《我が家の床下で築くハーレム王國》第86話二人きりの旅行
夏休みも殘り三日。サクヤの提案で俺とハナティアは二人である意味最後の旅行へ行く事になった。目的地は海に行きたいという事もあり、千葉県の鴨川市へ。宿も夏休み明けな事もあってか、取りやすくあっさり宿泊場所も決まった。
「わーい、海だ!」
宿泊場所に荷を置いた俺達は、そのままし歩いた先にある海へとやって來た。そういえば今年は何だかんだで々あって海に來ていなかったから、こうして來るのは一年ぶりくらいになる。
(まさかその海に、ハナティアと二人で來れるなんてな)
「ねえ翔平、やっぱり水著持ってきた方が正解だったんじゃないの? ここも泳げるんでしょ?」
「いや、むしろ持ってこなかった方が俺は良かったと思うけど」
「どうして?」
「気溫を考えろ、気溫を!」
とは言っても現在九月も半ば。この時期に水著に著替えて海を楽しもうだなんて、そんな気にはならない。現に今この海岸にいるのはハナティアと俺のみ。こんな所で二人で水著で泳いでいたら、通報されかねない。
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「折角の海だから泳げるの楽しみにしていたのに」
ションボリとするハナティア。気持ちは分からなくもないが、こればかりはタイミングが悪かったから仕方がない。
「何かと忙しかったからな、この夏休み。こんな忙しくなかったら普通に正志達と海にでも行ってたし」
「この二ヶ月だけでも々あったからね。主に翔平が大変だったんじゃないの?」
「々な意味で忙しかったよ。主にトリナディアの事で」
「それって私達のせい?」
「いや、そうは言ってないよ」
ハナティアとああして出會わなければ、こんな人生の転機みたいな事は起きなかっただろうけど、自分の過去も知る事はできなかった。誰かと家族になる事もなかった。
(だから今俺がここにこうしていられるのは……)
全て彼のおかげだ。
「むしろ俺はハナティアに謝しているよ。俺は今お前に出會えた事が最高の幸せだと思える。ありがとう」
「れ、禮なんかいきなり言わないでよ」
「こういう時しか言えないんだから、いいだろ」
「は、恥ずかしいでしょ」
照れてるのか顔を赤らめるハナティア。その仕草一つ一つがとても可らしくて、俺は本気で彼を好きになったんだと改めて実する。これから先、過酷な事が増えるかもしれないが、その時はきっと彼が側にいれば……。
「ねえ翔平」
「ん?」
「あと三日だね」
「そうだな」
堤防に腰掛け、海を眺めながらハナティアがそう呟く。
「今更こんな事聞くのもあれだけど、その、寂しくないの?」
「それは寂しいに決まっているだろ」
「本當は地上に殘りたかった?」
「それは……」
どう俺は答えるべきか悩んだ後、俺は彼の隣に腰掛け、素直な気持ちを話す事にした。
「殘りたかったかな、やっぱり」
「そうだよね。翔平にとっては記憶がないとはいえ、この場所が自分の世界みたいなものだからね」
「まあな」
「私ねずっと不安だったの。翔平が最後の最後にやっぱり地上に殘るって言い出すんじゃないかって」
「俺がそんな事言う人間に見えるか?」
「見えないから分からないのよ。翔平が本當はどんな事を考えているのかなって。だからずっと怖かったの」
ハナティアの不安がる気持ちはもっともかもしれないけど、俺は一度決意してからは一度もその決意は揺らいでいなかった。自分の幸せは自分で決めるように、俺はハナティアと共にトリナディアで暮らす事が一番の幸せだと思っている。
もうそれ以外の幸せなんて考えていない。
「ハナティアのその気持ちは何となく分かるけど、そんな不安がる必要なんてないよ。俺はもう見つけちゃったんだから。自分の幸せを」
「幸せ?」
「俺はいまここでこうやってハナティアと一緒に過ごしている時間が一番幸せなんだ。たとえお前がどんなに変わっていても、俺はもう離れない」
「ちょっとそれ、どういう意味よ」
「冗談だ、冗談」
「冗談には聞こえなかったんだけど私……」
「それにそんなに不安になるくらいだったらさ」
俺は堤防から降りて海に向かって歩く。そして數歩進んだ後に、後ろを振り返った。
「これからの生活の中で、それを証明するよ。もうお前から離れないって」
「……ありがとう」
これは一日目の夕方の一幕。この後俺達は宿に戻って、先に溫泉にる事にしたのだが、そこで事件が起きた。
「あのさハナティア」
「何?」
「お前はどうしてらさらっと男湯にってきているんだよ」
何とハナティアが男湯にってきたのだ。
「だってこの時間、男湯か開いてないんだもん」
「だったら我慢しろ」
「ねえいいでしょ。誰もっていないみたいだし」
「バレたら今日野宿だぞ」
「玉砕上等よ!」
「見つかる気満々じゃねえか」
出て行かせようにも既に服をぎ始めてしまっているので、それを止める事ができない。この前はサクヤに止められてしまったけど、ハナティアと二人きりで風呂にる機會がまたやって來るなんて思いもしていなかったけど、本人が玉砕上等で來ているならこちらも腹をくくるしかない。
「ハナティア、いざ誰かがってきた時用のためにこれを被るんだ」
「ちょっ、これダンボールじゃない。これ被ったら即バレに決まっているでしょ」
「大丈夫だ。お前も某スネークさんのようにこのダンボールと一化さえすれば隠れられるはず」
「卻下よ!」
ダンボールはハナティアによってゴミ箱に捨てられました。
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