食べずに仁が立ち上がる。
ここで別れたらきっと、二度と普通に話せない。
妹にも戻れなくなる。
「……好き」
立ち去りかけていた足音が、ピタッと止まった。
「仁が好き、だから……!」
一度出てきた言葉は止まらずにこぼれ落ちていく。
「仁が好き。
仁が好きなの。
妹でいいから、嫌いにならないで……」
堪えていた涙が、一気に溢れてきた。
泣きやまなきゃとメイクが崩れるのも気にせずに顔を拭う。
けれど涙は止まる気配がない。
「……わかった」
ひっく、ひっくといつまでも泣きじゃくる私を、仁が立たせた。
「とりあえず、出よう」
仁に抱き抱えられるようにして、レストランを出た。
乗ったエレベーターは高層レストランよりもさらに登っていく。
連れていかれた部屋はスイートルームで、きっと昨日から泊まっているところなのだろう。
「悪かった」
部屋にった途端、仁からタオルでゴシゴシと顔をられた。
「こんなに泣かせるつもりはなかったんだ」
気が済んだのか、タオルを置いてそっと仁の手が私の頬にれる。
眼鏡の下で眉を八の字にして困っている仁を見ていたら、せっかく拭ってもらったのにまた涙が出てきた。
「仁が好き」
「うん」
仁が私を抱き締める。
私を包み込む、仁の匂い。
「でも妹でいいんです。
妹だったら、仁と別れないですむから」
仁には咲夜子さんって婚約者がいる。
それにはいつか、必ず終わる。
だからきっと、これが正解。
「涼夏は本當に、それでいいのか」
私の顔を両手で挾み、仁の親指が涙を拭う。
私を真っ直ぐに見つめる、レンズの向こうの瞳には本當の気持ちが知りたいと書いてある。
「……怖い」
口を突いて出たのはきっと、私の知らない私の気持ち。
「これ以上、仁を好きになるのが怖いんです。
咲夜子さんと結婚しないで、ずっと私の傍にいてほしい。
でもずっととか永遠とかないって私は知っているから……」
結婚したのに別れた両親。
結婚式で神様に永遠のを誓ったはずなのに。
「なら、僕に約束させればいい」
外そうとした視線を、仁が引き戻す。
「約束……?」
「そうだ。
ずっと自分の傍にいて自分以外の誰のものにもならないで。
そう、僕に約束させればいい」
「仁、なにを言って……」
仁には咲夜子さんがいて、なのに私のものにとか言えるはずがない。
それに、仁の気持ちだって。
「僕は涼夏をしている。
妹として出會う前からずっと」
ぐっ、とまた、私を抱き締めた、仁の心臓の鼓は驚くほど速い。
「僕には婚約者がいる、妹でも家族になれただけいいじゃないかと無理に自分に言い聞かせた。
が怖いと聞いてから、妹でいてくれたらいいと思っていた。
……でも」
言葉を切った仁の手が、私の頬をでる。
「もう、妹だなんて思えない」
ゆっくりと仁の顔が傾きながら近づいてきてが私のに……れた。
「涼夏をしている。
僕は涼夏だけのものだ。
絶対に他の誰かのものになったりしない」
再びが重なり、を割って舌がってくる。
している、僕を信じろ。
仁の気持ちが私の中に満ちて、不安を追い出していった。
「……誓う、から」
私を真っ直ぐに見る、眼鏡の奧の瞳に噓はない。
こつん、と彼のに甘えるように額をつけた。
「はい」
大丈夫、きっとこの人なら。
それに新しいに踏み出した母は、あんなに幸せそうだった。
だから、不安にならなくて大丈夫――。
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