《我が家の床下で築くハーレム王國》第26話親になるという事

家に帰ってきてからしばらく、ハナティアと母さんの昔話が続いていた。どうやら父さんは今日は帰らないらしい。

(相談に來ただけなのに、何でこんなに張しているんだろ俺)

二人でかなり盛り上がっているようで、なかなか俺が話にる隙がない。というか昔話って言っても、何年前の話をしているんだ? 

事故が起きた頃はまだ俺もハナティアも小さかっただろうし、もしその後の話をしているなら俺はハナティアと一度會っている可能はある。けれど、それすら記憶にない。

(じゃあ何でだ)

俺の中に生まれたある違和。だけどそれが一何なのかは分からなかった。

まあ、今はそれは関係ないので、

「なあ母さん。俺今日ちょっと相談というか話たい事というか、々聞いてほしい事があって來たんだけどいいかな」

「何よ改まって。もしかしてもう二人ゴールインするの?」

「いや、そうじゃなくてさ」

「じゃあ何?」

「実はさ」

そこから俺はこの前までの事を一通り母さんに話した。々知らなかった事を知れた事、ハナティアと會えたこと、そして彼に小さな命が宿った事。

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「そう……。ハナティアちゃんとあんたの間に子供が」

「母さん、俺はどうすればいいんだろ」

それらをひっくるめて、これから自分はどうしていくべきなのか、それを聞いてみた。

「そんなのあんた、責任を持ちなさいとしか言えないわよ」

「それは分かっているんだよ。でも俺なんかに……」

「そう思っている時點で駄目ね。確かにあんたは記憶喪失になって、々な事を忘れているけど、ハナティアちゃんはずっと長い間あなたを待ってくれていたのよ。あなたもその気持ちに答えないと駄目でしょ」

「でもそれとこれとは」

「違くない。あなたを想ってくれているからこそ、これからを張って新しい命を産もうとしているの。それは間違いなくあなたの子供なの」

母さんの一言一言全てが心に響く。それは親として、そして一人のとしての言葉だった。だから俺はその話をしっかりと聞いたし、忘れてしまわないように心の奧にしまった。

「その子は紛れもなくあなたのを継いでいる。その子をあなたとハナティアちゃん以外誰が育てるの?」

流石は親というべきなのか、その一言一言にすごく重みをじられた。その言葉のおかげで俺の中の迷いが払拭された。

(まさかこんなに早く親になるなんて、考えてもいなかったけど)

「そうか、そうなんだよな。俺はこれから一人の親になるんだよな」

「そう。あなたは私達と同じように親になるの。二十すぎているとは言え、まだまだ子供のあなたには難しい話かもしれないけど、ここで逃げるなんて私は絶対に許さない」

「母さん……」

「だからしっかりと育ててあげなさい。それがあなたが親になるという責任よ」

「……ありがとう」

もうこれは國の為だとかそういうのは関係なく、一人の人間としてさなければならない事なんだと思う。それがずっと待っていたハナティアへの恩返しなのかもしれない。

「ハナティア、俺決めたよ。お前をれる」

「翔平……」

ここでもし拒否をしていたら、それは男として最低だ。だから俺はこの事をれる事に決めた。あまりに早すぎる決斷なのかもしれないけど、迷っている時間もない。

「ところでお二人さん」

「なんだよ」

「結婚式はちゃんと呼んでちょうだいね」

「そういうのいいから!」

◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

明日も大學があるという事なので、俺とハナティアは夕方くらいに帰宅する事に。帰り際母さんがしつこく々聞いてきたのだが、そんなのは構い無しにと、適當にけ流しながら俺達は家を出たのであった。

で、その帰りの電車。

「そういえばあの話をしている時、ずっと黙ってたけどよかったのか?」

「いいも何も、翔平が決める事だから、私が口を挾む必要はないと思ったの」

「もしかして俺が最初からそう選ぶって分かってた?」

「そうでもない。半信半疑ではあったの。こんなの突然の話だから」

「まあ、俺もかなり迷っていたから母さんに相談したんだけどな」

多分あの言葉がなければ、俺はもしかしたら悪い方の答えを出していたかもしれない。それほど重大な選択だったし、親になるプレッシャーに勝てる気がしなかった。

「でも私は信じてたよ。翔平がれてくれるって」

「ハナティア……」

「私をれてくれてありがとう、翔平」

優しく微笑みながらハナティアは言った。その笑顔は今まで以上に可くて、そしてしかった。

「ねえ翔平」

「何だ」

「出産の事なんだけど」

「なんか問題でも起きたのか?」

「ううん、そうじゃないの。出産の事なんだけど、このままだと産めないの」

「産めないって、やっぱり何か」

「違うの。これだけはしっかり聞いて。私はこの後出産する事にはなるけど、実はねもう一つ私と翔平はしなければならない事があるの」

「しなければならない事?」

「それはね」

◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

『え? しばらく大學行けないからノート頼めるかって?』

「同じ講義のだけ頼みたいんだ。しばらくって言っても一週間くらいだから頼めないか?」

『いや、一週間って充分長いだろ』

その日の晩、俺は正志に電話をかけていた。どうして急にこんな事を頼む事になったのかは、明日になれば分かる。

『何だお前の奧さんが病気で倒れたりでもしたのか?』

「いや、病気とかそうじゃなくて。というか奧さんですらないけど」

『じゃあ他に理由でもあるのか?』

「それは……」

『言えないなら無理に話さなくていいけどさ。あまり無理だけはするなよ』

「分かっている」

『本當に分かっているのか、サッパリだけどな』

用件だけは伝えたので、適當に會話して俺は電話を切ろうとする。

『あ、ちょっと待て翔平』

「ん?」

『最近お前、々大変みたいだから今度息抜きに旅行でも行こうぜ。ハナティアちゃんも連れてさ』

「そういえばゴールデンウィークどこにも行けなかったな」

『つまりそういう事だ。俺も雪音も日程合わせるから、暇な日あったら連絡してくれ』

「ああ、分かった」

『じゃ、おやすみ』

「おやすみ」

最後にそうわして電話を切る。

(旅行か……)

楽しみではあるけど、俺はそれより明日からの一週間を乗り越えないと意味がない。果たして俺は今度こそ約束を守れるのだろうか。

ただそれだけが不安だった。

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