《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom6 堰かれて募るの……なんて言うけれど【1】
満面の笑みで顔を突き合わせた敦子と、「久しぶり!」と聲が重なる。そのことにまた笑顔が零れ、彼とならではの雰囲気に心が和んだ。
お互いの最寄り駅の中間地點で待ち合わせた私たちは、ワッフルが人気のカフェにった。カフェオレとワッフルをふたつずつ注文すると、軽くお互いの近況報告をしながら運ばれてくるのを待つ。
敦子は、今の生活が落ち著いてきたようだ。籍は十二月に決まり、今は式場巡りにを出しているのだとか。幸せそうな彼に、私まで嬉しくなった。
「志乃は諏訪くんとの生活はどう? 仕事はしずつ慣れたみたいだけど」
定期的に連絡を取り合っている敦子は、諏訪くんとの同居が決まったときに泣きついた私を心配しているようで、いつも気にかけてくれる。私は本當に友人に恵まれた。
「快適に過ごせてるよ。男と同居なんてどうなるかなって心配だったけど、諏訪くんが本當に優しいから助かってる」
謝しかないよ、と微笑めば、敦子が「そっか」と瞳を緩める。
「で?」
「え? なにが?」
「まさかそれだけ?」
「それだけって?」
「男がふたりで一緒に住んでるんだから、他にもなにかあるでしょ」
彼の言いたいことを察せなかった私に、痺れを切らしたような苦笑が向けられる。
「もしかして的なことを言ってる?」
「だって、相手は諏訪くんよ? 志乃の學生時代の唯一の男友達で、昔も今もただひとり普通に話せる異で、なにより初の相手だよ?」
力説した敦子に「期待もするよ」と付け足されて、今度は私の方が苦笑いした。
「なに言ってるの。諏訪くんは今や社長だし、きっと引く手數多だもん。いくら一緒に住んでるからって、私なんて眼中にないよ」
「そんなのわからないでしょ」
「そもそも私だよ? どころか男が苦手なのに、そういうことが起こるわけないじゃない。それに、こういうのって親切にしてくれてる諏訪くんに失禮だよ」
「親切ねぇ」
含みのある言い方をした彼に、「親切だもん」と念押しをするように頷く。
「でも、志乃は諏訪くんとなら一緒に住めてるわけでしょ。それって、やっぱり特別だからじゃない?」
「確かに、平気なのは諏訪くんだけだよ。でも、それは諏訪くんのおかげなの」
カフェオレを飲む敦子に、視線だけで促される。
「諏訪くんって本當に優しいんだ。私を気遣ってちゃんと距離を保ってくれるし、會社では家みたいに話せないけど、公私ともにすごく心配してくれてるの」
ワッフルを口に運ぶ彼の顔は、心なしか呆れているようにも見える。
「ご飯もいつも喜んでくれるし、最近は私のリハビリまでしてくれてるんだよ!」
「リハビリ?」
その単語に引っかかったらしく、敦子の眉が小さく寄せられる。
「うん。異に慣れるように、諏訪くんが練習臺になってくれてるの」
「……それって的にどんなことしてるの?」
「えっと……手を握ったり、諏訪くんが私の顔や頭にれたり……」
諏訪くんとのリハビリが始まって、約二週間。最初は五分程度から挑戦し、今では十分ほど手を握りながら彼にれられている。その果なのか、肩や手にれられることへの抵抗は弱まり、會社で男社員に肩を叩かれても委しなくなった。
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