《ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし》間章……リティとパパ

「あの。ラルディーン公爵閣下」

「はい、リティ。パパだぞ?ダメじゃないか。抱っこだな〜」

ヒョイっと抱き上げ、膝に乗せるとリティの髪をでながら、ふんふんと楽しそうに、

「リティの髪は鮮やかなだから、三つ編みだけでも見栄えがするなぁ」

「えと、お、お父様……」

「そうだなぁ。リボンも何がいいかなぁ。兄貴がティアラで飾っても良いって言ってたし、ゴールドよりもシルバーで石は何が良いかなぁ」

「えっと、お、ぱ、パパ……抱っこですか?」

「嫌か?パパは抱っこするのが嬉しいんだがなぁ」

殘念そうな聲に、慌てて答える。

「リティ、も、う、嬉しいです。リティ……さ、されたことなかった。です」

「抱っこか?」

「か、髪もでられたことなかったです。おじいさまとじいやとばあやだけでした。だ、だから嬉しいです」

耳まで赤くして振り返る。

「お、お父様より、パパの方が嬉しいです。呼んで良いのですか?」

「あぁ。パパはリティのパパだぞ。呼ばれると嬉しい」

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「本當ですか?じゃ、じゃぁ、パパ。頭でてくれてありがとう」

こんなに可い娘の頭をでなかった実の父親たちに、心毒づきつつ、

「頭は毎日でて、抱っこもしような。それにリティも、パパとママの娘として勉強にマナーのレッスンをしよう。デュアンやティフィに、エスコートのレッスンも頼まなくちゃな」

「大丈夫でしょうか。私、口が悪いというか、下町で買いに行ったり、家の掃除洗濯や領地の見回りなどをしていたので、マナーを教わってないのです。あっ、下町とか領地に行っていたり、メイドの仕事を貶めてるのではなく、パパの……ラルディーン家や陛下に迷をかけないかと……」

「大丈夫だぞ。充分時間がある。それにリティは真面目なパパの子だ。良い子だな」

頭をでられ嬉しそうに笑うリティに、笑いかけた。

生真面目なリティの格をくんだミューゼリックは、家庭教師は後日呼ぶことにして、マナーのレッスンを妻やメイド長、ラミー伯爵夫妻に託したのだった。

後日、

「ねぇ、ミュー?」

兄のリスティルに呼ばれたミューゼリックは、絶句した。

「リティがデビュタントに出るっていう噂が流れて、ラルディーン公爵家の令嬢と縁を結びたいだって」

示されたのは見合いしてくれというお願いの手紙の山。

「で、こっちはミューが養を貰った。もう許して下さい。もう一度、ミューやアリアに會いたい。孫を會わせたいのですって言う奴」

「燃やしてくれ」

「うちの子供にも、デビュタントにドレスを著せて出してやりたい。他家の令嬢を養に貰ってデビュタントをするなら、お父様、私の子にも。子供には罪はないでしょう?だって」

「反省してない。親がお前たちだったんだ、諦めろと言う気にもなれん」

「だよね〜?」

リスティルが指を鳴らすと、持っていた手紙が全部燃え上がり、灰は風に飛んで行った。

リスティルはこの國では數ない師なのである。

ちなみに、ミューゼリックもは使えるが、大々的になってしまい、逆に範囲を狹めるのが難しく、兄程用に使いこなせないのが難點である。

「アリアにも辛い思いをさせたのに、反省もできないのか!」

「デビュタントには、デュアンとリティの警備を強化しておくよ」

「助かるよ。兄貴。本気でくそ悪い……」

「ミュー。その口調で家族に向き合わないようにね」

リスティルはたしなめる。

ミューゼリックは首をすくめ、

「それ位は解ってるさ。これでも親バカなんだ。じゃぁな。兄貴。ティフィの嫁にしたいなら、その見合いは焼卻しておけよ」

「ティフィが、表を変えるのを見て見たい気がするんだけど」

「まだ本人が気がついてないのに、兄貴が背中を押してどうするんだよ。それにデュアンやアリアとも話したが、うちの娘は遠くにやるつもりは頭ない。可い娘を側に置いときたいんだ。ティフィがダメならデュアンの後輩たちにも當たらせる。まぁ、それだけ見合いが來たら、當日は蟲除けになって貰うけどな、ティフィに。リティはまだちゃんとしたマナーができるまで力も回復してないし、痩せたままだ。當日は、何とかデュアンとティフィにそれぞれ一、二曲踴らせるだけで一杯だろう。蟲除けを頼むと言っておいてくれ」

「はいはい。じゃぁ、リティちゃんによろしく。伯父さんが沢山プレゼントするって伝えておいてね〜」

「余り甘やかすなっての」

ミューゼリックの聲に、クスクスと、

「ミューのデュアンのように謙虛で素直で可いでしょ?リティちゃんは。あれ買って、これ買ってってねだられた?」

「頭でて、膝抱っこだけで喜んでた。ルイス兄貴にしかされてなかったらしい。パパって俺を呼ぶのも頰を真っ赤にして照れてて、可いのなんのって……」

「……親馬鹿だねぇ。でも、リティちゃんの為には必要だからね。マナーレッスンは、琥珀ちゃんやうちの子達も手伝いたいだって」

「それは助かる。自信なさそうに、そわそわしてナイフとフォークを使うんだ。合っているのに」

「分かったよ。じゃぁ、ミューの家でお茶會だね。琥珀ちゃんは喜ぶよ」

妻が、ミューの妻である叔母のアリアに會いたがっているのを知っているリスティルは、手を振る。

「あぁ。その方が覚えやすいだろう。頼むよ。兄貴。じゃぁ」

帰っていく弟を見送り、ついでに見合いの封書も今度はになるまでかまいたちで切斷しつつ、

「ミューは繊細なは苦手だからねぇ。大規模なばっかり覚えて。こう言うのを様々に処分する仕方を繰り返せば、繊細になるだろうに……しかし、馬鹿どもは懲りずに何かやらかすのかな?今度はないよと脅しておいたのに、忘れてるとはね。お仕置きが楽しみだ」

とリスティルは呟いたのだった。

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