《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom7 は曲者、あなたは変わり者【7】 Side 翔
「あの、諏訪くん……」
「ん?」
「訊いてもいいかな?」
「いいよ」
風呂と夕食を済ませ、いつものようにソファに並んでリハビリと稱したれ合いをしていたとき、香月が戸いがちに俺を見た。
今、そんな顔をされるのはやばい。なんてことは決して口にせず、俺の様子を窺うような彼に優しく微笑む。
「その……諏訪くんは、いつから私のこと……」
香月は、俺の気持ちがいつから彼にあったのかを知りたいのだろう。
「明確にはわからないかな。ただ……」
曖昧な笑みを零し、手に軽く力を込める。香月が肩を小さくびくつかせたが、嫌がっている様子はなさそうだ。
「高校のとき、俺は香月が好きだったんだ」
「えっ?」
大きな目を真ん丸にして驚く彼に、ふっと笑ってしまう。
「一目惚れとはちょっと違うけど、それに近いものがあるかな。でも、香月は男が苦手だって知ってたし、結局は告白もできなかった」
あの頃から、俺はずっと後悔していた。大人になってからも香月のことが忘れられなくて、なぜ彼に気持ちを伝えなかったのか……と考えたことは數え切れない。
Advertisement
「そのうち諦められると思ったし、一度は吹っ切れたつもりでいた。でも、香月と再會したとき、自分の中の香月への気持ちは消えてなかったんだって気づかされたんだ」
かあっと頬を赤らめる香月が、俺から視線を逸らす。戸う表も可くて、腕の中に閉じ込めてしまいたい衝に駆られる。
「一緒に住むようになって、香月の真っ直ぐさや気遣いができるところとかいいなって思った。香月がいるって思うと早く家に帰りたくなって、出迎えてくれるのが嬉しかった。そういうちょっとした積み重ねで今に至る、っていうか」
「でも、そんなの別に特別なことじゃ……」
「そうかもしれない。でも俺には特別だったんだ。香月が相手だってだけで、全部が特別に思えた。……香月にはわからないかもしれないけど」
苦笑を見せれば、彼が首を小さく橫に振る。
「ちょっとだけわかるよ。だって、私も同じだから。諏訪くんと過ごす時間が楽しくて、諏訪くんがご飯を『おいしい』って言ってくれるのが嬉しくて、どんどん諏訪くんのことが……」
「俺のことが?」
続きを促すように、言い淀んだ香月の顔を覗き込む。視線を彷徨わせるように俯いていた彼の頬が、ますます真っ赤になった。
「その……好きになったっていうか……。また、好きになったっていうか……」
「……また?」
その言葉に引っかかり、小首を傾げる。
「あの……実はね、私も高校生のとき、諏訪くんのことが好きだったの……」
ただ、香月の口から『好き』の二文字を聞きたかっただけ。それなのに、思いもしなかったことを知らされ、意表を突かれてしまった。
「だから、すごく嬉しくて……」
顔が熱い。高鳴った鼓が暴れ出し、うるさいくらいに主張してくる。
今日は本當にどうしたことだろうか。彼と両想いだっただけでも嬉しいのに、俺の中の最高を更新するようなことが起こった。
喜びでどうにかなりそうで、全のが心臓に集結する。必死に理を総員させていなければ、このまま押し倒すところだった。
「でも、本當に私でいいの? 私は――」
「香月」
たしなめるように、名前を呼ぶ。その意図に気づいたらしい香月が、困ったように微笑みながらも小さく頷いた。
「諏訪くんは変わってるね」
「そう?」
「うん。諏訪くんなら引く手數多なのに、私みたいに手のかかる人間を選んでくれるなんて、ちょっと変わり者だなって思うよ」
クスクスと笑う彼のどこかはにかんだような表が、この場を明るく照らす。
「でも、諏訪くんが他の人を好きにならなくてよかった」
その上で容赦なく心を摑みにこられて、理がぐらりと揺らいだ。
思っている以上に忍耐を要する事案に早くも遭遇し、今すぐに香月の手を離さないと危険だと頭の中では警鐘が鳴る。
それなのに、彼が可いせいで離れがたくて、ジレンマに苛まれた。
本當に、とは曲者だ。
「諏訪くん?」
「……今はあんまり見ないで」
俺の様子を窺おうとした香月から逃げるように、パッと顔を背ける。剎那、視界の端に映る彼の顔が再び真っ赤になったのが見えた。
俺たちはまるで中學生のように照れ合い、それでも手を握ったままでいた――。
冥府
山中で夜間演習中だった陸上自衛隊の1個小隊が消息を絶った。 助け出そうと奔走する仲間たち、小隊を付け狙う地獄の使者、山中一帯に伝わる古い伝承。 刻々と死が迫る彼らを救い出すため、仲間たちは伝承に縋る。 しかしそれは、何の確証も一切ない賭けだった。 危機的狀況で生きあがく男たちの戦いを描きます。 カクヨムにも掲載しています。
8 140うちのダンナはぽっちゃり男子
ダンナからのお許しが出たので、書いてみることにしました。 「ぽっちゃり男子」であるうちのダンナの生態と、我が家の日常をのんびりと書いてゆく所存です。 難しい言葉なし。 関西弁。 おやつやすきま時間のお供に、のんびりお楽しみいただければ。 たまに挿絵が入ります。 ※カクヨム・アルファポリスにても同時公開しています。 挿絵のあるページのサブタイトルには、※を入れていきます。
8 72婚活アプリで出會う戀~幼馴染との再會で赤い糸を見失いました~
高身長がコンプレックスの鈴河里穂(すずかわ りほ)は、戀愛が苦手。 婚活アプリを宣伝する部署で、強制的に自分が登録することになり、そこで意外な出會いが待っていた。 里穂の前に現れた幼馴染との関係は? そして里穂にアプローチしてくる男性も現れて…。 幼馴染の企みによって里穂の戀はどうなるのか。 婚活アプリに登録したことで、赤い糸が絡まる甘い物語。 第14回らぶドロップス戀愛小説コンテスト 竹書房賞を受賞をいたしました。 お読みいただきありがとうございます。 9月22日、タイトルも新しく『婚活アプリの成婚診斷確率95%の彼は、イケメンに成長した幼なじみでした』 蜜夢文庫さま(竹書房)各書店と電子書籍で発売になります。 ちょっとだけアフターストーリーを書きました。 お楽しみいただけたら嬉しいです。
8 178天界での僕は神様の旦那?
ある日、不運なことに交通事故に遭ってしまった獨り身の主人公。 天界で神様とご対面!そこで神様からつげられた一言!「私の旦那になりなさい!」 その一言から始まる、戀愛物語!
8 75この美少女達俺の妻らしいけど記憶に無いんだが⋯⋯
「師匠! エルと結婚してください!」 「湊君⋯⋯わ、わわ私を! つつ妻にしてくれない⋯⋯か?」 「湊⋯⋯私は貴方が好き。私と結婚してください」 入學して二週間、高等部一年C組己龍 湊は三人の少女から強烈なアプローチを受けていた。 左の少女は、シルクのような滑らかな黒髪を背中の真ん中ほどまで下げ、前髪を眉毛の上辺りで切り揃えた幼さの殘る無邪気そうな顔、つぶらな瞳をこちらに向けている。 右の少女は、水面に少しの紫を垂らしたかのように淡く儚い淡藤色の髪を肩程の長さに揃え、普段はあまり変化のない整った顔も他の二人の様に真っ赤に染まっている。 真ん中の少女は、太陽の光で煌めく黃金色の髪には全體的に緩やかなウェーブがかかり幻想的で、キリッとした表情も今は何処と無く不安げで可愛らしい。 そんな世の中の男性諸君が聞いたら飛んで庭駆け回るであろう程に幸せな筈なのだが──。 (なんでこんな事になってんだよ⋯⋯) 湊は高鳴ってしまう胸を押さえ、選ぶ事の出來ない難問にため息を一つつくのであった。 十年前、世界各地に突如現れた神からの挑戦狀、浮遊塔の攻略、それを目標に創立された第二空中塔アムラト育成機関、シャガルト學園。 塔を攻略するには、結婚する事での様々な能力の解放、強化が基本である。 そんな學園に高等部から入學した湊はどんな生活を送っていくのか。 強力な異能に、少し殘念なデメリットを兼ね備えた選ばれたアムラト達、そんな彼らはアムラトの、いや人類の目標とも言える塔攻略を目指す。 一癖も二癖もある美少女達に振り回されっぱなしの主人公の物語。
8 103甘え上手な彼女2
甘え上手で可愛いヒロイン、宮岡紗彌(みやおか さや)。 そんな紗彌とはちがい普通の高校生の八重高志(やえ たかし) 付き合い始めて、初めての夏がやって來た! 海や山! 花火大會にお祭りなど、夏はイベントが目白押し! しかし! そんな二人に破局の危機!? そして、なんとあの二人が急接近?? 毎日夜21時更新! コメントや評価もお待ちしております!
8 108