《ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし》16……ブルーローズ
ブルーローズは翼が重く負擔になる為、その日から浮きをつけて、庭の淺い池で泳ぐ練習をすることになった。
余り遠くに行かないようにリードをつけ、リティはリナとレナに日傘や敷、お菓子のセットなどを準備して貰う。
「ブルーローズ、余り無理してはダメだよ?ゆっくり足をかいて泳いでね」
溫暖な気候のこの地域でも、まだ子供の為、長時間は泳がせられない。
ゆっくり水につけると、びっくりしたのかばちゃばちゃと溺れ始める。
「待って、落ち著いて!」
「キャァァァ、お嬢様。池にられては!」
「出て下さいませ。が冷えてしまいますわ!」
「大丈夫。ブルーローズが怯えちゃうから。泳げなくなると困るもの」
水に膝までり込んだリティは、抱き上げたブルーローズの目を見つめ微笑む。
「大丈夫だよ。泳ぐ練習をして、走れるようになろうね?ブルーローズ。私も一緒だからね。さぁ、私が支えてあげるから、それで泳いでみてね」
を支え水につけると、今度は必死の形相で足をかし始める。
「そうそう。私が支えているから、安心して」
としばらく運をさせる。
が、リティの手足が冷たくなり、次第に青ざめてくるのをみたリナが、
「お嬢様。もう、池から上がって下さいませ!」
「大丈夫。ね?もうし頑張れる?」
「お嬢様!」
雙子の姉がリティに訴えている間に、屋敷にったレナがミューゼリックとティフィを呼んでくる。
「リティ!何をしている!」
「あ、お父様」
池にったミューゼリックは娘を抱き上げ陸にあげると、ティフィにブルーローズを預け、リティのを差し出されたタオルで包み歩き出す。
「お父様。練習を……」
「調が良くなり始めた時期に、池にってどうするんだ!また倒れたら、パパもママも、デュアンも泣くぞ?」
「ご、ごめんなさい。パパ」
「それに、ナムグ用の風呂場があるんだ。そこで泳がせたらいい。こんな冷たい所で……夏じゃないんだからやめなさい」
「はい。ごめんなさい」
うなだれるリティに、苦笑し、
「まぁ、パパも今日からそんなことを始めるとは思ってなかったから、言ってなかったしな。この國にはナムグ専用の風呂があるのは王宮とこの家位だし」
「本當にあるのですか?」
「あるんだよ。何故か、グランディアの風呂風の檜風呂が。今からティフィに連れて行かせるから、お前はお風呂にってを暖めなさい。良いね?」
「はい。ごめんなさい」
ミューゼリックは娘の部屋に向かうと、リナ、レナに後を頼むと自分も著替えに行った。
リティはよく溫まると、今日は夕食までは休んで下さいと二人に懇願され橫になる。
し冷えて、微熱が出たらしい。
自分としては、昔はちょこまかとき回り何ともなかったのに、何故出たのだろうと不思議である。
その時、綺麗になったブルーローズを抱いて連れてきたデュアンは、
「リティ?まだ萬全じゃないのに、池にるなんて駄目でしょう?」
と、めっ!と言いながら近づいてくる。
「で、ブルーローズだけど、練習したらお水を飲ませて休ませておくこと。今日はベッドの準備ができていないから、一緒に寢てると良いよ。大きくなったらベッドには無理だから、このベランダの傍か、隣の部屋に寢床を作るからね」
「好きなものとかあるんですか?」
「うーん。甘いもの?原種はルエンディードの花が好きだって。野生種はチェナベリーとか果や果実も食べる。草食だから。でも、ジュースも好きだね」
「そうなのですか。じゃぁ、ドラゴンさんは……」
「シェールドのカラードラゴンは基本的に草食と、気を吸収する筈だよ。特に、ヴァーソロミュー様とその息子のカリュスレード様は水を飲む程度で、もう數十年以上何も口にしていないって聞いた。母親のドラゴンは子育てもあるからかなりの栄養が必要だけど、とかは食べないって言ってたなぁ。他のドラゴンは雑食で狩をするとかもあるけどね」
ベッドにブルーローズを乗せ、ブルーローズはヨチヨチとリティに近づくと、すりすりと頰をすり寄せる。
「ブルーローズ、ごめんね?寒かったね」
『だいじょぶよ〜。りてぃ、だいじょぶ?ブルーローズ、りてぃだいしゅき』
「あっ!喋った!」
「仲良くなるとお話できるよ。でも、リティはしばらくお休みです。ブルーローズは、毎日お風呂で練習だけどね」
殘念そうになるリティに、デュアンはにっこり笑う。
「お兄ちゃんが、明日と明後日お休みだから、無理をしないならお兄ちゃんの館に案するよ」
「本當ですか?」
「うん」
「わぁ、嬉しいです」
デュアンは優しく妹の頭をでた。
「明日遊びに來るなら元気になるんだよ?」
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