《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom8 は盲目でも、【1】
夏の暑さを忘れ始めた九月下旬の、優しい日差しが舞い込む土曜日の午後。
諏訪くんと付き合うことになってから、一週間が経った。まさか両想いだったなんて夢にも思わなくて、私の事を理解した上で私たちのペースで進んでいこうと言ってくれた彼には謝しかない。
おかげで、あまり構えることなく、諏訪くんと付き合っていけるかもしれない。
「志乃」
なんて思っていたのは、初日だけ。
背後にじた気配に心の準備をする暇もなく、キッチンで包丁を握る私の後ろから骨張った手がびてきた。
私のにギリギリれない位置で、けれどまるで逃がさないとでも言いたげに、全がすっぽりと諏訪くんの腕の中に収められてしまう。カウンターに手をつく彼は、そのまま私の顔を覗き込むようにしてきた。
背中にじる諏訪くんの呼吸も溫も、私の心をしていく。
「なにか手伝うことはある? 俺も一緒に作りたい」
ここで揺してはいけない、と必死に平常心を保とうとする私に反し、彼の聲音は至って平素のものだった。
「だっ……だいじょうぶ、です……」
ちっとも平靜ではいられない私に、後ろにいる諏訪くんがクスリと笑う。ひとつに緩く結んだ髪のせいで無防備だったうなじに、どこか甘さを孕んだ吐息がれる。
「志乃の傍にいる口実になると思ったのにな」
「……っ!」
いたずらな言葉が落とされ、うなじをでる息遣いに腰が砕けそうになる。粟立つ背筋を守るように、勢いよく振り返った。
「もうすぐできるからっ……!」
それが失敗だったと気づいたのは、ほんの一秒後。ばっちりとぶつかった雙眸が私を捉え、端正な顔が間近にあることに固まってしまった。
そんな私の反応を楽しむように緩められた彼の瞳には、好きと言わんばかりのが宿っていた。
この一週間、諏訪くんはとにかく甘い。優しいのも気遣ってくれるのも変わらないけれど、事あるごとにこうして私に絡んでくるのだ。
彼にからかわれていることはわかるのに、私がを強張らせないギリギリのラインで踏みとどまってくれるところがずるい。
ドキドキして、の奧が甘苦しくて、困ってしまう。それでも、決して嫌じゃないことがまた厄介で、強くは拒絶できない。
「あのっ、お願いだからあっちで待っててください!」
諏訪くんをキッチンから追い出せば、彼は気分を害する様子もなく笑っていた。
ちなみに、敦子には電話で報告したのだけれど、『やっとくっついたんだ』とあっけらかんと言われてしまい、ドキドキしながら打ち明けた私は拍子抜けした。
彼いわく、『時間の問題だと思ってたから』とのこと。もちろん、祝福の言葉もかけてくれたけれど。
「志乃、ドリンクはなにがいい?」
諏訪くんの聲にハッとする。朝からドキドキしすぎていたせいかぼんやりしてしまい、六本木にある大型商業施設の映畫館にいることを忘れかけていた。
なにが観たいかと訊かれ、上映ラインナップを『せーの』で指差したところ、人気の海外アニメーション作品で一致したのだ。ただ、今にして思えば、彼はさりげなく私の好みをリサーチしていた気もする。
「俺はアイスコーヒーにするけど」
「じゃあ、同じものにしようかな」
メニュー表も見ずに答えれば、諏訪くんが「ん」と微笑んだ。甘やかな表に、がキュンと高鳴る。私たちの前にいる売店スタッフのも、頬を赤らめていた。
こういうとき、彼の人たらしな部分が心配になる。甘い顔は私にしか見せないでほしい……なんて本音は言えないのに、小さな嫉妬が確かにあった。
それを隠せたのかはわからないけれど、映畫はとてもおもしろくて、素直に満喫できた。諏訪くんはどうかと気になってときどき隣を見れば、意外にも普通に楽しんでいたようでホッとした。
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