《我が家の床下で築くハーレム王國》第105話その手に伝わる溫もり
「どうして戻ってきたの? 一人にしてしいって言ったでしょ」
再び部屋に戻ってきた俺に対して、ハナティアはこちらを睨みながら言った。
「確かにそう言ったな」
「だったらどうして」
「最近遠ざけられてばかりだったからな。ハナティアとは一度話したかった」
「それは仕方がなかった事だし……」
「仕方がない?」
ハナティアの方から俺を遠ざけているのは分かっている。ましてやサクヤや先程のミルに対しても同じだ。そんな風にしずつ歯車がズレ始めたきっかけは、やはり先月の彼の演説以降だ。
けどそれが果たして仕方がなかった事なのかと言われればそれは違うと思う。
「本當はミルに言われなくても、そんな予がしていたの。流石に私も馬鹿じゃないから、気がつかない方がおかしいでしょ? でもそれを認めたら、これまでの私を否定する事になるから、それが嫌だった」
「だからサクヤや俺を遠ざけていたのか」
「サクヤはともかく、翔平にミルがそんな話を私が知らないところでしているとは思わなかったから、本當は遠ざかる必要なんてなかったって今は思っている。ごめんね」
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ハナティアはそう言うと俺に頭を下げてきた。
「俺に謝らなくていいよ。俺もこの前は無神経すぎたと思っているから。それよりももっと他に謝るべき人がいるんじゃないのか?」
「サクヤとミルの事?」
「ああ」
俺は更に言葉を続ける。
「特にサクヤに関しては、お前の事を一番心配しているよ。手がつかなくなる前に、ちゃんと和解した方がいいよ」
「でも私、サクヤにあんな事言っちゃったし……」
「実は大の話はサクヤ自から聞いているんだ。あの日、何があったのか」
「そう……だったんだ」
「その上でサクヤはこう言っていたよ。ちゃんと話がしたいってさ」
「サクヤ……」
サクヤは今回の事でかなり気に病んでいた。話ができたのだって、今朝の事だ。その上で俺は彼の部屋に向かおうとしていたところで、二人の言い爭いに出くわしたのだった。
「お前にとっては辛い話になるのは分かっているよ。こんな話ばかりで嫌だよな。でもだからこそ、俺達二人で乗り越えるべきじゃないのか?」
「私達で?」
俺はハナティアの隣に座り、彼の肩を抱く。ここしばらくれられなかった彼の溫もりが、伝わってくると同時に、彼の震えもそのから伝わってくる。
「お前には俺がいるんだ。いくら突き放しても、俺はお前から離れない。だから二人で乗り越えよう」
「翔平……」
ハナティアは俺にを預け、そのまま泣いた。それを俺は優しくけ止める。
(本當はもっと早くにこうするべきだったんだよな……)
一番支えてやるべきだった俺が、彼に近づく事を恐れていた。ハナティアも俺から距離を置いているからと決めつけて。でも本當は、彼が俺を求めていた。こんなに彼は震えているのに、俺はそれをけ止められなかった。
「ハナティア、ごめんな……」
俺は泣いている彼に聞こえないように、小さな聲でハナティアにそう謝った。
■□■□■□
ハナティアを見守っているうちに、気がつけば夜になっていた。
「ん……あれ、私いつの間に……」
「しは落ち著いたか?」
途中で泣き疲れて眠っていたハナティアが、目を覚ます。俺は彼の頭を優しくでてあげた。
「翔平、ごめん私……」
「いいよ気にするな。俺もそれくらいのことしか出來ないんだから」
「うん……。ありがとう」
ハナティアは目をりながらそう禮を述べる。こうして二人きりの時間を過ごしたのもし久しぶりだったので、俺としては苦ではなかった。夕食の時間も過ぎてしまっているのだが、サクヤが一度確認しにきているので問題もない。
「さてと腹も減ったし、ご飯食べに行くか」
「そういえばわたし、朝から何も食べてない」
「だったら尚更だな」
俺とハナティアは部屋を出る。
「あ」
「あ」
部屋を出たところでサクヤと遭遇する。どうやらまた様子を見にきてくれていたようだった。
「ハナティア様、ゆっくり眠れましたか?」
「あ、うん……。サクヤ、私、その……」
「お腹も減っているようですし、今から夕食の準備をしますね」
「え? でもまだ私……」
「お話なら夕食を食べてからにいたしましょう。私もちゃんとハナティア様とお話がしたいですから」
サクヤはそう言い殘すと、夕食の準備へと向かった。それを待つ間俺とハナティアは、改めて二人きりで話をする事にした。
「サクヤ、やっぱり怒っているのかな」
「それはないよ。さっきも言ったけど、お前が心配だからちゃんと話がしたいって言っていたんだから」
「そうだけど、やっぱり私怖いよ」
よほど不安なのかその言葉は震えていた。こればかりは直接話さないと彼には伝わらないので、俺はどうとも言うことができない。この先は二人の問題だ。
「それに今月は忙しいんだから、しっかりしないとな」
「忙しいって何が?」
「おいおい、今月結婚式なんだからしっかりしろよ」
「え、あ、そうだったよね。しっかりしないと」
元気がない返事が返ってくる。俺はこの時彼がどうしてこんな様子なのか分からなかった。勿論結婚式は挙げるんだけど、何故か今になってそれがしだけ不安になった。
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