《TSしたらだった件~百合ルートしか道はない~》「どこかのラノベで見たような狀況だなオイ」

あぁ、帰りたい。しかしもし後輩ちゃんに目撃されてしまって好度が下がったらと思うと帰れない(盛大な言い訳)。

帰り道、俺は古風なヤンキーと言うか不良に絡まれていると思われる薫くんの悲鳴を聞いた俺は音の聞こえてきた方角を頼りに若干小走りにそれが行われている道を探していた。

すると隨分と昔は近道でもないのに面白がって通ることが多かった、三階建ての近代的な家とやたら広くて木製の門があるお家の間の裏路地を阻むようにして黒い車が停まっているのが見えた。

道を塞ぐように停めたらダメなんじゃないのか?

俺はそんなことを考えつつも、薫くんの姿は見えないからとその場を立ち去ろうとした。

………正確には若干あの車が骨なまでに怪しいのを分かっていながら、嫌な予がしたから無視したとも言う。

なんせその車の車種は、その、あれなんだ。

『一般人の思う暴力団っぽい車第一位』を飾っていてもおかしくないくらい見事に真っ黒な、リムジンなんだ。

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だから全力で目を逸らして、その場を去ろうとする。

が、しかし運命とは殘酷なもので、俺が逃げることをよしとしてくれない。

「た、助けてくださいぃ………!」

「おいテメェ勝手に喋んな殺すぞ!」

………一切の疑う余地がないくらい完璧に薫くんの聲と判斷できる聲で、助けを求める言葉が聞こえた。

しかも俺が逃げるための免罪符になりうる『暴力団っぽい相手』という要素も使えないじだぞこりゃあ。

お相手の聲が近くで聞くと………その、なんというかかなり若いのだ。

その聲は確かに野太いし荒々しいじがするのだが、大人というか、こういう事に慣れているような人間の聲にしては不自然と言うか………分かりやすく言うと警察のベテラン渉人は相手が武を向けてきても落ち著いているから聲が変わらないが新人だとし恐怖したりして聲が1オクタープくらい高くなるじに近いだろうか。別に俺にそんな絶対音的に聲を聴き分ける能力はないがな。

たんに俺がこのお相手と思われる人間を若いと判斷するのは、ひとえに武がケンカするところをちょくちょく見てきたからってのがある。

アイツのケンカは基本的にちょっと暴だったり口下手な一部の人間との便利なコミュニケーション手段としての側面が強いが、しかしそれをそれなりに見てきた俺は同年代のマトモな(郁馬や武は除く)男子がケンカ………あるいはそれに準ずることをしている最中に発する聲ってのが分かるようになってしまっているのだ。

まぁ、そんな能力いらんし信用度はあまり高くないがな。

………つーか、よく考えるといかにあんな車を持ってるって言っても薫くん一人から金を脅し取れなくなった程度で金に困るような暴力団があってたまるかっての。

つまり相手が本職の暴力団である可能は二つ以上の証明材料をもって否定された。

それじゃ諦めて今から突しますかね。

そう決めて荷をその場に置き、大きくびをする。

そして出來るだけに自然なきを意識して車で塞がれた路地裏へ侵しようとする。

のだが。

不意に『うわぁぁぁぁぁ!』みたいな薫くんのび聲とともに人を毆った時に聞こえるような音が複數俺の耳にって來た。

………短気過ぎないですかね不良の皆さん、短気は損気って言うからもうちょっと気を長く持った方が良いですよ?

俺はその音を聞いて相手がやっぱりガチの不良なんだなと改めて認識してをこわばらせつつ、念のためいつでも警察を呼べるように攜帯に110番を打ち込んでから道と車の間の隙間めがけて歩き出した。

そして、そこにり込ませてこっそりとその現場にっていく。

するとその先には………

「ゆ、由さん………」

累々、そんな言葉が似合うような狀態の不良・・(約十人くらいか?多いな)の中心で一人へたり込む、薫くんThe人畜無害が、居た。

あっれー?俺っていつの間にかラノベの世界にでも來ちゃったのかなー?(現実逃避)

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