ブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom3 遠くの親類より再會した初の人?【1】

翌日のお晝どき、小さなカフェに現れた敦子を見た瞬間、縋るように口を開いた。

「どうしよう、敦子!」

不安いっぱいに訴えた私を余所に、彼は店員を呼び止めて注文すると、私に向き直ってにっこりと微笑んだ。

「どうもこうも、そのまま一緒に住めばいいでしょ。本人がいいって言ってるんだし、ラッキーじゃない」

昨夜、敦子からの電話で『寮はどう?』と訊かれて泣きついた私にも、彼はまったく同じことを言った。

それでも困していると、今日の敦子の晝休みに會うことになったのだ。

「もう荷も全部運んだんだし、レンタルスペースを借り続けるのも不経済だったし、仕事も家も一気に見つかってよかったでしょ?」

はあっけらかんと言い放ち、「これで私も一安心」と笑った。

「で、でも……同居だよ? 期間限定だからって、男の人となんて……」

「別に知らない相手じゃないし、志乃にとっては初の相手なんだから、むしろハッピーじゃない? このまま仲良くなって、本當に付き合っちゃうかもよ?」

「もう! 私は真面目に悩んで――」

「私だって真面目に言ってるの。志乃、せっかく男の人が苦手じゃなくなってきてたのに、あの最低な先輩のせいでまた男恐怖癥っぽくなってるでしょ? でも、あんな奴のせいで、このままずっともしないで生きていくなんて悔しいじゃない!」

「わ、私は別になんて……。それに、今は仕事のこととか考えなきゃいけないし」

「それはそれ! 志乃は可いし、格だっていいんだから、もったいないよ!」

力説する敦子が、私のことを心配してくれているのは充分わかっている。

「だから、手始めに初の相手と仲良くなってみれば? 他の男は無理でも、諏訪くんなら志乃も大丈夫みたいだし」

のことはともかく、確かに諏訪くんは怖くない。きっと、高校時代に優しくしてもらったことと、飲み會の日に助けてもらったことが大きな理由だろう。

とはいえ、それだけで同居をするなんて考えられない。

もっとも、敦子の言う通り、荷はすでにすべて運び込んでいる。彼が昨日のうちにレンタルスペースをもう一往復してくれることになり、私は言われるがままれてしまったのだ。

「それにほら、遠くの親類より再會した初の人、っていうか?」

「それを言うなら、『遠くの親類より近くの他人』でしょ」

「細かいことはいいの。とにかく、今は諏訪くんに甘えなよ。志乃、最近は平気そうにしてたけど、飲み會のときみたいに男に絡まれたらやっぱりが竦むんでしょ?」

「……うん」

「だったらなおのこと、信頼できる人に傍にいてもらった方がいいよ。私は引っ越すし、もしそうじゃなくても同士よりも防犯効果は高そうだもん」

は「ね?」と首を傾げ、優しく瞳を緩めた。

「別にずっと一緒に住むわけじゃないし、家が広いならある程度プライバシーも守られるだろうし。そんなに気負わずに甘えて、お禮にご飯でも作ってあげれば?」

志乃は料理が得意じゃん、と言われて、ようやく私からも小さな笑みが零れる。

諏訪くんはただの同級生だからこそ、ここまで親切にしてもらうわけにはいかないと思うけれど、幾分か気持ちが軽くなった。彼は今日、早く帰ってくると言っていた。敦子のアドバイス通り、夕食の支度をして待つことに決め、彼の晝休みが終わる前にお禮を言って別れた。

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