《我が家の床下で築くハーレム王國》第103話友達と約束とその後

途中で訶不思議な話があったものの、スズハさんへのトリナディアの案は約二時間で終わりを告げた。その頃にはサクヤとのわだかまりとかもすっかり忘れていて、私の気持ちはしだけスッキリしていた。

「今日はその、ありがとうございました。見知らぬ私のために案なんてしていただいて」

「何を言っているのよ。もう私達友達でしょ? スズハ」

二時間の間ですっかり彼と打ち解けた私は、貓被る事なくいつも通りの私で彼と接していた。それと比べてスズハは、まだ遠慮しているのか敬語が抜けていない。

(それとも元からそんなじなのかな)

「友達……。私なんかが友達でいいのですか?」

「そんなに自分を卑下する必要なんてないわよ。私スズハと過ごせて楽しかったし、しばらくはここにいるんだから會えるでしょ? だから私達は今日から友達。私の事も呼び捨てでいいから。よろしくねスズハ」

「は、はい! よろしくお願いします、ハナティア……さん」

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恥ずかしいのかやはりさん付けから抜け出せないスズハ。私はやれやれと思いながら、彼に別れの挨拶をした。

「じゃあまたね、スズハ。多分また近いうちに會えると思うけど、その時は私の家に招待してあげるから」

「は、はい。是非私の家にも今度遊びに來てください」

「うん、じゃあ約束ね」

「はい、約束です」

最後に次にまた會う事を約束した私達は、トリナディアの城の前で別れる。まさかスズハも、私の家がここだとは思ってないんだろうなぁ。

(今日は々あったけど、楽しかった)

家に帰るのはしだけ憂鬱だけど、二時間前よりも私の気持ちはしだけ軽かった。

「ここに來て初めての友達、ハナティアさん。いい人に會えてよかった」

まさかこんなにもご丁寧に國を案してくれるとは思っていなかったけど、友達もできてこの國の事もしれて好都合だった。

(ハナティアさんだけは巻き込みたくないなぁ……)

にいつかは私がこの國に來た本當の理由を話したら、どう思うのかな。

(大丈夫だよね、きっと)

■□■□■□

何故か一緒に出かけていたはずのサクヤが先に帰ってきて、それから更に二時間が経った頃にハナティアが城に帰ってきた。

「ただいま翔平。お留守番ありがとう」

「いや、それは別に構わないんだけどさ。どうしてお前」

「ちょっと歩き疲れちゃったからお風呂ってくるね」

々聞きたいことがあるのに、それを誤魔化すかのようにハナティアは一人でお風呂へと向かってしまう。

(サクヤもさっきから様子が変だし、ハナティアも俺をまるで避けているみたいだし、どうなっているんだ)

正直な話をすると、俺もハナティアと話す事を心避けようとしていた。ミルからあんな話をされた後だと、どうしてもそっちの事ばかりに頭が行ってしまい、ろくな會話ができない気がする。

「翔平」

「わ、何だフウカか。いきなり聲をかけてくるなよ」

「さっきから呼んでた。でも反応がなかった」

「そうたったのか。悪い、ちょっと考え事していた。それより俺に何か用か?」

「翔平に聞きたい事がある」

俺に聞きたい事があると言ったフウカは、何故かそのまま歩き出してしまう。ここで話すようなことではないという事なのだろうか。俺はフウカの後を追った。

「最近外に出てたらしいけど、それと聞きたいことが関係あるのか?」

「別にそうじゃない。私が聞きたいのは……」

突然フウカは足を止める。そしてこちらにを向けて、

「翔平、昔私に會ったことある?」

そんな事を聞いてきた。俺は記憶を掘り返してみたものの、フウカと會ったことがあるような記憶はどこにもなかった。

「會ったことは多分ないと思うけど、どうしてそんな事を?」

「どうしてか分からないけど、思い出した記憶の中に翔平が出てきた」

「俺が? というかフウカ、お前記憶を……」

「私の気のせいならそれだけでいい。答えてくれてありがとう」

こちらの言葉を聞く前にフウカはそそくさとどこかへ行ってしまった。追おうと思ったが、それよりも優先しなければならない事があるので、俺は追おうとはしなかった。

(もしかしてあいつ、本當は記憶を取り戻し始めているのか?)

だとしたら、どうしてフウカの記憶の中に俺が居たのだろうか。

■□■□■□

フウカの記憶について気になる事がいくつもあったものの、俺はハナティアがお風呂から上がってくるのを待って、改めて花ティアに話しかけた。

「なあハナティア、し話がしたいんだけどいいか?」

「話? それなら後にしてくれない? 私ちょっと今から用事があるから」

「用事ってなんだよ。俺はお前とどうしても話しておきたい事が」

「ごめんね翔平」

ハナティアが何かを避けるかのように、自分の部屋にろうとするが俺は彼の腕を摑んでそれを止める。

「離して」

「駄目だ。お前サクヤと一緒に出かけたのにどうしてサクヤだけが先に帰ってきたんだよ。何かあったのか?」

「別に何もないわよ。サクヤが先に勝手に帰っただけの話だから」

「いつもお前の側にいるサクヤが勝手にそんな事するわけがないだろ。それにお前も帰ってくるのが遅かった。なあ何があったんだよ」

「別に翔平には関係ない事。だから……」

「もしかしてお前、何かに気づいてサクヤにそれを……」

「っ! とにかく放っておいて!」

「あ、おい!」

俺の手を無理やり引き剝がしたハナティアはそのまま部屋にり、鍵すら閉めてしまう。あの反応からするとハナティアはもしかしたら……。

(だとしたら、俺が関わるべき問題じゃない……のか?)

結局この日ハナティアは一度も部屋から出てこず、更に気まずい空気が続いたまま、気がつけば十月になってしまったのであった。

そしてこの件が再びき出したのは、十月の頭にトリナディア城で起きたある事件がキッカケだった。

「何でいつもあんたは余計な事ばかり話すのよミル! 私の気持ちも考えないで」

「じゃあずっと黙っているつもりだったの?」

「そ、それは……」

結婚式も控えた波の十月が、いよいよ幕を開ける。

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