《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom5 花は折りたし梢は高し……でもないかも?【6】
「あの……私、なにか変なこと言っちゃったかな?」
「あ、いや……。ごめん、ちょっと考え事してた」
小首を傾げた私に向けられたのは、いつもと変わらない諏訪くんの笑顔だった。
「これから毎日、今日みたいに練習しないか? ちょっとずつれ合う場所や時間を増やしていくんだ」
彼の提案は、今夜で一番思いもよらないこと。
「もちろん、香月が嫌がることはしないし、あくまで香月の無理のない範囲でステップアップしていって、徐々に異への抵抗を減らすっていうか……」
社員寮と稱した同居に始まり、仕事の面倒。そして、今回のこと。
再會してからずっと、諏訪くんは私の予想を遙かに超えたことばかり提示してくるけれど、彼が口にするのはいつだってどれも私のためだ。
「いきなりは無理だろうけど、こうすることで異に対する苦手意識が和らげばいいなと思ってさ。どうかな?」
諏訪くんは私の人生で唯一の男友達ではあるものの、きっと彼にとっての私は友人と言えるほど親しくはなかった。
それなのに、こんなに親切にしてくれる諏訪くんは、本當にいい人だ。
「でも、そんなことまでしてもらうわけには……」
とはいえ、いい加減に甘えすぎているのも自覚している。今さらかもしれないけれど、彼にはおんぶに抱っこで申し訳なかった。
「そんなことは気にしなくていいよ。ただ、香月は俺に対しては抵抗があんまりないみたいだし、それならいい練習臺になれるかなって思うんだ」
確かに、會社の男スタッフに恐怖心を抱くまではなくても、まったく不安や抵抗がないわけじゃないし、無意識下で聲をかけられると必要以上に驚くこともある。
(これでちょっとすつでも慣れていけば、もっとスムーズにコミュニケーションが取れるようになるかな……)
「じゃあ、お願いしてもいい?」
「もちろん」
諏訪くんがにっこりと笑う。裏のなさそうな笑顔が眩しくて、自の不甲斐なさが浮き彫りになる気がした。
それでも、これが彼の家を出るための一歩に繋がると思えば、おちおち躊躇している方がもったいない。私はもっと努力しなければいけないのだから。
「ありがとう」
「お禮なんかいらないよ。俺のためでもあるからね」
そうだよね、と同意を込めて頷く。私が業務をこなせるようになればしでも役に立てるはずだし、なによりもここを出ていく日が近づく。
(でも、そうなるともう……こんな風に一緒にアイスを食べたりできないんだよね)
ふと想像した未來に寂しさを覚えて、慌てて甘ったれた心を叱責する。気をつけなければ、ダメ人間になるまでにもう片足以上突っ込んでいそうだ。
「とりあえず、明日から毎晩五分くらい頑張ってみようか。ステップアップは、香月の様子を見つつ進めていこう」
「お世話をおかけします」
諏訪くんはふっと眉を下げて微笑むと、「香月は騙されやすそうなタイプだな」なんてごち、ソファから立ち上がった。
そのまま後ろに回った彼が、私の傍を橫切るときに頭をポンとでた。
「おやすみ、香月」
「……っ!」
和な甘さを孕んだ聲音に、優しい手つき。諏訪くんにとってはなんでもないようなことでも、私の心臓を取りさせるには充分だった。
「あっ……! おやすみ、なさい……」
忘れかけていた熱が蘇ってくる。れられたばかりの頭がじんじんと痺れるようで、呼吸が上手くできなくなりそうだった。
「なに、これ……」
知らない覚に戸い、味わったことのない溫もりが記憶にこびりつく。
騒ぎ始めた鼓は、しばらく落ち著くことはなかった――。
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ヤンキーが語ってます。
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