《ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし》14……ティーパーティー
何回か踴っていたものの、リティは力が足りないのと、ハイヒールだと履き慣れていない為によろけることが多い。
最後には抱き上げて、ソファに座らせると隣に座る。
「す、すみません。お兄様。まだ練習しなきゃ……」
「と言うか、リティは病み上がりだから無理はダメだよ。ねぇ、リナ、レナ?」
「はい」
「リティの靴は何センチの高さ?」
「11センチですわ。お嬢様は小柄ですので……」
リティを見つめて考え込んだティフィは、
「どうせ、ドレスだから見えないと思うから、ヒールじゃなくてサンダルで、つま先からかかとまで靴底のあるタイプに変更しない?普通、その高さも怖い筈だし、その上ダンスはかなりの苦行だよ」
「ですが、陛下や妃殿下にも無禮に……」
「と言うか、見えないから大丈夫。それに転んで怪我をしたらその方が心配です。私は」
「……」
雙子の侍は、い主人を見つめる。
クッキーをちまちま食べている様は、ハムスターのようである。
怪我をされては困る……。
「かしこまりました。奧方様や旦那様に相談致します」
「私も言っておくよ。それに、サンダルに見えないように飾りをつけるのもいいかもね。リティ?味しい?」
口の中にあるクッキーをモグモグと食べ終えたリティは、嬉しそうに笑う。
「はい。味しいです。ティフィお兄様も食べられますか?」
「そうだね。どれが味しいかな?」
「えっと、これがゴマりのクッキーと、チョコチップと、チェナベリージャムのです。あ、紅茶とえっと、抹茶と言うのが珍しいです」
「あぁ、抹茶はグランディアの特産品だよ。紅茶とか緑茶と同じお茶の葉をすり潰すんだよ。そうするとお茶の分が全部口にできるでしょ?すり潰したお茶のを熱いお湯にれて、よく混ぜて飲むこともあるんだ」
「し苦いです」
「その苦味が味しいんだよ。あぁ、そうだ。シェールドから送ってきて貰った抹茶アイスクリームを持ってきたんだよ」
その言葉に、扉がノックされ、
「失禮いたします。アイスクリームをお持ちいたしました」
侍が持ってきたのは、三種類のアイスののったがある。
「殿下、そしてお嬢様どうぞ」
「緑とピンク、それに……」
「バニラにキャラメルを混ぜたものだよ。緑は抹茶、ピンクはベリーだね。食べてみて」
「は、はい」
とスプーンを手にして、緑のをすくうと口にれる。
し苦味はあるが、それ以上に深みとコクがあり、
「味しいです!お兄様。凄く味しいです」
「リティのその顔でよく分かるよ。じゃぁ、私も食べようかな」
笑顔を返し、ティフィも自分のからすくう。
「うん。味しいね」
「お兄様、これを持ってきて下さったのですか?ありがとうございます」
「うん。これもだけど、父がね?リティに馬以外のペットを飼ってはどうかって」
「ペットですか?」
「そう。丁度、十六夜が生んだ子供が何頭かいてね?」
パタパタとしっぽを振る。
「十六夜の子供を一頭贈ろうかなと。どんな子がいい?」
「ど、どんな子がいるんですか?」
「母親に似てる子と、父親に似てる子と、おばあちゃんの先祖返りの子もいるね」
「十六夜さんの旦那さん?」
「あれ?知らなかった?イザの旦那はミカだよ?」
目を丸くする。
「ミカの奧さんですか!わぁぁ。十六夜さんに似たら人で、ミカに似たらかっこいいですね」
「結構多いから、この家に三頭譲ることになってるから、おっとりした子を譲るね」
「わぁぁ。ありがとうございます。嬉しいです」
「明日にでも兄さんと叔父上に連れて帰って貰うからね。楽しみにしてて」
「はい。お兄様ありがとうございます。可がりますね」
またダンスのレッスンをする約束をして、ティフィは帰っていったのだった。
「お兄様、優しいです」
「ですね」
無表の王太子だが、従姉妹になったにはかなり甘い。
実際、甘いものはさほど好きではないのだが、アイスクリームは完食し、クッキーもゴマや穀の混ざったものを口にしていた。
「それに、ミカの子供がお家に來るのです。お母様に相談して、お部屋に準備をしなくちゃですね」
「お嬢様は本當にお好きですね」
「リナ、レナ。だって可いですもの」
ラルディーン家はお嬢様によっていているのだ。
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