ブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom9 雲となり雨となるとき【8】

「すごく綺麗……。でも私、これに見合うものを返せないよ」

「だから、そんなこといいんだって。それをつけた志乃を、俺が見たいだけなんだ」

彼は本當にどこまでも素敵な人だ。私のに余る、完璧な人。

同じように返すことはできないけれど、翔が私にそんなことを求めていないのは知っている。だから、私も用意していたプレゼントを差し出せた。

「メリークリスマス、翔」

長方形の箱を目にした彼は、頬を緩ませた。

「志乃がいてくれたらなにもいらないっていうのも本音だけど、志乃が俺のために選んでくれたプレゼントって、想像よりずっと嬉しいな」

面映ゆそうな表が、私の心をくすぐる。まだ中を見てもいないうちからそんなに喜ばれて、しだけ張してしまった。

「好みじゃなかったらごめんね?」

「志乃がくれるものなら、俺はなんでも嬉しいよ」

私が張った予防線を、翔は一瞬で斷ち切ってしまう。そんな風に言われれば、もう不安は吹き飛んでいた。

私が選んだのは、彼が用しているブランドの名刺れ。ラグジュアリーなお店にるのも勇気が必要で、洗練されたコンシェルジュを前に張でいっぱいだった。

けれど、翔が新しい名刺れを買おうか悩んでいたことを知っていたからこそ、どうしてもそれを選びたかったのだ。

「名刺れだ。しかも、俺が好きなブランドの一番気になってたデザインのものだ」

もしかしたら、リップサービスかもしれない。けれど、彼の喜ぶ姿を見ているとそうは思えなくて、ホッと息をついた。

レストランを出たあとは、酔い覚ましに徒歩でイルミネーションを楽しんだ。

冬の夜風は冷たいけれど、翔と手を繋いで歩く街は今までで一番綺麗な景に見えた。こんな風に普通の人としてれ合いながら歩ける日が來るなんて、半年前までの私には想像もできなかったのに、今は自然とできるようになっている。

それもこれもすべて、やっぱり彼のおかげだ。

「とりあえず、年末年始はゆっくりできそうだ」

帰宅してお風呂を済ませると、ソファで肩を並べた翔が顔に安堵を浮かべた。

彼は今、誰もが名前を耳にしたことがあるような大手企業から依頼をけ、新しいアプリの開発に勤しんでいる。職場では重役室にこもり、休日も書斎にある三臺のパソコンに向かう日々を送り、最近は晝夜問わず仕事ばかりしていた。

「よかった。ここ最近は睡眠時間も減ってたし、年末年始はゆっくりしようね」

「心配だな、志乃は。忙しくても、志乃を抱く余裕はあっただろ」

「そっ、そういうのはいいから!」

ククッと笑った翔が、ふと瞳に真剣さを宿らせる。

「俺、今抱えてる仕事が無事に終わったら、獨自の開発システムを作りたいんだ。日本はまだまだ脆弱な部分もあるけど、海外の一部の國ではリモートワークが主流になり始めてる企業もあるし、これからの時代はそうやって変化していくんだと思う」

彼が見つめているのは、もっとずっと未來の話かもしれないし、もしかしたら意外と近い將來なのかもしれない。

「だから俺は、日本でもそうなるように、強固なリモートワークシステムを作りたい」

どちらにしても、その目標は私の想像を遙かに超えた大きさで、それがいったいどういうものなのかもわからない。

けれど、真っ直ぐな雙眸で目標を語る翔が、私はとても好きだ。キラキラと輝かせた瞳で話す姿は年のようで、それを実現するために努力できる人だと知っている。

「不況の煽りで長時間労働の會社が増えてるけど、リモートでも安心して働けるようになって、家族や自分のために使える時間を増やしてほしいんだ」

なによりも、あの頃と変わらないものをめた彼の雙眸にが大きく高鳴り、またに墮ちてしまう予がした。

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