《同期の曹司様は浮気がお嫌い》12
曹司に政略結婚の話があることは想像がつく。それなのに私は都合よく優磨くんは私との未來を當たり前に考えてくれると思い込んでいた。
優磨くんはずっと待っていてくれるの? こんな私を? 優磨くんにたくさん迷をかけているのに……。
私がいつまでもフラフラしている間に優磨くんは違う誰かと結婚させられてしまうのだろうか。また私は大好きな人を失うの? 
もう嫌だ。何も考えたくない。車の揺れが気持ち悪い……お酒が回って眠い……もう限界……。
そこからは意識が途切れ途切れになる。
車から降りてを支えられながらエレベーターに乗った気がする。立っていることが辛いから玄関で座ったら優磨くんが靴をがせてくれた。
がすごく熱い。今すぐ服をぎたい。
優磨くんが驚いたような聲を出す。視界が霞む中、優磨くんも熱いだろうと思ってスーツをがせようとする。
「波瑠! ちょっと待って!」
焦っている聲も怒っている聲も、優磨くんのならどんな聲音でも大好き。それを伝えたくてひたすら「大好き」と呟いた。
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に纏わりつく布を取ったら床につく背中がひんやりして気持ちいい。いつの間にか優磨くんも服をいでいて、私の首やにキスをする。が直接れ合うところは溫かくて、繋がった下半は私と優磨くんのの境目が曖昧になる。
一定の間隔でを揺すられてプツリと意識が途切れた。
「波瑠……波瑠!」
肩を軽く叩かれて目を開けた。
「波瑠、起きて」
優磨くんの聲のした方に顔を向けると、シャツを著ながら私を見下ろしている。
「ん……おはよう……頭痛い……」
頭がズキズキと痛む。も乾いていた。
を起こそうと布団をめくると自分がなことに気がついた。
「あれ? 何で?」
「昨日の夜の自分の行を覚えてないの?」
ベッドの端に腰かけた優磨くんは呆れた顔で私を見ている。
「えっと……優磨くんと食事して、泉さんが迎えに來てくれたような気がする……」
「それから?」
「……思い出せない」
とにかく頭が痛い。どうしてこうなったのだろう。
「思い出せないなら玄関からここまでにぎ捨てられた服を回収しながら思い出してね」
「え?」
「波瑠が昨夜どんなに酔ってたか思い知ってほしいよ。敢えて片づけないでそのままだから」
優磨くんはリビングに行ってしまったので、私はベッドから下りると服を探す。寢室には著ていたであろうパジャマや下著がない。戸いながら取り敢えず布をに巻く。
「服……服……」
頭を押さえながら廊下に行くと昨夜來ていた私の服と優磨くんのスーツが散っている。服だけじゃなくて靴は玄関に散し、下著もれて落ちている。
「優磨くん……何があったの?」
「まだ思い出さない? ってかその格好何?」
布をに巻きつけた姿に今更ながら恥心が湧く。
「まだ酒が抜けてないみたいだね……」
「ごめんなさい……狀況が把握できない……」
「昨日家にった途端、波瑠が服をぎ始めたの」
「え!?」
「俺の服もがしたんだよ」
「ここで……?」
「ここで」
優磨くんは指先を床に向ける。その足元には私のショーツが落ちている。
「もしかして……ここでしてしまったの……?」
「まあそういうこと」
顔を真っ赤にする私とは反対に優磨くんは意地悪な顔をして笑う。
「これ見て」
自分のシャツの襟を広げて私に肩を見せる。そのには赤い痣がいくつもついている。
「それ……私が?」
「波瑠以外誰がいるの。あんなにれるなら、もう絶対俺がいないときは酒飲んじゃだめだから」
「本當にごめんなさい……」
これはもうひたすら謝るしかない。優磨くんに呆れられてしまう……。
「服著てきて。渡したいものがあるから」
「え? はい……」
言われるままクローゼットに行き服を著ると、リビングにいる優磨くんは何かを持って待っている。
「これは俺からのプレゼントだよ」
「え?」
「腕出して」
優磨くんの前に腕を差し出すと手首に時計をはめられる。それはホワイトセラミックの時計だった。ローマ數字が刻まれた文字盤にはクリスタルガラスが嵌め込まれている。
「素敵……」
思わず聲に出てしまうほど上品なデザインだ。
「その時計なら仕事にもプライベートにも使える。新しい仕事が決まったらそれを著けてほしい」
「ありがとう……」
激で涙目を見られないよう下を向く。プレゼントなんて予想外だ。
「優磨くんに與えてもらってばかり……」
け止めきれないほどの気持ちに申し訳なくなる。
「俺は與えてばかりでもないよ」
優磨くんが私を抱きしめた。
「波瑠の気持ち、ちゃんとけ取ってるよ。特に昨夜はね」
そう耳元でいやらしく囁く。
「え……私何したの?」
「それは俺だけの」
含みを持って言うから不安になる。私は優磨くんに何をしたのだろう。
「覚えてないならもう一度波瑠を抱いてもいい? 帰ってきてから覚えてないことを再現しようか?」
「ダメ……仕事でしょ?」
顎に手をかけてキスしようとする優磨くんの頬を両手で包む。
「今はダメだって。部長、お仕事でしょ」
「はーい」
殘念そうに返事をして離れていく優磨くんに笑いながらも寂しさを覚える。優磨くんが帰ってくるまでの時間が長い。
玄関までついて行って見送る。靴を履いた優磨くんは私を振り返った。
「波瑠」
「ん?」
優磨くんが目を瞑り顔を近づけるから、私は「もう」と呆れながらもを重ねた。
「いってくるね」
「いってらっしゃい」
優磨くんが出て行ってドアが閉まるまで手を振った。
ただただ甘くて幸せだった。優磨くんのそばで幸せに溺れてしまいそうだ。
一つだけはっきり覚えている記憶を都合よく頭の隅に追いやる。
他のに奪われてしまう前に、早く優磨くんの気持ちに応えられる私にならなければ。
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