《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom1 縁は異なもの味なもの……?【6】
飲み會が始まってから二時間、みんなはずっと盛り上がっている。一方で、私はこれからのことが不安で心底楽しむことはできず、化粧室に逃げ込んできた。
今は二十一時だし、まだお開きにはならないだろう。いつもは三次會まで繰り出すこともある。
普段なら最後まで參加するところだけれど、再就職先も家も決まらない今、遊んでいる場合じゃない。どちらかひとつでも、とにかく見つけなければいけない。
【ごめん、先に帰るね】
【悪いんだけど、お金はあとで返すから立て替えておいてほしい】
敦子にメッセージを送り、周囲を気にしつつ化粧室を出る。幸い、化粧室は私たちのテーブルから死角になっているから、鉢合わせない限りは誰にも見つからずに外に出られるだろう。予想通り、無事にお店を後にできた。
(よかった。聲もかけなかったのは申し訳ないけど、なんとなく言い出しづらい雰囲気だし、空気を壊すのも嫌だもん……)
みんなはしっかりとキャリアを積んでいたのに、私だけ無職で居候のなんて、本當はとても恥ずかしかった。勵ましてくれたけれど、いたたまれなかった。卑屈になりたくはないからこそ、このままあの場にいない方がいいと思ったのだ。
なによりも、これ以上は諏訪くんの隣にいるのがつらかった。夢を教え合ったとき、卒業するとき……。私を応援してくれていた彼にがっかりされたんじゃないかと、ずっと気がかりだったから。
もし容師を続けていたら、もっとを張って諏訪くんに會えたんだろうか。
男子が苦手だった私がをした、唯一の男の子。どうせ再會するのなら、せめてかっこ悪くない自分でいたかった。初の彼の記憶に殘るのは、不甲斐ない今の私よりも、あの頃のままの私の方がずっとよかった。
(……って、やめよう。卑屈になりたくないし、まだ退職して三ヶ月なんだから、これからもっと頑張ればいいんだよ)
自分自に言い聞かせるように心の中で唱え、必死に口角を上げる。
「ねぇ、ひとり? もしよかったら、これから飲みに行かない?」
直後、目の前に影ができ、顔を上げるとふたり組の男が立っていた。
「おお、めっちゃ可いじゃん」
「しかも、もいいじだし? 君、おっきいね~」
全を這い回るような視線に、肩がびくつく。無視して歩き出したいのに、全が強張って足がかない。
「俺ら、さっき振られちゃってさー。傷心中なわけよ。だから、めてくれない?」
両側から囲まれ、肩や腰に手が回される。
「ひっ……」
が震え始めた私からは引き攣った聲がれ、恐怖心に包まれて慄いた。
「あれ? 震えちゃってるよ」
怖い――。ただそれだけのに支配されていく。
「可い~!」
にれる息が恐怖心を煽り、得も言われぬ嫌悪を連れてくる。もう大丈夫だと思ったのに、嫌な記憶がフラッシュバックして悸がする。
「じゃあ、行こうか。悪いようにはしないからさ」
拒絶したいのに、はまったくかず、聲も出せない。周囲を行きう人はたくさんいるはずなのに、きっと私たちのことなんて眼中にないんだろう。
呼吸が上手くできないせいか、それとも恐怖心のせいか、視界が歪んでいった。
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