《TSしたらだった件~百合ルートしか道はない~》「有能過ぎて開いた口が塞がらない」

「さて先輩、何からお話ししましょうか」

何からつってもなぁ………とりあえず一通り聞いといた方がいいよな。

なくともここんとこ毎日何かしらのトラブルが起こってるし、知れることはなんでもいいから知っておきたいところだよ。俺が生き殘るためにね。

トラブル続きの日々が教えてくれたんだ、俺が生き殘るにはどんな小さな報でも摑んで必死にピンチを未然に回避する必要があるって。

最悪の場合でもオートカウンター的能力があるから死ぬことは無いにしても、心的にアレがくれた能力みたいなものに頼りたくはないから、アレは奧の手としてそもそもトラブルに巻き込まれないようにするのが大事なんだ。

川柳っぽくするとこう。『トラブルに 巻き込まれる前 逃げましょう』。

字余りがあるけど気にしないことにしよう。とにかく今の俺にはあらゆる報が必要だ。生き延びるためにも。

「それじゃ一………」

「一通りですね、分かりました」

………何故いう事が分かったし。後輩ちゃんはやっぱりさとり妖怪か何かじゃないのかね?

怖いよ?ちょっと恐怖しちゃうよ?

俺の言おうとしたことを理解してくれるからありがたいっちゃありがたいんだけど、ただそれよりも微妙に心を読まれていると言うのは恐怖があると言うかなんというか………もう、とにかく後輩ちゃん恐ろしい。

きっと將來的にに敷かれる気がするよ。まぁそれはそれで結ばれているという事になるし、個人的には素晴らしいことに違いはないんだけどさ。

「それでは、最初から振り返っていきましょうか………」

………おっと、まずいまずい。ついうっかり変な妄想にうつつを抜かして後輩ちゃんの説明を聞き逃してしまいそうになった。

集中しないとな。俺自の未來のため、というか命のためにも。

そして、後輩ちゃんは話し始めた。今朝何があったのかを。いったいどんなことをしたのかを。

「今朝の事です。

先輩から救援要請の電話がかかってきたので、私は學校に行く準備のついでに防犯用カラーボールや作業著、その他いくらかの道を用意しました。

ざっくり言うと男たちをパニックにして追い払うための糊風カラーボール、汚れを殘さないための清掃用品、パニックになった男たちがを壊してしまっていた時の補修用にちょっとした質パテ、あとはちょっとした小道といったところですね。

それで、その道類を持って急いで先輩の家に行ったんですけど………どうにも男たちの數が多すぎて、散らしきるのに手間取ってしまい、その上家のドアが大幅に削られていて、貫通一歩手前だったのでとりあえず持ってきたパテやら何やらで応急処置を施して塗裝し、一応は居住に耐えうる程度には復舊させました。

で、あとは飛び散ったカラーボールの塗料を拭き取ったりなんだでバタバタしてたら、あんな時間になってしまったわけで………なんというかすみません」

………後輩ちゃんの説明は、実に驚くべきことばかりが容にあった。

なんというか後輩ちゃんが驚くほどハイスペックといううか、レベルが高いと言うか。正直なところ『俺の彼がハイスペックすぎて逆に怖い』みたいなじになってしまいそうになったが、まず俺は言わなければならないことがあるだろう。

………いやなんでやねん!そんなツッコミを。

まず後輩ちゃんはなんで防犯用カラーボールやら質パテやらそんな工類一式を持ってるんだい。

普通なら男でもでも持ってる人はあんまりいないし、持っているにしてもそんな急に呼ばれたときに持ってくることが出來る子高生なんていないと思うんだけど!

「いやいや、ちょうど昨日次の日の朝に先輩が助けを求めてくるような気がしたので、部屋から引っ張り出してきたんですよ」

………え?

ちょっと待ってよ、後輩ちゃんは俺が明日の朝助けを求めてくるのを察知していたのかい?

しかもナチュラルに心を読んでくる、だと………

それはもう普通の人間じゃないよ、もう超人と呼ばれる類のものだよ。

というか予知までしちゃうとか後輩ちゃんっていったい何者なのさ。

「そうですね………でも、私はただ先輩の周辺で起こりそうなこと全てを警戒して準備していたので予知と言うほどでは………」

「むしろそれで想定パターンに今朝のアレがってる方がちょっと末恐ろしいよ!?」

………結局、この後俺は學校に著くまで後輩ちゃんに驚かされ続けることになるのであった。

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