《TSしたらだった件~百合ルートしか道はない~》「うわ後輩ちゃんすごい」

「やっほい、後輩ちゃん」

俺は、部室に居る後輩ちゃんに聲を掛けた。

まぁ、このセリフで話しかけても多分俺が俺………田中由であることを理解してもらうのには多の時間が必要そうだがな。

だって今の俺と前の俺は似ても似つかないし、そもそも付き合い始めた相手が翌日にはTSしてくるとか考えようもないからな。

正直、そこら辺を都合よく察してくれちゃったりすれば楽なんだけど、そこのところは期待するだけ無駄ってやつだよな。

うん、地道に説明するとしよう。

「えと………その呼び方ということは、先輩ですか?」

あら、意外と伝わっちゃったね。まさかこおの呼び方だけで分かるとは。

を言えばもっとロマンのある理由で気付いてくれるとよかったかなーとも………張りすぎか。

しかしここで一瞬のにこの部分を察してくれたとなると、説明が楽になるからうれしい限りなんだがな。

「でもよく気付いたな。てっきり別人と勘違いされるかと思ったぞ」

「いえいえ、先輩は立っているときにかなり均等に重を掛けてますからね。私の知り合いにその立ち方をする人は先輩をれて數人ですし、その中で私より年上の方は先輩だけですから」

「………」

思わず沈黙で返してしまったが、なんだろう。後輩ちゃんに若干の変態要素をじるぞ。

これがAHアブソリュート・ヘンタイフィールドってやつか。

………でも流石に自分の彼を変態と言ってしまうのは微妙かな。と思う。

個人的に後輩ちゃんのイメージは純粋というか、穢れ無きというか、そんなものだから。

ただ俺の立っているときのクセを知ってるとかちょっとすごいどころか変態的ではあるよな。

「あと何より先輩の彼ですからね。これくらいは知ってて當然です」

當然じゃないよ。むしろものすごい報量と言わざるをえないよ。

………まぁ、後輩ちゃんの隠された変態力もとい察力はこの際置いておくとしよう。

今回の主目的は俺の現狀について説明することなんだ。あまり別の事に時間を取られるのは好ましくないぞ。ものすごく。

「あー、それでな、見てわかると思うんだが俺、TSしちまったのよ」

「あぁ、私は大丈夫ですよ。先輩がになってもイケます!」

「あー安心だ。だがそこじゃないぞ」

しかしものすごく安心したな。俺がTSしても後輩ちゃんがこの関係を持っていてくれるとは限らなかったんだし。

しかし後輩ちゃんがバイだったなんてな。驚きだよ。

一度もその片鱗を見せなかったし、それっぽい素振りも見せてなかったし………後輩ちゃんは隠蔽いんぺいのプロかっての。

そんなプロはロクなもんじゃないだろうけどな。

「ちなみに私はバイじゃないですよ。先輩だから良いんです」

「なんかすごくいい話っぽいな」

「というか先輩がどんどん私の好みに近づいてると考えると興してきました」

「突然ベクトルが変わっちゃったな!?」

………というかさっきから、話すたびに後輩ちゃんの殘念要素が見えてきた気がする。

でも俺はそんな後輩ちゃんも好きだ!(惚気)

変態だろうが、殘念だろうが、後輩ちゃんは俺の彼だし、何よりそれはそれで魅力的だ。

うん、むしろこれくらい殘念だと余計に可く思えてくるというか………

「ところで、なにか説明したさそうににてましたけど、何をしに來たんですか?」

あっやべっ。そういえば説明しに來てたんだったな。惚気て忘れかけたけど。

「あぁ、いや俺がこうなった経緯を説明しようと思ってな」

「………理不盡な存在にでも會いましたか?」

「なぜいきなり當てられたのか激しく不可解だよ!?」

あれ?説明しようとしたはずなのに説明するまでもなく的中された。

どういうことだ、これがの力ってやつなのか?

………出來れば俺の聲が微妙に変化したから。とかじゃないことを祈りたいな。

「いえ、先輩が説明しようとした瞬間聲にしイラついているかのような変化がありましたからなんとなく言ってみただけです」

うわぁ現実って殘酷。俺の聲だけでなんとなく理解してしまうなんて。

すごいな後輩ちゃん。俺の事なら大何でも分かりそうだ。

ちょっとガクブルだぜ。ちょっとだけど。

「まぁ、そうなるんだけども。とりあえず詳しい経緯を説明するからちょっと時間を貰っていいか?」

しかし一応説明はしておこうかな。と思い、わずかに恐怖を抱きながらも俺は説明を開始したのであった。

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