《我が家の床下で築くハーレム王國》第110話高熱の中の想い

要領は六月に行った時と一緒で、長時間の間臺座の上で祈りを捧げ、これを一週間続けて行う。四ヶ月前はその苦行にただただ驚かされたが、二度目となれば流石に驚かない。

「あ、足がぁ」

「四ヶ月前と同じこと言ってるね、翔平」

それが苦行である事には変わらないが。

「何だかんだであの時とそんなに変わっていないんだな」

「そんな事ないよ。だってあの時はまだ付き合ってすらいなかったんだから」

「関係は確かに変わったな」

俺は痺れる足を何とか我慢しながら、立ち上がる。初日も気がつけば半分が終わった。四ヶ月前よりかはハナティアを支えれるようになったが、それでもハナティアの足元にも及ばない。

こうして途中で立ち上がった俺とは違い、ハナティアは平気な顔で儀式を続ける。前回よりも余裕ができたからなのか、こうして會話することも増えたが、それでも長く會話はしない。

(こういう時は真剣なんだよな、ハナティアは)

それが彼の良いところでもあるのは分かっている。だからこそ彼は王としての素質があるのだ。

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(素質、か)

九月の演説の際に彼の姉から言われた言葉がふと頭を過る。彼は言っていた。俺にはトリナディアの王となる資格はないのだと。もうあれから時間は経っているのだが、俺の中では今でも殘り続けている。

(素質があるだなんて大見得切って言えないから、そこを見抜かれているんだよなきっと)

今目の前で頑張っているハナティアを見て、よりそれを痛する。

「翔平? 休憩してもいいんだよ?」

そう考えた途端、俺は気がつけばハナティアの隣に座ってい、彼と一緒に儀式をしていた。足の痺れもまだ消えていないけど、彼が頑張っているのに俺が前回と変わらないままなんてそんなの良くない。

「確かに休憩も大切だけど、俺だって前回と同じのままな訳にはいかないだろ?」

「だからって無理をしなくても」

「それはこっちのセリフだよ。お前だって無理はするなよ、妊婦でもあるんだから」

「うん、ありがとう」

俺はこの後も彼のサポートを続け、六月の時よりも時間の経過も早く、気がつけば儀式を始めてから四日が過ぎていった。

だけどその四日目の夜、

「翔平、大丈夫?!」

支えなければならない立場の俺のが崩れた。前回は六日間平気だっただったのに、今回はそれ以上に頑張ったせいかが悲鳴を上げ始めていた。

「大丈夫だよ、心配するな」

「すごい熱、サクヤを呼んで翔平だけでも」

俺のデコに手を當ててハナティアは慌ててサクヤを呼びに向かおうとする。だが俺はその彼の腕を摑んだ。

「駄目だハナティア、今回は二人で乗り切らないと」

「でもその熱だと、後三日はもたないよ」

「だからって諦めるのか? そんなのはお前だって嫌だろ。だから明日までに治すから」

「翔平……。馬鹿」

馬鹿だと言われてもかまわない。これは俺がこの先長するための試練にもなるのだから。

「心配させて悪かったな。お前もしっかり休めよ」

「うん……」

■□■□■□

ーー五日目の朝

やはりというべきか俺のはすぐには治らなかった。季節の変わり目でもあるからなのか、どうもがだるい。でもここで俺なんかのために諦めてしまったら……。

「熱下がってない。やっぱりサクヤを呼んで」

「あと三日くらい大丈夫だから、ハナティアは先に儀式をやっていてくれ。俺も楽になったら手伝うから」

「そんなこと出來ないよ。私翔平が無理している姿は見ていられないよ」

「駄目なんだよここで諦めたら。俺がこれから王になるためにも、しでも無理しないと」

「翔平、どうしてそこまでして」

「お前のためにだよ、ハナティア」

「私の為?」

熱で頭がボーッとしているからなのか、つい本音が出てしまう。俺が今頑張っているのは、自分の為でも、トリナディアの為でもない。ハナティアの為だ。

「いつか話したと思うけど、俺お前の姉に王の素質がないって言われたんだ。それからずっと考えていたんだよ、どうすれば王としてお前の隣に立てるか」

「前も言ったけど翔平は十分なくらい素質はあるよ。ここまで私のために頑張ってくれたんだから」

「それじゃ足りてないから、俺もあの時ちゃんと言い返せなかったんだ。だからもっともっとお前のために頑張りたい。だからハナティアももっと頑張ってほしい。それに俺は追いつくから」

俺は何とか立ち上がり、ハナティアより先に臺座へと向かう。本當なら簡単に調を崩すほどは弱くないのだが、最近々なことがありすぎてそれが祟ってしまったらしい。

(儀式が終わったら死んだりしないよな、俺)

臺座に座ったところで、俺は倒れてしまいそうになる。けど、そのを支えてくれたのはハナティアだった。

「私の為だと思うなら休んで翔平。サクヤは呼ばないから、せめて無理せずに休んで」

「ハナティア、俺……」

「お願い」

「……分かった」

儀式ができるではないことを見抜かれているからかか、ハナティアはそう優しく俺に言ってきた。とっくに限界を迎えていた俺は、その言葉に甘えるかのように、ハナティアにを預けたまま目を閉じた。

「って、そのまま寢ないでよ」

ハナティアが何かを言っているが、それは屆かない。

「もう……。本當仕方ないわね」

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