《TSしたらだった件~百合ルートしか道はない~》「必殺料理人の天敵、田中由」後編

あぁもうダメだおしまいだぁぁぁ………

俺は頭を抱えていた。

いやまぁ正確には実際に頭を抱えているわけではなく、あくまで比喩としての『頭を抱える』な訳だが、とにかく俺は頭を抱えていた。

何があったのかって?話すと長くなるが………要約して三行で言おう。今はしでも事態を何とかするための方法を考える時間がしい。

それじゃ、行くぞ?

母さんを連れてきたらバタッと倒れるようにして椅子に座り

なんとそこが都合よく俺の座る予定だった席で

挙句俺の目の前に劇が置かれてる。つまりこれまでの苦労がWater bubbles(水の泡)。

しかも追い打ちをかけるかの如く母さんは親父の作った劇を野生の勘で察知したかの如く避けてるし………今はのんびりと食う事でじりじりと時間を稼いではいるが、それにも限界がある。

早い所解決法を見付けないとジリ貧だぜこりゃあ………

ついでに言うと俺が事前に考えていた方法は悉く偶然によって無効化されているかのような狀態になっており、もはやなんらかの意図さえじる始末だ。

まぁ流石に今回はあの神も何か仕掛けたりしてないだろうな………俺の命に関わる気がするしさ。この劇

「あ、あのさ、これちょっと手によりをかけて作ったから、食べてしいなぁ、なんて………」

いや、ここで親父のファインプレーだ!

親父が何やらあの劇をなんとしてでも食わせたいのか強引に勧めて食わせに行ったぜ!

神は完全に俺を呪ってるけど、仏(あるいはそれに準ずる凄いナニカ)はまだ俺を見はしてなかったようだな………

これでもう、母さんはあの劇を食う事は回避できない。

悪いな母さん、生存ルートは三人用なんだ。

「いや、そんなに良いものなら最後まで取っておこうと思ってな」

「そ、そうかい………」

………おっと。失敗したか。

まぁこの場合もまずは俺以外の………的には親父とか親父とか親父とか………に劇を食わせりゃいいだけの話だ。

まだ俺の生存ルートは破られてないんだ。安心安心。

「先輩、これ私もちょっと頑張ったので、食べてもらえますか?」

しまったぁぁぁぁぁ!思わぬところに伏兵が居たぁぁぁぁぁ!

なんでだ………なんでなんだ後輩ちゃん!俺は今猛烈にわけがわからないよ!

いや、でも後輩ちゃんはきっと純粋な好意でこれを勧めてくれているはずだよな。だったらここで斷ったら………

どう考えても好度微減あるいは大幅減かつ俺のイメージ大暴落しかないな。うん。

こうなるともう逃げ道はない。

俺は覚悟を決めて目の前の料理を食うことにした。

たとえそれが危険であると分かっていてもなお、食わなきゃなんないなんてな………

しかし俺は食う。食わねばならぬ。全力で(辭世の句)

………さぁ食おう。

箸で”ソレ”を摑み、自分の口へ運ぶ。

その作に震えがあってはいけない。後輩ちゃんに不審がられるから。

しでも躊躇してはいけない。多分食えなくなるから。

そして口にれたら出來るだけ高速で飲み込まなくては………!?

思ったよりも味い。

しかもなんか甘辛苦塩酸………とりあえず想像できる限り全ての味をじるし、何より訳が分からんがとりあえず味いとだけじるぞ!

もはやあの異質かつ嫌な予しかしない材料すら気にならねぇぜ!

だが先程から微妙に避けている節があったのに突然パクパクと食べ始めたりすると不自然なのでとりあえず食う量はセーブしておくが………

あの材料でこの味とか、何か不審な添加でもってませんかねぇ?(疑いの目)

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