ブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom8 は盲目でも、【7】

「髪まで乾かしてもらって、至れり盡くせりだったな。ありがとう」

「ううん。しは解れたかな?」

「うん。首とか肩もマッサージしてくれたから、頭がすっきりした。心なしか、視界もクリアなじがする。本當に気持ちよかったよ」

実のところ、いくら諏訪くんが相手でも上手くできるか不安だった。

容師を辭める前から仕事ができなくなっていた私には、半年以上のブランクがある。技面への不安はもちろん、彼を相手にフラッシュバックでもしたら、もうこの先ずっと容師には戻れない気がして不安だった。

すべてが杞憂に終わったことにで下ろす。

諏訪くんの傍にいたい気持ちやトラウマから、今の仕事を続けたいと思っていたのに……。こうして安堵するということは、やっぱり容師に戻りたいんだろう。

なによりも、喜んでくれた彼を見ていると、私は容師という仕事が好きだったんだと明確に思い出せた。

「志乃と同じシャンプーの匂いがするっていいな」

破顔した諏訪くんは、私の髪を一束取って指先でクルクルと弄んだ。直接れられているわけじゃないのに、なんだかくすぐったい。

さっき変な想像をしていたせいか、妙にドキドキさせられた。

「志乃」

「はい……」

張を隠せなかった私に、「なんで敬語?」と彼がクスクスと笑う。楽しげで幸せそうな表に、の奧がキュンと戦慄いた。

「キス、してもいい?」

予想だにしていなかった言葉に固まってしまう。その意味を理解するまでに時間を要し、しばらくして狀況を把握したときには頬が熱くなっていた。

諏訪くんはきっと、私がわずかでも拒絶の姿勢を見せれば、絶対に無理強いはしない。彼なら間違いなく、笑顔で『無理しなくていいよ』と言ってくれる。

(でも、私……)

何度も想像した、諏訪くんとのキス。脳シミュレーションではいつも、不安や恐怖をじることはなく、ドキドキしていた。

れたい。そうじるようになったのはいつだっただろう。わからないけれど、最近はそう思うようになっていた。

だから、上手く言葉にできない想いに背中を押されるように、恥じらいを隠せないまま小さく頷いた。

剎那、彼が穏やかに瞳を緩め、首を縦に振った。

びてきた骨ばった手が、そっと頬にれる。何度もリハビリをした中で、こんなにも張したことはなかったかもしれないけれど、不安や恐怖はなかった。

端正な顔が近づいてきたのは、その一秒後のこと。真っ直ぐな瞳が私を捉え、至近距離に見えた諏訪くんの顔がぼやけた直後、お互いのが靜かに重なった。

労わるように大切に、それでいてしっかりとれていることがわかる強さで。強引さはないけれど控えめでもなく、張でいっぱいで息ができなかった。

甘切なさが孕んだようなキス。閉じた瞼の裏で、あの頃に葉わなかった初が鮮やかにづいて綻んでいく。の奧からは喜びが突き上げてきた。

ゆっくりと顔が離れておずおずと瞼を開ければ、優しい笑顔が私を見つめていた。

「好きだよ、志乃」

「……うん。私も……諏訪くんがすごく好き」

を突き破りそうな心臓がうるさくて、呼吸が上手くできなくて。揺と張でいっぱいいっぱいなのに、心は幸福で満たされていく。

「あー、やばいな。もっとキスしたくなった」

「……っ」

ほのかに頬を赤らめた諏訪くんの、真っ直ぐな視線。逃げられないと悟って息を呑みながら、逃げたくないとじている私がいることに気づく。

それを聲にするのは恥ずかしくて、縋るように彼を見つめ返しながら大きな手をギュッと握った。

直後、再びれ合った。そのまま何度もが重ねられ、十月の靜かな夜の中で甘く優しいキスを繰り返した――。

    人が読んでいる<秘め戀ブルーム〜極甘CEOの蜜愛包囲網〜>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください