《TSしたらだった件~百合ルートしか道はない~》「なんだろうね、一見大丈夫に見えるけどまったく大丈夫じゃないや」

晝休み、それはやはりいつだって戦爭が巻き起こる時間帯だ。

とりあえず………まぁ屋上で弁當を食ってる俺たちに関係ない話なんだけどな!とだけしか言いようがないんだが、しかしその爭いはきっと、この町あるいは県で一番激しい爭いなんじゃないかと思うよ。

いや、一応それよりも激しい爭いは『商店街』や『スーパー』に存在するんだけど、でもなくともこの町では一番激しい爭いなんじゃないかと思うんだ。學生の中ではね。

だってこの町には他に生徒數が多い高校はなく、そして中學校や小學校も合わせて三つしかない。

しかも學食なんかがあるのはウチだけだ。

つまり學食戦爭ウォーズが起こる可能があるのもウチだけなんだな。

だからこの町で唯一の學食であるウチの學食こそがもっとも大きい爭いの場所になるってわけだ。

「なぁ由よ」

「なんだ郁馬」

俺が益のない、というか自分でもなんでこんなもん考えてるんだ俺?的なことを考えていると、郁馬が何やら笑いを堪えたような顔で右を指さしている。

なんかあったのかね?

とりあえず気になったので指さされた方を見てみたが………何もない。

なんだ、何があったんだ。

郁馬よ、そしてお前は何故さらに大笑いしているんだ。こえーよ、怖すぎるよ。

俺が郁馬の指さす方向を見ても何もなく、しかし見るたびに郁馬が大笑いする。

何があるんだあの場所は………

俺は何度も何度も小刻みに指さされている方向を見たり目を離したりを繰り返すが、どういうわけか何も見えない。

俺に見えなくて郁馬にだけ見えるって、なんなんだ?そう聞きたいところだが郁馬は大笑いしていて話を聞けそうにない。というか郁馬の格から考えても『面白いから教えてやんねぇ』とか言い出しそうだしなぁ………

かと言って俺が下手に何かアクションを起こしてもむしろマイナスにしかならなさそうだ。

あぁ………こんな時、武が居てくれればなぁ。

今俺たちがいる屋上はこの學校がこの町でも一番生徒數が多い関係上校舎が大きいからそれなりに広いし、アイツの運神経を十二分に生かせるんだが………今日に限ってまだ來てないんだよなぁ。

どうしたものか。

そう思っていると、突如として屋上のドアが開いた。

おぉ!これはもしかして武か!?

「あれ?久しぶりね、郁馬と………田中?」

………おぉっ、これは珍しい。武じゃなくて“最近フラれた”環奈じゃないか!

お前って確か學食派のリア充じゃなかったっけ。

昔、というか去年の7月までは武と俺と環奈の三人でつるんでることも多かったけど、お前がリア充った(意味:リア充になった)から彼氏くんと一緒に飯食ってたんじゃなかったっけ?

お前の格ならばそれでもなお未練がましく學食で遠くから元カレくんを見つめてそうなんだが。

「お前、何故にここへ?」

「………その言葉の裏に激しく不名譽な意味が含まれている気がするのは気のせいかしら?」

「気にするな、ともかくなんでここに來た?」

「いや、ちょっとあのクソ野郎が同じクラスの奴とイチャついてるのを見てね………」

………その、すまんな。

まさか最近フラれたと思ったら元カレが他のクラスメイトとイチャついてたらそら學食にゃ居れんわ………

俺だって無理だと思うよ。想像もしたくはないけどさ。

「で、それは置いとくとして、こいつはなんで笑してるの?」

………ってお前話題の変え方雑やな。めっちゃ雑やな。

まぁ俺も気になってんだけどさ、その変え方だとものすごく揺してるの分かっちゃうからな?

強がっているように見えてものすごくメンタルやられてんの見え見えだからな?

「あー、えと、閂だっけ?とりあえずあっち見てみろよ」

「環奈だからね!?」

それと、神的HPがないからか何やら微妙にキレやすくなってるっぽいのも(今気付いたけど)お見通しだからな………と、そんなことを考えながら二人が見ている方向をしれっと向いてみる。

しかし何もないが………何故か二人が笑した。

おめーら本當に何やってんのよ!?

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