《ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし》11……Shall We Dance?

リティは基本運神経もいい方らしく、その上、育ちが育ちだった為、リナやレナのいない隙にの回りのことをしたり、他の侍たちとも仲良くなり、繕いや洗濯、掃除の仕方なども熱心に聞いていた。

「お嬢様?」

今日も、隙をぬい繕いの手伝いをしに行っていたリティを、靜養しつつ様子を窺っていた、育ての親であるサーシアスとイーフェが見つけ、

「お嬢様!」

「こちらだったのですか?リナさんとレナさんが探してましたよ。それに」

「お嬢様?」

母アリア付きのメイド長サーシェが、にっこりと微笑む。

「こちらにいらしたのですね?今日はダンスのレッスンです。お兄様のデュアンさまが心配されてましたよ」

「あっ!え、えっと……」

「さぁ、お嬢様?今日はこれで終わりです。今度、奧様が刺繍をお教え下さいますわ。ティフィリエル殿下に差し上げましょうね」

ニコニコと笑いつつ、さぁさぁと連れ出す。

その手腕に、サーシアスとイーフェは心する。

昔はマリアと呼ばれていたは、お転婆と言うより責任が強く手先も用、乗馬も趣味という賢いのだが、苦手なことも存在する。

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逃げちゃいけないと解っていても、逃げて來たらしい。

「じいや〜、ばあや〜」

「ラミー伯爵と夫人はまたお茶をしましょうとおっしゃられておられますよ?さぁ、參りましょうね?」

引っ張っていかれると言うよりも、ドナドナされていくじである。

見送るメイドたちは可いお嬢様を見送り、

「お嬢様はダンスが苦手なの〜って、言われていたけれど、本當に可らしい方ですわ」

「本當に。私どもに気軽にお聲をかけて下さって……でも、繕いはダメですよって言っても」

「お手伝いします〜って、本當に可いですわ〜」

一番年の若いメイドがリナ、レナの為、々年齢の高いメイドたちは娘を見送るようである。

「本當に。ラミー伯爵さま、奧方さま。ご案致しますわ」

「どうぞ、こちらです」

「ありがとうございます。本當にお嬢様に、それに私どもにも親切にして戴きありがとうございます」

サーシアスは頭を下げる。

先日、々に伯爵にと國王陛下に申し渡されたとはいえ、元々貧乏子爵の人間である。

そして、筆頭公爵家のラルディーン家に支えているのなら、自分とさほど分の変わらない家のたちである。

「いいえ、噂でお聞きしましたわ。旦那さまや奧様がおっしゃられておられます。おが良くなるまでこちらにおいで下さいませ」

「ご迷では……それにお嬢様も……」

「いいえ、確か旦那さまが、ラミー伯爵のお屋敷が、手れされていないので、改修させるとか」

「そうですわ。それに、伯爵さまが當主なのです。メイドや侍従、執事、庭師をお雇いになられたり、領地について、詳しいお嬢様に聞いておくべきだとおっしゃられてましたわ」

「……そうだった。私は、ラミー子爵のようにはならない。陛下や公爵閣下、それにお嬢様の為にも、これからは領主として努力をしなければ……」

サーシアスは呟く。

「ありがとうございます。では、私に出來ることを、イーフェ。行こうか」

「えぇ。皆さまありがとうございます。失禮します」

夫婦は去っていく。

「上品なご夫婦だわ〜。お嬢様の可らしさはご夫婦が大事にされていたからよね」

「そうね〜。さぁ。お嬢様の部屋著よ〜」

「まぁ!可い!」

「デュアンさまが喜びそうね」

「ミカさまのイメージですもの」

一人のメイドが作ったのは、パイル生地の著ぐるみである。

フードには垂れ耳、そして尾が付いている。

「今日にでも著て頂きましょう!」

「待って!これはどうかしら?」

今度は、ふわふわのレースとギャザーのミニ丈ドレスにエプロンドレスである。

ドレスは淡いピンク、隣の違いでレモンと空を掲げている。

「まぁ!でも、お嬢様は14よ?ミニ丈はどうかしら?」

「だって、あんなに可いお嬢様には、似合う服を著て戴きたいんですもの!」

「そうよそうよ!今のうちよ?背がび始めたら、著られなくなるわ!」

「それもそうね!じゃぁ、お嬢様の普段著は私たちが選びましょう」

公爵家は平和だが奧様位しか著飾ることがなく、そしてデュアンの結婚はまだまだで、殘念に思っていたのだが、リティが來たことで、メイドたちは楽しみが増えたらしい。

そのことを知らないリティは、この日から著せ替え責めにあうことになるのだった。

「リティ、來たね?」

「ご、ごめんなさい。お兄様」

「ん?何が」

「……わ、私、ダンスレッスンけていなくて……恥ずかしくて逃げちゃったのです」

俯く妹を抱きしめる。

「そんなこと、気にしなくていいのに。お兄ちゃんが教えてあげるからと言うか、ダンスっていうのは、リードする男が下手だとダメなんだ。はね、基本のステップさえ覚えておけば、相手に任せておけばいいんだよ。それに、リティはお兄ちゃんとティフィと踴る位で、後は疲れましたって、パパやママのいるところに連れて行って貰っていいの。逆に踴れますって踴りすぎても、疲れちゃうでしょ?」

と言うが、実際はデビュタントで多くの男、もしくは何曲も踴り続けることはマナー違反である。

デビュタントは國王陛下主催で行われる、一種の長したことを報告する挨拶のようなものであり、デビュタントを迎えて結婚や婚約者を公に紹介できる場である。

そのような場で、一応國王陛下の親族や高位の貴族の令息、令嬢から順番に踴り始める。

招待された人數も多い、次に譲るマナーも必要なのだ。

「あ、そうですね。お兄様、凄いです!パパやママのところに行っても大丈夫なんですね。でも、パパやママ、皆さんとお話とか……」

「リティのことを心配してるから、お兄ちゃんと二曲とティフィと二曲位だよ。その後は、ジュースを飲んだりお菓子をつまんだりでいいの。お兄ちゃんとお話ししようね」

「はい!」

「じゃぁ、簡単に練習しようね」

控えていたサーシェは音楽を流す。

「じゃぁ、お兄ちゃんの聲に従って、ゆっくり踴ろうね。まずは、お兄ちゃんの背に左手を回す……あ、そっか」

必死に手をばし、兄の背に手をばすリティは、平均長よりも低い。

「はい、無理はしないで、ここで良いから。で、右手はお兄ちゃんの手の上に置いて」

「はい」

しかし、手足の長さも合わず、リティは落ち込む。

「ごめんなさい。お兄様。とても不恰好になっちゃう……」

「大丈夫。変じゃないよ。それよりも思い出したんだけど、お兄ちゃんに昔、ダンスを教えてくれた人が、教えてくれたんだけど、ちょっとごめんね?」

片腕に抱き上げ、目線を合わせると、

「お兄ちゃんの背中に手を回して?そして、1、2、3……1、2、3」

デュアンは音楽に合わせて踴り始める。

「これはね?慣れないレディにレッスンする時と、もう1つ公式の場では意味があるんだ。それは今度。今はお兄ちゃんのきを覚えてみて。お兄ちゃんが下がる時は、リティが前に出る、その逆だと下がる。で、ここでクルッと回る」

「えっと、1、2、3……」

「そうそう。テンポは基本、デビュタントはこのダンスだから、大丈夫だよ。今日は曲のイメージを覚えようね」

「はい」

何回か踴った後、最後に一回踴ってみると、まだぎこちないものの、それなりに初々しいと言えるレベルのダンスを披する。

勘と運神経の良さと賢さのおかげだろう。

「凄いじゃないか。リティ。上手だよ。もうし練習したら、ティフィにも來て貰って練習しようね」

「はい。頑張ります」

褒められたことが嬉しかったらしく、頬を染めて喜ぶ姿に、

「デビュタントにはきっと、リティのダンスをパパとママがびっくりするだろうね。上手すぎるって」

デュアンは妹の頭をでたのだった。

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