《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom3 遠くの親類より再會した初の人?【2】
諏訪くんの家の周辺を散策し、スーパーやドラッグストアを回った。
両手いっぱいの荷に息切れしながらもマンションにたどり著くと、コンシェルジュに出迎えられる。まだ慣れない狀況に張しつつも、スタッフから「おかえりなさいませ」と聲をかけられ、笑みを浮かべて會釈をした。コンシェルジュがどう聞いているのかは知らないけれど、出かけるときには『いってらっしゃいませ』と言われたから、私は住人ということになっているのだろうか。
高級低層レジデンスも、カードキーも、私には分不相応すぎて気後れしてしまう。
彼が『俺の寢室と書斎以外は好きに使って』と言ってくれた4LDKの室は、モデルハウスのように綺麗で広い。
優に二十帖は超えたリビングには、アイランド型のキッチンとフランスのインテリアブランドのテーブルセット、そしてL字型のソファが置かれている。家電量販店で見る中で一番大きなサイズほどのテレビは、アクション映畫を観れば迫力満點だろう。
グレー系で統一されたパウダールームにはダブルシンクが、バスルームにはゆったりと足をばせるバスタブが設置されていた。各部屋のクローゼットや玄関のシューズボックスも充分大きいのに、ウォークインクローゼットまである。
バルコニーに置かれたロッキングチェアでは、ときどき読書をしたりお酒を飲んだりしているのだとか。
諏訪くんが『使ってないから』と言った殘りの二部屋のうちの一室はがらんとしていたけれど、私が使わせてもらうことになった部屋はゲストルームのようだった。なにはともあれ、彼の生活環境は私の想像を遙かに超えている。昨日は『気兼ねせずにくつろいで』と微笑まれたものの、今はまだちっとも落ち著けそうにない。
ただ、外國のような広いキッチンは使ってみたかった。
(いきなり使わせてもらうのは気が引けるけど、諏訪くんは自由に使っていいって言ってくれたし……。諏訪くん、お言葉に甘えて失禮します)
心の中で頭を下げ、キャビネットを開く。最低限の生活用品がどこにあるのかは昨日のうちに教えてもらっていたから、必要なものはすぐに見つかった。フライパンや鍋を出し、數本あった包丁のうちの一本を手に取る。どれもとても綺麗で、頻繁に料理をしているじはなかった。
ところが、食棚を覗いたときには手が止まってしまった。並んでいるプレートやマグカップが、ペアのものばかりだったから。お茶碗まで違いのデザインで、もしかしたら人と揃えたのかもしれない……と脳裏に過る。
(そういえば、彼がいるとは聞いてないけど、さすがに居候させてくれるくらいだから、今はきっといないよね? でも……)
どう見ても人用の食が多い食棚からは、諏訪くんの過去にいたの影がちらつく。もちろん、彼みたいな素敵な人に人がいない方がおかしいけれど、の奧がチクリと痛んだ気がした。
(いや、別に傷ついたわけじゃなくて……。初の人の彼って、ちょっと気になるっていうか……)
誰にするでもない言い訳を心の中で呟いたところで、ハッとして冷靜になる。気分を切り替えるように袋からミンチを出し、野菜も並べていった。
今夜のメニューは、メインをおろしハンバーグにして、と副菜を二品ほどつける予定だ。諏訪くんの好みがわからないため、無難なものに決めた。
料理はとても好きで、実家にいるときにはよく母の手伝いをし、母がパートで帰宅が遅くなるときには私が食事當番だった。上京してひとり暮らしを始めてからも自炊をするように心掛け、調が悪くなる前まではお弁當を持參していた。食生活だけはきちんとするように、と母から口酸っぱく言われていたから。おかげで、料理の腕だけはそこそこだと思うし、味は家族と敦子のお墨付きだ。
(これくらいしか特技はないんだけどね)
とはいえ、彼に食べてもらうのは張する。出來上がる直前になって、口に合わなかったらどうしよう……と不安に駆られてしまった。
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