《TSしたらだった件~百合ルートしか道はない~》「我が家の料理が何やら修羅場ってる件」

急な話になるが、ちょっと聞いてほしいことがある。

『必殺料理人』。この言葉をご存じだろうか。

俺の知る意味でのこれはつまり………メシマズの極致に存在する、ある意味神の料理人だ。

メシマズの常識であるレシピ破りを行わずともいとも容易く死ぬほど不味い料理を作り出すというまさに異能としか呼べない力を持っている、そんな料理人である。

だがしかし、今日この時俺の辭書におけるこの言葉の意味はし変更されてしまった。

何故かって?まぁこの狀況を見てくれよ。

まず亮太………は、親父いわく『この狀況下で飯を食いに來れるほど神強くないだろうし』ということで狹い席の1つに席だけ用意してある。

で、親父と母さんは向かい合うような形で座ることになった。母さんが起きた時、いきなりケンカになってもギリギリ逃げられるように、だそうだ。

そして後輩ちゃんと俺は消去法的に、あるいは親父が気を利かせたという事で向かい合う形に。

まとめると、右上から俺⇒親父⇒亮太⇒母さん⇒後輩ちゃんということになる。

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さて、ここで何かお気づきになったことがないだろうか?

この配置から分かること………それは、俺が母さんの隣に座っているという事だ。

そして母さんの隣に居るという事は、必然的に母さんに近い場所に置かれている危険も俺に近い場所にあるということ。

コノヤロー、どうしてくれんだ………このままじゃ俺も否応なく親父の作った危険を食うことになりかねん………

どうにかして危険をスルーし続けるか?いやしかしこの位置でそれをやるのは無理がある。

かなり近いところにあるのに気付かなかったなんて言い張るのは流石に厳しいよな。

だったら、いっそのこと毒を喰らわば皿まで作戦を取るか?

………いやでもそれじゃあ俺が死ぬほど被害を喰らうだけだわ………最悪じゃん。

俺はもはや途方に暮れるを通り越して諦めの境地にすら突しかけていた、

「由、そろそろ母さんを起こしてきてくれ」

そんな中、親父が突如としていまだに眠りこけている(ただし原因は完全に俺&神の嬉しくない共同作業)母さんを起こしてくるように言ってきた。

ふむ、これはどう反応したものかな。

ケンカしてることもあるし、こんな時は親父にやらせてそこでちょうどいいタイミングで目覚めて顔が近くてドキッとするようなパターンを狙うべきじゃ………

………と、思っていた時期が俺にもありました。

俺は親父に自分で起こしてきやがれとでも言おうとして親父に顔を向けたんだ。

そうしたらな?親父は今とんでもない迫力をじさせる素早さでなんらかの作業をしていたのさ。

なんの作業をしているのかなんて全く分からないけど、とりあえずし気持ち悪いことだけは確かと言えるだろう。

だってきがところどころカクカクして見えるし。その上なんかショートワープ的な何かをしているように錯覚するほどの素早さでいてるし。

まぁこういう類のものは無視しておくのが得策だよな………よな?

俺は親父から目を逸らし、ソファで寢ている母さんを起こしに行くことにした。

―――――

「母さん、起きろよ」

「………」

「起きろってば………」

………しかし、母さんは思ったよりもだいぶ睡しているようで、何度か聲をかけてみても反応1つ返さない。

面倒だなこれ。

相手は目の前に居るのに、しかしなんともならない。

ものすごくもどかしい気分だぜ………ん?なんだこれ。

俺が頭を抱え始めると、何やらソファの下にカードのようなものが置かれているのを見付けた。

しかも都合よく手前の方にあるし、これではまるで『取ってくれ』と言わんばかりではないか。

取れば良いんだな?な?

手をばし、ソファの下のカードを手に取る。そしてその両面を凝視してみる。

『母親を起こす方法:父親の浮気が疑われかねないようなセリフをわざと聞こえるように言う―――by神』

………しかし、このカードを書いた相手が誰かを理解した瞬間、俺はそれを投げた。

なんてこったい、神は何がしたくてこんなもんを置いたのか理解できないぜ………

まぁ親父の浮気が疑われかねない言葉を言うってのはいい目の付け所かもしれないな。

今の母さんはちょっとその手の話題に敏になっているっぽいし、ひとまず試してみる価値はあるだろう。

いや、別に親父と母さんをケンカさせる気はないぞ?起きたらすぐに弁明するしさ。

「なぁ母さん、さっき親父が知らない奴の話をしていたんだが、母さんの知り合いなのか?どうにもっぽいんだけどさ………」

ちなみに、このセリフには三割ほどの真実が混ぜ込まれている。

実は調理中に親父と多世間話をしたのだが………その中で親父がしれっと『百合展開とかないの?百合展開って』と聞いてきたのでとりあえず近な友達である環奈のことを話したのだ。

すなわち俺は、親父が知らない、の話をしていたのだ。

つーわけで俺は母さんに噓をつかずだましたのだ………いや、うんでもこれ完全にフラグだよね………ってのはあまり気にしたくはn………あばばばばばっ!?

どうにも嫌な予がした後すぐに顔面にじた強い衝撃と共に、俺は意識を失った。

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