《我が家の床下で築くハーレム王國》第69話僅かに生まれる不協和音
ハナティアがバイト先にやってくるなど、一波があった夏休みも殘り一ヶ月を切り、俺も選択の時が刻一刻と迫っていた。
「これ一人で作ったのか?」
「一人でって訳じゃないけど、大の組み立ては俺がやった」
「すごいな翔平」
「翔平君にそんな才能があった事に信じられません」
「何もないのが取り柄だと俺も思ってた」
「二人ともとりあえずそこに正座しようか」
九月にってすぐ、正志と雪音が一種のお泊まり會としてトリナディアへとやって來る。俺が木材て作り上げた數々の遊達を見て二人は驚きを隠せないでいた。
「翔平はすごいんだから」
「何でお前が誇らしげに言うんだよ」
手伝いはしたけど、俺がほとんど作ったんだからな、これ。
「これもする妻のためか、流石だな」
「ロマンをじます」
「待て二人とも、決してそういう事ではないからな!」
ハナティアの為ではあるかもしれないが、どちらかというとトリナディアの為に作ったのでそこは勘違いしないでもらいたい。
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「ところでさ、翔平の後ろにいるその子は誰だ」
話は変わって、正志が俺の背に隠れているフウカを見ながら尋ねてきた。
「あ、フウカの事か? フウカは……」
「翔平が見つけてきた子よ」
「翔平、まさかお前子供をしがるばかりに拐を」
「ちょっと待て、紛らわしい事言うなよハナティア! 確かに見つけた事には見つけたけど、なんか意味が違うからそれ」
というか見つけたというか、城で見つかったに近い。
「翔平君、私は犯罪を犯すような子に育てた覚えはありません」
「育ててもらった覚えもないし、子供ですらないからな!」
そもそも何で見つけた=拐になるんだよ。拾ってきたならともかく……。
「あ、違う。翔平は見つけてきたんじゃなくて攫ってきたんだった」
「ど直球に言われた?!」
「ゆ、雪音、百十番って何番だっけ」
「お、お、落ち著いてください」
このあと誤解を解くのに三十分かかりました。
そんな一幕がありながらも、俺達は公園づくりに今度は五人で始める。雪音や正志には遊に塗りなどをしてもらい、俺は公園を作る予定地へとハナティアと一緒にやって來ていた。
「國民の協力を得るために、演説?」
公園の間取りを始めてすぐ、ハナティアが近いうち國民に対して演説をしたいと言った。
「うん。多分私達の力だけじゃどうにかできないと思うから、國をあげてトリナディアを変えたいなって」
「まあ、國を変えるきっかけになる一番の方法は、國民全員の協力が必要だからな」
俺ももっとトリナディアの事を知れるキッカケにはなってくれるだろうし、それについては俺は大いに賛だった。だが一つ、俺は懸念している事がある。
(この演説で、本當に協力を得られるかどうか、だな)
今でさえ俺達がこの作業をしている事に興味を持っていない。ハナティアは王なので、すれ違えば挨拶はされるけどそれ以上の事はしていない。それが俺はすごく気がかりだった。
(本當はこの國って……)
嫌な事を考えてしまう。だがそれを口にしたら、多分俺はこの國にはいられない。
「今まで私達は何もやってこなかった。だからこそ今、國を変える時だと思うの」
夢を語るようにハナティアは言う。その夢がもし砕かれた時、果たして彼はここに立っていられるのだろうか。俺ははそれが不安だった。
■□■□■□
今日の作業も結局日付が変わるまで続き、全員ヘトヘトの狀態で一日が終わった。
「うへぇ、疲れた。よくこんなの何日も一人でやったな翔平」
「もう慣れたからな。正志も雪音も今日は手伝ってくれて本當に助かったよ」
「何言っているんだよ。俺も雪音も夏休みが終わるまでは手伝うからな」
「え? 本當に?」
正志の言葉に反応したのはハナティア。思わぬ協力者が出た事に、驚いたのだろう。まあ俺は二人がそのつもりで來ていたのは知っていたけど。
そこに更に正志が言葉を付け加える。
「それに三人で居られる時間をもっと大切にしたいからな、俺も雪音も」
「そうですね。ハナティアともそうなんですけど、翔平君との時間は大切にしたいですから」
「お前ら……」
その言葉を聞いて、その殘りの時間のなさを俺は改めて知らされる。最近は忙しすぎて意識をしていなかったけど、もう九月にっているため夏休みが終わるまでの時間も殘りない。
本當なら今の作業を止めて、今ここにいる全員でどこかへ出かけたいくらいだけど、それぞれバイトがあったりでまとまった時間を取るのも難しい。だから今この時間だけでも大切にしたいわけだけど、
「気持ちは嬉しいけど二人とも夏休みの課題は終わったのか?」
「ちくしょう、思いださせるなよぉぉ」
「折角の雰囲気が臺無しじゃないですか」
「でも事実だろ?」
正志と雪音にとっても殘りの夏休みは大切だ。主に勉強的な意味で。
皆が寢靜まった夜中、ハナティアが寢る前に俺に話がしたい事があると彼の部屋に呼び出された。
「どうしたんだよ、わざわざこんな夜中に。明日じゃ駄目なのか?」
「別に今日じゃなくてもいいんだけど」
「じゃあ俺は明日に備えて寢るよ。おやす」
「翔平、私やサクヤに隠し事をしていない?」
部屋を出ようとした俺に、ハナティアがそんな言葉をかけてくる。俺はドアノブにかけた手を止める。
「隠し事? 何だよいきなり」
「正直に答えてほしいの。アルバイト先で、翔平がこの前誰かと話しているのを見たって人がいるから」
「……」
心當たりはあった。でもそれを何故このタイミングで。
「ずっと話そうと思ってた。でも私が聞く勇気がなくて、言い出せずにいたの。でも今日やっと聞ける事ができた」
「別に誰と話してたかはいいんじゃないのか? 俺だって人間だし」
「確かに普通に捉えれば誰だってそう思う。でも話していた人が私にそっくりの人だったって言われたら、疑問を持つでしょ?」
「それは……」
「答えて翔平。あなたは私達に隠れて誰と會っていたの?」
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