《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom3 遠くの親類より再會した初の人?【3】
「ただいま」
そんな心配をしていると、諏訪くんが帰宅した。玄関の方で音がしてから彼がリビングに現れるまでは三十秒もなく、私はフライパンを片手に微笑む。
「おかえりなさい」
すると、諏訪くんが靜止し、一拍ほどの間が空いたあとで笑みを浮かべた。
「いい匂いだな」
「あ、うん。ちょうどできたところなんだけど、もしよかったら一緒に食べない?」
「え?」
「もちろん、無理にとは言わないんだけどっ……! お腹空いてないとか、苦手なものとかあるかもしれないし……」
目を丸くした彼を前に、慌てて逃げ道を作る。斷られる可能を考えていなかったことに気づいて、今さらためらってしまった。
「いや、嬉しいよ。実はお腹ペコペコなんだ」
「本當? あ、でも諏訪くんの口に合うかはわからないんだけど」
「絶対うまいよ。香月、高校のときは自分で弁當作ってただろ? いつもうまそうだなって思ってたから楽しみだ」
諏訪くんが高校時代のことを覚えてくれていたことも、そんな風に思ってくれていたことも、とても嬉しい。けれど、あまりに素直に言われてドキドキした。
それに、斷られなかったことにはホッとしたものの、ハードルが上がった気がして別の心配事ができてしまう。もっとも、料理は完しているし、自分からった以上は今さらなかったことにはできない。手早くテーブルにお皿を並べ、彼と向かい合って座った。
「じゃあ、いただきます」
瞳を緩めた諏訪くんが両手を合わせ、お箸でハンバーグを摑んで口に運ぶ。固唾を飲むような思いで様子を見守っていると、直後に彼の目が見開かれた。
「うまい! 香月、このハンバーグめちゃくちゃうまいよ!」
諏訪くんの表が、まるで年のように無邪気に綻んでいく。それはお世辭じゃないのは明白で、私は安堵とともに喜びを抱いた。
「この味噌も、ちゃんと出を取ってるよな? カツオの味がしっかりしてる」
「今日は時間があったから。いつもちゃんとしてるわけじゃないよ?」
「でも、これだけ作るのって時間がかかるだろ」
おろしハンバーグ、タコときゅうりの酢の、きのこの和風マリネ、ナスと玉ねぎのお味噌。ハンバーグの付け合わせは、ブロッコリーと人參のグラッセにした。確かに、し時間がかかったけれど、彼に喜んでもらえたのなら作った甲斐がある。
「実は、香月がまだ晩ご飯を食べてなかったら、近所のイタリアンにでもうつもりだったんだ。そこ、結構うまくてよく行くんだ」
「そうなの?」
「ああ。でも、香月の料理の方がうまいし、香月の手作りが食べられてラッキーだ」
ふわりと優しい笑みを攜え、恥ずかしげもなく話した諏訪くんには、きっと他意はない。それはわかっているからこそ、ドキドキしている場合じゃない。
「そっか。そんな風に言ってもらえてよかった」
必死に平靜を裝い、なんとか笑顔を返す。彼は喜びを隠さずに箸を進め、綺麗に平らげてくれた。
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