《めブルーム〜極甘CEOの包囲網〜》Bloom10 七転び八起きも、あなたの傍でなら【5】
それからの一ヶ月は、転職活のためにいた。
専門學校時代の友人に相談したり、自分が魅力をじるサロンを探したりしつつ面接をけ、二件のサロンから採用の連絡をもらった。
とはいえ、どちらも正社員になるためには試用期間がある。
それに、スタイリストとしてのブランクが一年ほどある私は、最初はアシスタントとして採用されることになる。その後、それぞれのサロンで規定になっている試験をけて、無事に合格すればスタイリストデビューできる……という流れだ。
二月最後の金曜日、翔にそれを伝えると、彼は自分のことのように喜んでくれた。
「まずは就職先が決まってよかったな。おめでとう」
「ありがとう」
「それで、志乃の第一希はどっちなんだ?」
「まだ悩んでるの」
ひとつは、関東圏で二十七店舗も展開している大手サロン。都では破格と言えるほどリーズナブルな価格帯なのが特徴で、客層は十代から八十代までと幅広い。トップスタイリストには、有名なコレクションを擔當した経験がある人も多いのだとか。
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「私、前の職場はスタッフとは上手くいかなかったけど、サロンの雰囲気は好きだったし、お客様の年齢層が幅広かったおかげで経験を積めるのが早かった部分もあると思ってるの。だから、短期間でたくさんの経験を積むにはここかなって」
なにより、私のように五年ほどの経験とスタイリストだった実績があれば、一ヶ月程度の試用期間でスタイリストとして店に立たせてもらえると聞き、大きな魅力をじた。恐らく、他店ではこうはいかない。
「でも、その顔は迷ってるんだろ?」
翔は、なんでもお見通しだ。私が悩んでいることを見かした彼が、「もうひとつの方は?」と訊いてきた。
「もう一軒のサロンは、そことは全然違うんだけどね」
全部で三店舗しかなく、店舗面積も小規模だ。私が面接をけた南青山みなみあおやま店は、ウッド調のインテリアやグリーンが置かれたナチュラルな雰囲気で、二臺のシャンプー臺を含めても六席しかなかった。
他の店舗も同じだと、面接してくれた南青山店の店長兼オーナーの男が話していた。店舗のじやホームページから察するに、アットホームなサロンなんだろう。
「素敵だとは思ったんだけど、経験を積むには時間がかかりそうだし、オーナーからも『半年はアシスタントをする覚悟を持って』って言われたんだ。価格帯もし高めだから、アットホームだけどラグジュアリーな路線なのかも」
友人の中には、私と同程度の経験を経て転職した子が數人いるけれど、転職先で半年もアシスタントをしたという子はいない。だからこそ、そこが引っ掛かっていた。
「それなら、最初に話したサロンにすればいい。ただ、志乃の中ではなにか惹かれるものがあるから、どっちがいいか悩んでるんだろ」
本當に、翔は私のことをよくわかってくれている。
「実はね、高校時代に通ってたサロンにどこか似てるの」
あのお店はさらに小さかったし、名前も違う。ただ、面接のときに目にしたアクアリウムが、あのお店のカウンターに置かれていた二匹の熱帯魚を思い出させ、どことなく懐かしさを抱いた。
「その店、もうなくなったんだっけ?」
「うん。私たちが高校を卒業した年の夏前にね」
ホームページはなかったため、夏休みに帰省するまで知らなかった。
お姉さんがサロンの宣伝用に更新していたSNSは、【閉店】が最後の投稿になっていた。今はもうそれも見られないけれど、確か謝の言葉とともに『新しい道に進みます』と記載されていたから、別の職業に就いたのかもしれない。
あのお姉さんに憧れて容師を目指したことも伝えられず、三年間も通っていたのに名前も訊けないままだった。
「それなら、両方ともきちんと見學させてもらえば?」
「え? でも、そんなこと……」
「ダメ元でも、とりあえず訊いてみればいいんじゃないか」
戸う私に、彼はなんでもないことのように言ってのける。
「これから働く職場だし、もしかしたらずっとそこにいることになるかもしれないんだ。もう一度夢を葉えるための大切な場所になるんだから、積極的になった方がいい」
「うん、そうだよね。明日、両方のサロンに連絡して訊いてみるよ」
大きく頷いて笑った翔が、私の頭を優しくでる。そして、頑張れと言うかのように、にそっとキスを落とした。
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