《TSしたらだった件~百合ルートしか道はない~》「先生は何か尖ったモノに頭をぶつけたのかもしれない」
やたらと厳しいのも嫌だけど、逆に昨日まで厳しかった奴が突然優しくなるとものすごくポカンとするよな。まぁ、それはそれであとあと何かがあるんじゃないか?って思えるんだよな、これが。
日頃の行いはイメージを定著させるってやつだ。
え?俺はそんなものがあったりするのかって?
おいおい、考えてもみろよ。俺はTSしてるんだぜ?だからイメージも何も結局意味がないんだ。だってほぼ別人みたいなもんだからな。別違うし。
………だからって日頃変なイメージが定著してるわけじゃないぞ?俺イズノーマル。普通の男と思いきやです。
「しかし、井上がここまで優しいとかホント天変地異でも起きそうだよな」
「あぁ………もしかしたらどっかの誰かを見て訳が分からなくなった挙句何か尖ったモノに頭をぶつけたのかもな」
「いや、もしかしたら自分の人気が低すぎて流石にシャレにならなくなったとかじゃないか?」
俺たちは適當な事を駄弁りながら、テニス(式)を続ける。
ちなみにウチの高校はテニス部が格別強いってわけじゃないどころか部員が10人もいないのに、何故か専用のテニスコートが二面もあるのだ。學校側によればテニスコートは場所が余ったからその時流行りだったテニスを出來るようにすれば人も増えるんじゃないだろうかと考えたらしい。なんてことだ、テニスに力をれてる人たちからすれば文句が來てもおかしくないような理由だ。
………まぁ、その際はテニスコートだけでなく俺のやっていることも微妙に文句を言われるかもしれないが。
だって、前の方にいる武と、相手コートの郁馬で回され続けるボールを後ろで待ってるだけだし。やる気なしとか言われてもしかたないだろう。
仕方ないっちゃ仕方ないんだけどな。武の後ろに陣取る者は確実に勝てる代わりに一切ボールにれないというジンクスもあるほどだし。
流石は猛る武神のチート級のバケモノ生まれ変わり人間もどきとかネタで言われた男。學年どころか學校位置と名高い能力は伊達じゃないぜ。
「ところでそろそろ加減してくれないか?腕が痛いんだ」
「斷る!」
しかし、それに相対する相手方の後衛はチキンに逃げとけの戦法で相手にイライラさせ続けることで定評のある郁馬だ。
いくら打ってもダラッとしたじの………ドロップショット?を打ち続けるから段々戦意を奪われて行ってしまうんだ。
ちなみにコイツはラケットとか道を使うスポーツ限定でこう呼ばれている。臆病小心究極のチキンにしてしかし鬼チート対策と。
名前に意味はないけどな。自然についたんだよ。二人がテニスをする姿から。
………元から運音癡な上にTSして多分力の落ちた俺には程遠い世界だと言わざるをえないね。
「ならばこうさせてもらおうか」
お、試合がいた。
開始10分で0-0ってのは凄いと思うが、ようやく0-15といった傾きのある試合になった。
個人的には0-0で終わらせて永遠のゼロとか言ってやっても良かったかもしれないと思ったがな。
見事なロブショットが、武のジャンプの最高到達點をスレスレで越えたのちに俺に襲ってくる。
もちろんちゃんと試合をしているように見せるため、ラケットを振って迎撃はするが、意味は………
ちゅどっ
俺のラケットに當たったボールは、どういうわけかラケットの勢いからは想像もできないほどどの勢いで飛んでいき………コートでワンバンののち、ボールの飛び出し防止用のフェンスにめり込んで止まった。
Why was it so?(訳:なぜこうなった?)
「「「………」」」
まずいな、どうしようか、この空気。
郁馬と武だけじゃなくて、郁馬のパートナーさんもこっちを見てるよ。
どーしたものかのー。
………そうだ。ここはあえて絶対に問い詰められるようなことを言ってみよう。意外と活路が開かれるかもしれないぞ。
「うっかりやっちまったぜ☆ミ」
………うん、まぁ多分死刑確定だなこりゃ。
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