《TSしたらだった件~百合ルートしか道はない~》「もっとも危険なのは奇策より常道って、このことだね」

常道とは、これまで多くの人間が使ってきてほぼ全ての場合において有用だったから常道なのだ、という言葉を聞いたことがある。

確かにそうだろうね。だって多くの場合で使えなきゃ人は他の人間に伝えないだろうし。

だってそうだろう?

例えは悪いけど、刑事ドラマで指紋を殘したくない犯人が軍手を付けたら目立つからと指の腹にマニキュアを塗ったりして指紋を隠したり、鈍にラップを巻き付けて返りを処理したり、あるいはお年寄りにオレオレと言って名前を引き出し、金を騙し取ったり………さ。

現実にこれらの方法はどれも様々な犯罪に使われるし、なおかつ多くの場合で犯人側を有利にすることが多い。

先の2つは犯人への道筋をしだけ難解にするという形で、最後の奴は対象に話を信じ込ませる手段として。

しかも最後のやつ、多分孫のいる年寄りには防げないだろうなぁ………ソースは俺の祖父母。なんと1か月ほど前に電話して、ふざけて『ばぁちゃん、俺だよ』とか言ってみたら普通に『由か?』返してきたんだもん。

あぁ怖い、常道怖い。奇策なんかよりよっぽど怖い。

………え?なになに?なんでこんな話してるのかって?

そりゃあ簡単さ。

俺は現在、何故か自室のベッドに転がされている。

いや、それだけなら構わないんだ。ただ、そこに居るのが俺だけじゃないってのが問題だ。

「なんで俺後輩ちゃんと一緒に寢てるんだろ、まったくもってわけがわからないよ」

………何故か今、このベッドには俺だけじゃなく後輩ちゃんも一緒にいるんだよねぇ。

ほんっと、訳が分からない、というか本當に何が何だか分からない。

もはやボキャブラリが完全に死亡するレベルで混してしまってる。

だってさ、寢て起きたら後輩ちゃんが隣で寢てるんだよ?

まぁ気絶してからの時間(自室の時計で確認)的に考えても別的に考えても俺に一切の非はないんだけどね。

しかしそれを考えてもこの狀況はまずい。

今は時間的に夕方ではあるけれど、いわゆる朝チュンだよね、これ。完全に。

倒置法を使って強調してみたは良いけれどこれは完全に………ってなんかループしてやがるよ今。

チクショウ、混しまくってる!

その上なんだかこの狀況の理不盡への怒りをどこへぶつければ良いのか分からないし………なんか微妙過ぎてなんとも言えない気分だよ………

でもそんななんともいえない微妙な気分と一緒にこの狀況を喜んじゃってる俺も居るんだよな。

ほら、このまま責任取ってとか言われたら分かれる可能が低くなるしさ、ある意味怪我の功名ってね。

………ゴメン強がった。正直心配だし不安でいっぱいだ。

このままケダモノとか言われて嫌われたくはないし、それに何故こうなっているのか理解不能過ぎてガンガンンSAN値直葬中だ。

あぁもう、どうにかしたいけどどうにもならない狀況ってのがここまでもどかしいとは………

これまでは何とかする條件をなんとなくとはいえ理解していたから良かったけど、この場合はなにをどうすれば良いのか分からなくてもう何が何やら。

だってこんな詰み一歩手前、いや完全に詰んだ狀況からなんとかする方法なんて思いつかないよ。俺孔明じゃないもん。

今は後輩ちゃんが目覚めた時に言うための弁解の言葉も思いつかないし、なんとかするための理想的な方法も分からない。

なんてこった。

人の手はもちろん借りられないから自分で何とかしないといけないのは言わずもがな、もしこの狀況をなんとかしたとしてもその方法いかんでは今後の関係に何か支障が出る可能も………!

そんな風に俺が一人で混の極みどころじゃない狀況に陥ってしまっていると、タイミングの悪いことに後輩ちゃんが目を覚ましてしまった。

「………ぁふ………」

………この後、何か全力で弁解したような気がするが覚えていない。

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