ブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom2 災い転じて同居が始まる【4】

我慢し切れなくなり、思い切ってスタイリストに相談したときには『ちやほやされて満更でもないんでしょ』と呆れたように笑われ、さらに絶した。インターンのときには優しかった同の先輩からの言葉にも、そんな風に思われていたことにも、大きく傷ついた。

同期は男スタッフひとりで、スタッフはみんな先輩だったこともあり、勇気を出して相談したのに……。その結果が、私をより追いつめた。

けれど、しずつ仕事を任せてもらえるようになっていた時期だったことが、私に退職という選択肢を失くさせた。

毎日、出勤するときには足が竦みそうになり、男スタイリストとふたりきりになるのが怖くて……。ときには悸がしたこともあった。平岡さんから不用意にられることが増えていくたび、スタッフからの風當たりも強くなり、どんどん居場所がなくなっていった。

ひとりだけ雑用を押しつけられ、夜遅くまでサービス殘業をした日は數え切れない。三年目でスタイリストとしてデビューできてもセクハラがなくなることはなく、いつの間にかパワハラまでひどくなっていた。

辭めようと思ったのは、一度や二度じゃなかった。それでも、ようやくスタイリストとしてデビューできたというのに、転職したらまたアシスタントから始めなければいけなくなる。

サロンにもよるけれど、スタイリストとしてデビューしたばかりの三年目の容師ではそれが普通だろう。それに、學生時代からずっと男から好奇の目を向けられてきたからこそ、どこに行っても同じことになるかもしれない……と思ったのもある。

だから、とにかく耐え抜こうと決めた。

事態が好転したのは、四年目の春。系列の店舗に異になり、ようやくこの環境から抜け出せるかもしれないとホッとした。そして、私の希を葉えるようにスタッフの多い店舗に配屬され、その一年間は平和に過ごせた。同僚との関係も良好で、働きやすい環境だった。

指名してくださるお客様も徐々に増え、ようやく容師として適切なスタートラインに立てたような気持ちになり、前向きに頑張ろうと思った。

ところが、翌年、またしても事態が悪い方へと転がってしまう。

店長だったスタイリストが壽退職し、平岡さんが新店長として配屬されたのだ。

そこからの一年は、地獄のようだった。

當時のフラッシュバックなのか、彼が配屬されて一週間もしないうちにひどい悸に悩まされ、一ヶ月後には単純なミスをするようになった。お客様と話していても容が記憶できず、次第に小さな失敗が増えていく。

このままではいけないと思うのに、ミスをするたびに閉店後に平岡さんからバックヤードに呼び出され、全に纏わりつくような視線の中で不要な接をされる。

秋になる頃には欠勤するようになり、當然ながら指名も減っていった。悔しくて悲しいのに、気力も力も湧いてこない。

心が折れたのをじて退職を申し出たところ、『今辭められたら俺の査定に響く』と怒鳴られ、『俺にられても本気で嫌がってなかったよな』と下品な笑みを返された。それが大きなきっかけとなって結局は容師を続けることはできず、最後には心療科で診斷書を取って病休を申請し、三月いっぱいでようやく退職したのだ――。

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