《我が家の床下で築くハーレム王國》第54話トリナディア幽霊屋敷冒険録 中編
俺とハナティアは々ビビりながらも、幽霊屋敷へと突。中はやはりというべきか、かなり薄暗い。しかし幽霊屋敷と呼ぶには相応しくないほどきちんと清掃されていた。
「この屋敷が潰されたのって、何年くらい前の話なんだ?」
「い、今からだいたい十年くらい前だったとと思う」
「もし當時人が住んでいなかったら、ここまで綺麗なわけないよな」
「言われてみれば。で、でも幽霊屋敷なわけだし、當時のままとは限らないんじゃないの?」
「まあそうだけどさ」
ただ疑問がなのは、何故潰された館がここに新たに出現したのか。そして本當に人は住んでいなかったのかの二つだ。ハナティアの言う通りこの屋敷が當時のものとは限らない。
「そもそもさ、ここに人が住んでたって言っていたけど、どんな人が住んでたんだ? 見たじそれなりのお金持ちだし、一つ気になるのがさ」
屋敷の一階を一通り回って気がついた事がある。それはこの屋敷に置いてある家の種類だ。
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「ここの家ほとんど地上のだよな。いくら流通しているとはいえ、トリナディアらしい家が見當たらないぞ」
「言われてみればそうかも。何というか見たじ日本の家屋のじがするわね」
「もしかしたらここに住んでいたのって……」
結論づけようとしたところで、突然屋敷が揺れ始める。
「じ、地震?」
「いや、これは……」
窓の外を見ると、他の場所が揺れている様子はない。つまりこの屋敷だけ揺れている事になる。これってまさかとは思うが、
「ポルダーガイスト現象?」
「何それ……きゃっ」
突然ハナティアが立っていた床が抜ける。俺はギリギリのところで彼の手を摑み、何とか救い出すと、揺れはいつの間にか収まっていた。
「これは本格的に怪しい匂いがしてきたぞ」
「しょ、翔平、う、う、後ろ」
「後ろ?」
ハナティアに言われて背後を振り向く。そこに居たのは白い服を著た長髪のが立っていた。
「で、出たぁぁ 」
まさか本の幽霊を見る事になるとは思っていなかった俺は、ハナティアの腕を摑み一目散に逃げ出す。
「な、何なの今の。ほ、本當に幽霊?」
走りながらハナティアが訪ねてくる。俺はその問いに対する答えは決まっていた。
「分からん。だがこの世の人間ではないのは確かだ」
「どうして?」
「あいつ足がなかった」
「え?」
ボルダーガイスト現象、そして幽霊屋敷と呼ばれているこの場所。そこから出てくる結論は、彼が恐らく幽霊屋敷の原因の一端になっている事。
「ちょっと早い肝試しになるな」
「や、や、やめてよ!」
■□■□■□
あまりの恐怖に逃げた俺とハナティアは、屋敷の二階の書斎みたいな部屋に逃げ込んでいた。本當は今すぐこんな屋敷を出たいところだが、次いつアレに遭遇するか分からないので、今は一階には降りたくない。というかこの屋敷の調査、もう二度と來ないためにも今のに解決させておきたいのが本心だった。
「はぁ……はぁ……。ここまで逃げれば追ってこないわよね」
「多分な。でもあれが幽霊なら壁をすり抜けてきそうだから怖い」
「な、何でそんな怖いこと言うのよ馬鹿!」
とりあえず俺とハナティアは、逃げ込んだ書斎の調査をする。書斎にある本は全て日本文學のものばかりで、このトリナディアとは関係ないものばかりだった。
(というか不思議とこの本、見覚えがあるようなないような……)
「トリナディアに関する本が多くないとは言っても、この書斎にあるものが日本文學ばかりってのも変な話ね」
「何だハナティア、日本文學分かるのか?」
「全部だけではないけど、これでも時間がある時は調べたりしているの。芥川龍之介の本とかも読んでいるの」
「へえ」
それはちょっと意外だった。しかも芥川龍之介とか何とも渋い本を。
「ハナティアってそういうの苦手そうだけどな」
「そうでもないわよ。私こう見えて文學だし」
「どこをどう見れば文學に見えるんだよ」
「こうやって眼鏡をかけてみたりすると意外にも」
書斎に置いてあった眼鏡を勝手に手に取る。それをかけたハナティアは、ドヤッと言わんばかりにこちらを見てきた。
「どう? 見えるでしょ」
「ドヤ顔しなければ見えなくもなかったな」
そんなやり取りをしながら、書斎の調査を続ける。すると本棚の中からハナティアが何かの本を見つけて、それを読んでいた。
「この本、もしかして……」
「どうしたハナティア? この本を知っているのか?」
「う、ううん。多分私の気のせいだから気にしないで」
「そ、そうか」
ハナティアはその本を元に戻す。見たじ何かの絵本みたいだけど、気のせいか俺もそれに見覚えがある。
(気のせいだよな多分)
さっきから見覚えのあるものばかりを見ているから、しだけある予がしていた。
「さてと、書斎も大調べたし次のところを調べに行くか」
「あ、うん」
もうあらかた書斎も調べたので、俺は書斎を出ようとする。しかしハナティアは何故か出ようとしなかった。
「ハナティア?」
「あ、ごめん。今行く」
先ほどから様子がし変なハナティアを気にしながらも書斎を出た俺達は、次の場所へと向かって歩き出す。
「ねえ翔平」
「どうした」
「私この屋敷來たことがある」
「え? この屋敷の事知っているのか?」
「気のせいではない。本當まだ小さい頃の話だけど、私あの書斎で見た本昔読んでもらった事があるの」
「そうなのか?」
「翔平も多分知っていると思うけど、思い出せない? というか知っていないとおかしい話だと思う」
「何だよそれ、からかっているのか?」
一応記憶にはあるような気もするが、核心的なな報は一つもない。
「そうじゃないわよ。ただよく考えてみれば分かると思うの」
「よく考えれば?」
ハナティアの言いたい事は分かる。だけど答えは今の俺に出すことなんてできない。
「おぼろげだけど來た事がある記憶くらいしか」
「そっか。じゃあこの話はまた今度にするね」
「何だよ気持ち悪いな」
噓をつく理由はなかった。素直に答えればよかったんだ。でもその答えを俺は恐れた。だって信じたくなかったから。
ここで俺がかつて住んでいた事があるという答えなんて。
それはつい先日見つけたあの寫真との繋がりから導いた答え。そしてそれを示す真実は……。
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