《我が家の床下で築くハーレム王國》第4話朝のトラブルにはご注意
「なあ正志」
「お、まさか本當にをしているのか?」
「違うよ。で思ったけどさ、お前の方はどうなんだよ」
「な、な、何だよいきなり」
「だってお前」
「ストップ! それ以上は言うな!」
俺は知っている。正志はずっとをしている事を。そしてその相手も勿論分かりきっているし、一向に上手く行かないことも知っている。
「まあ俺は応援する事くらいしかできないから、頑張れよ」
「おまえにだけは絶対に言われたくない!」
「どういう意味だよそれ」
「いつか後悔するぞお前」
正志の言葉の意味が分からなかった。俺はただ応援してあげようとしてあげているのに、その価値すらないもでも言いたいのだろうか。
「本當お前は気楽でいいよ」
「なんか言ったか?」
「何でもねえよ」
■□■□■□
話は変わって、俺は先日我が家にやって來たあのの事について聞くために、俺は二日後に再びトリナディア王國へとやって來ていた。
俺の話を一通り聞いたサクヤとハナティアは、やはりという顔をしてため息をついた。
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「やっぱり來てたのね、ミウ」
「彼はこの國に住んでいる住人の一人なだけなんですけど、ハナティア様とはご縁があって結構仲がいいんですよ。ただ々癖が強い子でして」
「あれは癖とかそういうレベルじゃないだろ。俺の事をダーリンとか言っていたし」
「そういう子なのよ、あの子は」
どういう子だよと言いたい。初対面であそこまで馴れ馴れしい人間と會ったのは、俺は初めてだよ。
「翔平、あの子に毒されていないよね?」
「一応親友なんだよな?」
「腐れ縁みたいなものよ」
「その腐れ縁に対して毒されるとかよく言えるな」
「それも含めてミウ様なので」
「だからどんなんだよ」
やれやれと思いながらも、二人が何かをしているのでそれを眺める。
「そういえば二人して何しているんだよ」
「これですか? これはハナティア様の頼みで作っている」
「さ、サクヤ! 今は緒だって言ったでしょ」
「あ、そういえばそうですよね」
二人がしている作業は、何かのり付け作業みたいだけど、何も書いていない紙をっているだけなので、一何なのかは分からない。おまけに何か俺にも関係ありそうなじはするけど……。
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「あ、そうだ翔平」
「何だよ」
「これからも翔平の家に誰かが出りすることがあるかもしれないけど、我慢してね」
「何で我慢するの?!  追い出しちゃいけないのかよ」
「え? だってそれも國民とのコミュニケーションになるし、男の人ってこういうの好きなんでしょ? ほら、はーれむだっけ?」
「何でそういう言葉を知っているんだよ。それに、ハーレムって人數必要だし……ってまさかとはおもうけど」
「私の友達も含めて、この國はが多いからたくさん遊びに行くと思う。男なんて珍しい生きだし」
「俺は生き扱いかよ」
あの部屋そんなに人數はいらないし、勝手にるようだったらいい加減通報してもおかしくない。
「本當は気は進まないけど、コミュニケーションは大切だと思うの。本當はすごく嫌だけど」
「嫌なら向かわせようとするなよ。第一それくらい制限できるだろ?」
「できるわよ。でもそしたら私も行けなくなる」
「本當はお前も來なくていいんだよ」
コミュニケーションとか何だとか言っているけど、俺はこの國と今後も関わりを持ち続けるつもりは一ミリもない。
「てか忘れてると思うけど、俺はこの話一度も了承していないぞ」
「え? もう染まっているっと思ったんだけど」
「誰がいつ染まったんだ」
「だってもう私たち夫婦になるでしょ?」
「待て待て話が飛びすぎた!」
夫婦ってどこまで話が飛んでるんだよ。
「まさか了解していると思ったのか? まだその話もどうするか決めてないんだから勘弁してくれよ」
「いい加減了承してよー。時間もないんだから」
「駄々をこねるな」
別に悪くない話なのは分かっている。こんな経験、一度もした事はないし、この先の人生が多楽になる。おまけに普段通りの生活もできるのだから。
(そうすれば將來も安泰だけどさ)
それってなんというか、ずるい気もする。
「言いたい事は分かるけどさ、こういうのってお互いの想いが通じてこそやる事じゃないのか? 」
「お互いの想い?」
「ああ。現に俺とお前は実際初対面な訳だし、まだ知らない事も多い。だからせめて、段階というのを踏むべきだと思うんだ」
「段階?」
「いきなり子作りをしろとか、そんな難しい話じゃなくて、お付き合いとかそういう段階が必要なんだと思う」
自分で言っていて恥ずかしいけど、その話をされてからずっと考えてきた結果がこれだった。俺がまだ彼の事をあまり知れていない事は、これから仮に暮らしていく中で一番の欠點になる。
(まだお付き合いすることも決めていないけど)
もしこれが正志のいうに繋がったら、それはちょっとした奇跡なのではないかと思う。
「これは俺達に限った話じゃない。皆そうやって仲を深めて最後にパートナーになるんだ。いきなり結婚とかそういうのは周りが聞いたら不自然なレベルだ」
あくまで一般的な理論を述べた俺に、サクヤも乗ってくれた。
「確かにそれは一理あるかもしれませんね」
「サクヤ! でも私は……」
「ハナティア様が急ぐ気持ちも私は理解できます。しかし翔平様の言葉も理解できます。だからまず翔平様にはここでの暮らしをしてもらってはいかがでしょうか?」
サクヤの案は実にいいものだと俺は思う。全てに賛するまでには至らないにしろ、ハナティアやこの國を知る為に、そこから始めるのはいいと思う。
というか今、サラッと名前を呼んでくれたような……。
「うーん、サクヤがそこまで言うなら……」
「しばらくは俺もそうさせてもらおうかな。大學だってあるし」
ハナティアもそれを理解してくれたらしく、とりあえず俺達は一から始める事になった。大學に通いながらでし大変だけど、その辺りはまあ何とかなる。
「ではこちらの契約書に」
「しないからな」
折角いいじだったのに、どうしてこうなるかな。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
何だかんだで大學に通いながら、ここでも暮らす事になった俺。毎日のように通うという事はできないが、定期的には顔を出そうと思っている。
「あれ? 留守電っている」
一旦自宅に帰宅した俺は、家の電話に何件かの留守電がっている事に気づく。その電話番號の主は、ここ數日顔を見ていなかったもう一人の親友からだった。
「何だよ家に電話番號なんかして」
『だ、だって攜帯に電話してもでなかったから……』
「あー、悪い」
電話口からはいつものようにか細い聲が聞こえてくる。彼の名前は片瀬雪音。正志と同じように高校からの親友で、何故か彼も縁あって同じ大學に通っている。
格は聲から察するように、人見知りが激しくなかなか聲が聞き取れない事があったりする。かなり恥ずかしがり屋でもあるが、何故か俺と正志と三人でつるむ時はそれは無くなっていたりする。
『ほ、ほら、ついこの前行方不明だって騒がれてたから、心配で』
「ちょっと々あってな。心配させたりして悪かったよ」
『でも大丈夫なんですか?』
「何が?」
『い、家にが開いてたとかテレビでやっていたけど、暮らしづらいかなって思っんですけど』
「それなら大丈夫だよ。そのはなくなったから」
『な、無くなるものなんですか?』
「そういうだったんだよ」
細かい説明はできないので、かなり端折る。彼が今の俺の狀況を見たら、どう思われるか何となく分かっていたので、これはしばらく隠す必要がありそうだ。
『元気ならよかったです。でもちゃんと返事くらいはしてください七』
「分かったよ。お前もちゃんと大學來いよ。正志が姿見てないって心配してたからな」
『大丈夫。ちゃんと行ってはいますから』
「ならいいんだけどさ」
その後しだけ雑談して、時間も遅くなったので電話を切る事にした。
「じゃあまた」
『おやすみなさい』
「おやすみ」
最後にそうわして電話を切ろうとする。だけどその直前、微かながら彼の獨り言か何なのか分からないが、こんな言葉が聞こえた。
『……まだ……思い出していないんですね……』
ハッキリとは聞こえなかったが、彼はそんな事を言っていた気がする。
(思い出す? 何だそれ)
わざわざ掛け直す訳にも行かないので、俺はその事は忘れて眠りにつく事にした。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
翌朝、目を覚ますと何故か隣でハナティアが眠っていた。
「……」
思考が停止する事三十秒。
「うわぁぁ!」
悲鳴をあげるまで三十秒。
「何よ、朝からうるさい」
「な、な、なにやっているんだお前は!」
実にこの間一分足らず。眠気とか昨日の事とか何もかも全てが吹っ飛んだ朝になった。
「つまりお前は勝手に俺の部屋にまた來て、勝手に隣で寢てたと」
「勝手じゃないよ! サクヤの許可は取ったもん」
「俺の許可は?!」
「え? 必要?」
「必要だろ!」
とんだ朝になってしまった俺は、不機嫌ながらも大學へ向かう事に。
(サクヤにも後で説明してもらわないとな)
ため息がれる。これってもはや不法侵の領域だから、警察呼んでもいいくらいだ。まあ、ミルの一件とかもあるから、今に始まったことではないけど。
「ところで何でお前も付いてくるんだよ」
「私の勝手でしょ」
「勝手過ぎだわ!」
もうどこから突っ込めばいいのか分からず、俺は家を出る。と、外で俺を待っていたのは……。
「お、おはよう翔平君」
何故か雪音だった。すぐさま俺は扉を閉める。
思考停止五秒。
閃くまで五秒。
この間約十秒。
「どうしたの翔平?」
「いいかハナティア。今朝の事は水に流すから今すぐトリナディアに帰ってくれ」
「どうして?」
「今お前が外へ出たら、俺は恐らく二度とトリナディアに帰れない」
「だからどうして?」
「いいから!」
「あ、ちょっとしょう……」
とりあえずハナティアを家の奧に追いやり、もう一度扉を開ける。な、何事もなかったかのようにしないと。
「お、おはよう雪音。ど、ど、どうしたんだよ朝から」
「折角だから一緒に行こうかなって思ったんですけど」
「そ、そうか」
家の鍵を閉めて雪音と共に歩き出す。まだ心臓はバクバクしている。
(お、落ち著け俺)
ここでバレたら全てが終わるぞ俺。
「そういえばさっき……」
「な、何だ」
「誰かが一瞬見えた気がするけど……気のせいですか?」
「き、気のせいだよ」
「そうですか?……でも」
「でも?」
「扉越しに聲が丸聞こえでしたよ」
「っ!?」
流石はアパートの一室。聲が丸聞こえだった。何という心折設計。
(や、やばい。まさかこんな語序盤から俺の人生が終わりを迎えようとしている)
冷や汗が止まらない。聲を聞かれてしまった以上言い逃れなんてできるはずもない。
「翔平君、何か隠し事していますね。それにあの聲」
「し、してないよ。さっきのだって獨り言だよ」
「獨り言で會話とは、いつからそんな技を」
「えっと、それは、だな」
ますます疑いの目が向けられる俺。何でよりによってこんな早くにバレなければいけないんだよ……。
「まあ、翔平君がちゃんと話してくれるまで、何も聞きませんけど」
「え?」
「そうでないと面白くないですから」
何故か笑顔で雪音はそう言う。その笑顔は今まで見た事のないほどの綺麗な笑みで、なおかつとてつもなく恐怖をじる笑顔だった。
(お、鬼が背後に見える)
「す、す、すみませんでした!」
この後大學の登校までの時間、ひたすら謝罪を述べながら彼にほんのしだけ話をすることになりましたとさ。いやぁ、鬼には敵わないよ本當に。
「お、俺明日死んだりしないよね?」
「大丈夫。皆には黙っててあげますから。二人だけのにします」
今度から朝も何が起きるか分からないので、気をつけることにしよう。
「ところで翔平君」
「ん?」
「相手小學生とかではありませんよね? そしたら、流石に私でも通報を」
「確かに背は小さいけど、決してそうではないからな! 頼むからその右手に持ったスマホで通報をしようとするのやめてくれ」
しばらくは油斷できない毎日が続きそうだ。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「あ、ちょっと翔……平」
朝から翔平を怒らせたと思ったら、今度は水に流すと言いながら慌てて家を出て行った。一何があったのだろうか。
(でもチラッと見えたけどあれって……)
扉の隙間からほんの一瞬だけ顔が見えたけど、どこかで見た事があるような……。
「あ、思い出した」
「あれハナティア様、隨分早くにお戻りになられましたね」
「翔平がさっさと行っちゃったのよ」
一度トリナディアへと戻った私は、サクヤに今朝の事を説明する。一応彼は翔平の部屋に行く事を了承してくれていたけど、何故かしだけ怒られた。
「もう、急ぎ過ぎたらダメですって」
「でも何かが勝手に」
「それ以上やると私も怒りますよ?」
「ごめんなさい」
本來ならそんな段階とか気にしないのに、何で謝ってるのかな私。
「あ、サクヤ、それよりも一つ聞きたい事があるんだけど」
「何ですか」
今朝の事でもう一つ気になった事があったので、サクヤに尋ねる。多分私の勘違いでなければ……。
「それはそれは、驚きですね」
「でしょ? だから私も」
「ストーカー行為はさせませんよ」
「まだ私何も言ってない!」
でもこれが気のせいではないなら、これはこれである意味運命ではあるかもしれない。
(元気そうでよかった)
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