ブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom9 雲となり雨となるとき【7】

カラフルな街並みを橫目に、目的地へと急ぐ。

道行く人たちはみんなどこか楽しそうで、冬の凜とした空気に頬をでられる私の足取りも普段よりも軽かった。

今日はクリスマスイヴ。金曜日ということもあり、街は人たちで溢れている。

待ち合わせ場所に著くと、今日は午後から外出していた翔が先に待っていた。

「ごめんね、待たせちゃった?」

「俺も今著いたとこ。ちょうどいい時間だし、中にろうか」

彼が予約してくれていたのは、銀座の一角にある格式高いレストランだ。

白亜を基調とした建は二階建てで、ヨーロッパの城を思わせるような大きな支柱が目立つ。フランス國旗が冬の夜風になびいていた。

有名店だけあって、私でも名前くらいは知っている。まさかこんなところに來られるとは思っていなかったけれど、気後れする気持ちと喜びが同居していた。

「あの……私の服裝、おかしくない?」

ラベンダーを明るくしたようなカラーのワンピースは、今日のために買ったものだ。

上半はシフォン素材の五分丈袖でらかい雰囲気を演出してくれるのに反し、スカートは大ぶりの花のレースで作られている。ウエスト部分にはベルト代わりのパールが施され、『結婚式でも使えますよ』という店員さんの言葉に背中を押された。

髪はサイドを編み込んで纏め上げ、私なりに一杯おしゃれしてきた。けれど、三つ揃えのネイビー系のスーツをに纏った彼の隣に立つと、なんだか釣り合っていると思えない。

「どこが? めちゃくちゃ可くて、今すぐにキスしたいくらいだけど」

ところが、翔の目から見る私は、強力な人フィルターがかかっているらしい。

甘ったるく微笑まれて瞬時に顔が真っ赤になったけれど、ヘアメイクを頑張ってよかったと笑みがれた。

「……ありがとう、ございます」

恥心のせいで敬語になると、翔が顔をくしゃりと歪めて破顔した。

の二階の最奧の席に案され、ウェイターがすぐにシャンパンを持ってきた。

大きな窓から見える煌びやかな銀座の街を橫目に、彼と「メリークリスマス」とわして乾杯をする。

アミューズは蒸しアワビのカルパッチョにホワイトアスパラガスが添えられ、アントレは鴨のコンフィの包み焼き。

ポワソンは、オマール海老とじゃがいものミルフィーユ仕立てをアメリケーヌソースで食した。ヴィヤンドゥは、佐賀牛フィレのグリエとフォアグラのポアレ。

デセールは、濃厚なチョコレートの風味が楽しめるブッシュ・ド・ノエルに、シトロンのムース、ピスタチオのマカロンが並び、真っ白ないちごが添えられていた。

ソムリエがペアリングしてくれたワインやコーヒーを含め、どれも本當に絶品で、私は「おいしい」と連呼することしかできなかった。

「こんなに喜んでくれると、次はもっと喜ばせたくなるな」

翔は、今日も今日とて私を甘やかしてくれる。嬉しい反面、もうすっかり甘やかされすぎていることに心の中で苦笑を零した。

「志乃。改めて、メリークリスマス」

笑顔の彼が、テーブルの上に細の長方形の箱を置いた。

「嬉しい……。ただ、こんなに甘やかされると困るよ」

「俺が甘やかしたいからいいんだよ」

和な微笑を浮かべた翔に戸いつつも喜びは隠せなくて、笑顔でお禮を言ってリボンを解いた。

箱を開けると、緩やかな曲線を描くラインネックレスが鎮座していた。シンプルで主張しすぎないデザインながらもダイヤモンドが敷き詰められ、その耽さに思わず嘆のため息がれる。

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