《TSしたらだった件~百合ルートしか道はない~》「由の居ぬ間に:2」
俺、鹿島郁馬はごくごく一般的で、マトモで、普通の高校生である。ちょっとラケットや道を使うスポーツが得意だが、それでも一般的な普通の(多重表現である)高校生なのだ。
だから、こんな時は全力で逃げていいんだ。そう、命の危険をじたら迷わず逃げていいんだ。避難がましい目で見られようと関係ない。
本當にそんな目で見られたらこう言ってやるよ。『(この恐怖は)あなたには分からないでしょうけどねぇ!』とな。
ちなみにこの言葉は俺が反面教師として尊敬しているある男の名言である。あれは素晴らしい冗談だったとしか言えないが、こんなところでも使えるとはな………流石だ。
まぁそれはともかくとして、今俺が居るのは文ゲー部室、正式名稱で言うのなら、文蕓をノベルゲームから學び、そして書く部の部室である。もちろん由の彼ちゃんも居るぞ。
そしてそこには、俺が部に際して口添えしちゃったあの子も居る。その名も大徳寺 加奈。多分現狀最も恐れるべき存在。
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俺個人としては拐犯に遭遇した時、その行のリスクや危険、あるいはその逆を隅々まで知っている歴戦の拐犯の方が初めて拐する初心者より安心安全だと考えているんだが、それに當てはめた場合においてこの加奈という人間は最大級の警戒対象になってしまう。
過激な行に出た経験もまだ淺い(見たじの印象であるため、そうだとは限らないが)と思われるから、自分自も巻き込んだ最悪の行に出る可能があるし、その上行の基礎にはここの部長を自分のものにする、というものがある。
だから部長が他の誰かとくっついたりしたらそれこそ関係ない俺にまで被害が………いや、まぁこれは今すぐ起きる可能は多分ないから安心して大丈夫か。まぁとにかく危険だ。jeopardy(究極の危険)だ。
というかなんでここに居るんだよ俺。最初はただただ変な話題から逃げるためだったろ!?それがなんで恐怖に曬されたせいでけなくなっちゃってんの!?
………ちくしょう。完全に自った。自滅した。パーフェクツに自した。
逃避のためとはいえ、こんな地雷が沢山埋まっていてガラス散らばった危険地帯級のヤバい場所に來るんじゃなかった。俺のバカ。
もういっそこのまま時間が過ぎるのを待っても良いが、俺って部長だしなぁ………あまり欠席するのは気が乗らないし、しかしここから出ていくちょうど良い口実も考え付かない。
こんなとき頼れるドラ〇もんみたいな存在なんていないし、偶然やってくる大きなトラブルもない。つまり逃げる方法は俺自が何とかしないといけない。
うむ………こうなりゃ最初の計畫通り、何かやるとき部ウチに被害が來ないようにしてくれと頼んでそそくさと逃げていく作戦にしよう。そうだそれがいい。
困ったときは原點回帰、というのがちょうど良いんだよ。今思いついたけど。
さぁ鹿島くん!勇気を出してこの恐怖の大………もとい大徳寺ちゃんに必要なことを伝えるんだ!
「あー、その、大徳寺ちゃんだっけ?」
ひとまず勇気を振り絞って言葉をひねり出す。言葉も切れ切れだが、しかしそれでも言葉を伝える。
これさえやってしまえば逃げられるんだ………ファイト。
「はい、そうですけど」
「確か昨日、結構なトラブルを起こしたと聞いたんだが」
「トラブルですか?………あぁ、勘違いでついうっかりやってしまいましたね。そういえば」
「それで近くでやってる部の部長として言わせてもらうんだけども………」
どうにかこうにか、恐怖の大王大徳寺加奈もとい大徳寺ちゃん恐怖の大王に伝えていく俺。
あとは肝心なところを伝えるだけだ。
「俺個人としては、部活に支障がない範囲で君のやることに最低限の協力をするから部ウチに被害が行かないようにしてくれないか?」
………よし伝えた。あとは返事を聞いたらさっさと帰るぞ。帰ると言っても部だが、とにかく帰るんだ!
「………分かりました」
「了解。まぁ協力できるのは俺だけになるけどな」
俺は、最後に返事を聞くとそこからほぼ時間を置かずに文ゲー部室から退室していった。
協力するとは言ったが、出來るものなら関わりたくはないものだな。
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