《我が家の床下で築くハーレム王國》第84話本當の被害者
一人になるために一度家を出た俺は、そのまま近くの公園に立ち寄った。
(何となく分かっていたけど、いざその話を聞くとやっぱりショックだよなぁ)
ここに來る前にハナティアから寫真をけ取った時點で、それなりの覚悟をしていた。だけど、いざ現実に直面するとどうすればいいか分からなくなってしまう。
『ハナティア、あの寫真今も持っているよな? 渡してくれるか?』
『え? それって翔平は、つまり……』
『夏休みも殘り時間がない。一度親の目の前で話したいと思うんだ。俺の失っている記憶の中にある真実を』
『覚悟ができたの?』
『ああ』
あの時の言葉は強がりでもあったのかもしれない。このまま知らないままトリナディアで暮らすなんて事きっとできないし、何より父親に許可をもらう必要があったのはずっと前から分かっていた。
(だから話さないと駄目だったんだ。何もかも)
「あら、あなたは確か」
ベンチに座って、ずっと考え事をしていると聲をかけられる。顔を向けるといつしか會った事があるような、ないような微妙なじのが立っていた。
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「えっとあなたは確か……」
「ほら、一緒に雨宿りをした時の」
「あ、確かフリーのライターの」
「花咲葉よ。三ヶ月振りくらいかしら」
雨宿りで思い出したが、確か三ヶ月前ほどに雨宿りしている時に偶然會った例の事件を知っている人だ。もう會う事はないと思っていたけど、まさかこんな形で再會する事になるとは。
「お仕事の休憩中ですか?」
「丁度仕事が終わったところなの。ところで、例の事何か分かったことがあったかしら」
「いえ、俺からは特には」
「そうなの、殘念。でもこちらは分かった事があるわよ」
「分かった事?」
記憶の手がかりになると思ったので、尋ねてみる。すると彼はこう答えた。
「例の事件とほぼ同時期にある事が起きていたのよ」
「同時に? それは偶然とかではなくて?」
「偶然とは思えないのよ。実は被害者が出てきた地下の場所があったと言われている日の數日前、都大きな地震が起きたのよ」
「都で?」
確かに俺の家は都でなおかつ、その床下にトリナディアがあった。となるとトリナディアは都にある事になる。詳しくはまだ思い出せていないけど、例の事件は大きな揺れが起きた事によって天井が崩れた事による事故だった。
(しかもそれは、ハナティアが儀式に勝手にってしまったから起きてしまった事だって言っていたけど)
もしこの二つが単なる偶然では無く、どちらが先に起きたかによってはもしかしたら例の事件の真相って……。
「どうしたの? 何か重いたる事でもあるの?」
「い、いえ」
「ところで被害者の名前にあなたと同姓同名の人がいたけど、それって偶然?」
「えっと、それは」
事件を追っているなら自然と分かってしまうのが、被害者の名前。必ず知られている事だと思っていたけど、もう會わないと思っていたし、気にしていなかった。
(つくづく運が悪いよな俺)
でも知られると面倒くさいし、ここは隠し通すのが一番だと判斷する。
「偶然じゃないですか? ほら、被害者なら覚えているし」
「まあそうよね。単なる偶然よね」
「そうですよ」
「でも一つ引っかかる事があるのよ」
「引っかかる事?」
上手い事誤魔化すために話を進める。だが葉さんが引っかかる事は、俺の予想を越えるものだった。
「例の事件、被害者が地下から出てきたって以前話したわよね?」
「はい」
「被害者三人いてそのの男の子一人が奇跡的に生還、一人のの子は死亡。もう一人のの子は軽傷で済んだらしいんだけど、何で地下の事故なのに一人だけ軽傷なのかしら」
「え?」
あれ、重傷だったのはハナティアであり、俺ではないはず。確かに葉さんの言う通り軽傷で済むのもおかしいけど、それ以前に被害狀況が違う。
(まさか姉ちゃんの臓を移植したのって本當は……)
俺なのか?
■□■□■□
もう會う事はないだろう葉さんとはしばらく話した後に別れ、家に戻った俺はリビングに顔を出した。するとそこには母さんだけでなくハナティアと父さんの姿もあった。
「あ、おかえり翔平。どう気持ちの整理ついた?」
俺が帰ってきたのを見つけたハナティアが真っ先に聲をかけてくる。俺はそれを軽い返事で返すと、そのまま自分の部屋へと上がってしまった。
「翔平?」
「おい翔平、話が……」
背後から聲がするがそれを聞く気力もない。俺は部屋にるとベッドに寢そべり、天井を眺めた。
(トリナディアに來てから何度か聞いていた聲、あれっ姉ちゃんのだったのか?)
俺の中で眠る姉ちゃんの鼓が俺に語りかけたのだろうか。そしたらおかえりとかの言葉も納得できる。でももし仮にそれが本當だとしても、ハッキリしている事は一つ。
姉ちゃんが命を賭して救ったのは俺だったという事。
そう考えると急に自分の命に重みが増した。
「翔平どうしたの? 顔だけ出して部屋に閉じこもっちゃうなんて」
部屋の外から聲が聞こえる。心配になったハナティアがわざわざ様子見に來てくれたのだろうか。
「悪い。そんなつもりはなかったんだけど、もうしだけ時間がしいんだ」
「え? でも……」
「なあハナティア」
「ん?」
「これから話すのはあくまで仮説だから、気にしないでしいんだけど、お前に聞いてしい話がある」
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