《ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし》41……バナとプロポーズは突然に……?

數日後、1人の細の青年が姿を見せた。

長いストレートの髪は漆黒、そして白いに瞳も漆黒。

端正と言うよりも可らしい顔の青年と言うより年である。

「失禮致します。國王陛下……カズール伯爵閣下の命で參りました。カイ・レウェリンの5男セリディアスと申します。どうぞよろしくお願い致します」

優雅にお辭儀をするセリに、父親に抱っこして貰っていたリティはきょとんとする。

黒い髪は滅多にない。

特に目の前の青年のように、艶のある黒髪は稀である。

綺麗だなぁ……でも、聞き捨てならないことを聞いた気が……。

「えっと……パパ……」

コソコソと問いかける。

「今、お兄さんはカイお兄さんの子供って言ってましたよね?」

「そうそう。カイは7人息子ばかりでな。長男と次男が國王陛下の側近」

「はぁ……髪のつやつや……つやつやで、ってるところが王子様の王冠みたいです」

「ん?どうしたの?リティ」

伯父の國王の問いかけに、頰を赤くして、挙不審になる。

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「兄貴……セリの髪のが綺麗で、王子さまのようで羨ましいだそうだ」

「ありがとうございます。兄弟の中で僕1人が母に似ていまして、この髪と瞳は母譲りなんですよ」

微笑む。

「お姫様の髪も艶があっておしいです。それに瞳は優しい空の青ですね」

「あ、ありがとうございます」

もじもじとしつつもお禮を言う。

「あ、えと、ラルディーン公爵家の末娘、ファティ・リティと申します。セリディアスさま、よろしくお願い致します」

「……」

リティを見つめ、頰を上気させぷるぷると震えるセリディアスに、父親のカイが、

「本を出さないように……セリ」

「何で?父上!こんなに可かったら、僕も著せ替えとかしたい!だって、兄弟、皆僕以外父上似で、いつも僕が母上のふりしてパーティに出るじゃん!」

「でも、綾はね……」

「それは分かってるよ。それに、兄貴たちの嫁さんは、調の崩しやすい3兄の姉ちゃんは兎も角、他の姉ちゃんは男裝か、パーティに出ないって言うし……もう、僕がローズ様の特訓けてなかったら、うちが幾ら公爵家でも終わりだよ」

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父親よりも頭1つ以上低い小柄な青年は、父親を睨む。

「父上……僕だって、僕だって男だもん。可の子と踴りたいんだよ!これでも!いい歳だよ!弟だって結婚や婚約してるのに!酷いよ!それに、父上ならまだ許す!ダンス、父上は上手いもん!でも、兄貴たちのダンスを何とかして!じゃないと僕、もう踴らない!仕事以外裝なし!」

「えっと〜ねぇ?と言うか、綾が踴れないの解るでしょ?」

「だから、父上と踴るのはいいけどさぁぁ!兄貴たちのパートナー、なしにしてくれたらいい!兄貴たち、ダンス下手なんだもん!僕の足を何だと思ってるの?失禮だよ!それに、兄貴たちは自分たちの嫁さんいるんだから!もう、絶対踴らない〜!」

「……そうだねぇ……うん。帰ったら、あの子たちに言っていいよ。で、ダンスの特訓をさせることにしようね?」

「やったぁぁ!父上大好き」

父親に抱きつく。

「……この親子、親バカでファザコンなのよ……ごめんなさいね」

ローズ様はのたまう。

「カイは奧さんを溺していて、自分に似た6人の息子は、厳しくなるみたい。でも、奧さんに顔も格も瓜二つで真面目で努力家のセリには甘いのよ」

リスティルたちも噂に聞いてはいたが、かなりの溺ぶりに驚きである。

ちなみに騎士にしては細で可らしく、裝に違和じない。

「だから、父上!僕も男裝でダンスを踴りたいです!お姫様と!あんなに可いお姫様と踴れたら絶対に一生自慢できる!と言うか、僕は嬉しい!お願いだから、父上ダンス踴りたいなぁ……?お願い出來ませんか?」

「……確か、今度パーティありましたよね?陛下」

「そうだねぇ。デュアンが出られないから、誰かパートナーをと思っていたんだ。セリ、パートナーお願いできる?」

「はい!パートナーとしてだけではなく、お姫様をお守り致します、ご安心下さいませ」

父からを離し、騎士としての禮を返す。

「と言う訳で、次のダンスパーティは、デビュタントのやり直しだから、リティのドレスも新調だね。に負擔のないものを。その時に、セリも合わせて作りなさい」

「えっ?あの。自分の……」

「うちの一族の今年の姫のエスコートをするんだから、こちらで手配するよ。ダンスのレッスンもよろしくね」

「やったぁぁ!初めての子とダンス!しかも可いお姫様!幸せ〜!」

「こらこら、セリ、大聲で言わない」

カイはたしなめるが、を突き出した年齢未詳の年が、

「だって!僕は、ずっと母上の代わりか、兄貴たちのパートナーか、仕事の潛裝だよ!可いお姫様をエスコート!嬉しいんだもん!リスティル陛下ありがとうございます!」

ニコニコと笑う年に、ローズ様は、

「リスティル陛下もミューゼリック閣下も後悔すると思うわ」

と、ティフィに聞こえる程の聲で呟いたのだった。

その翌日から、セリはリティのダンスのレッスンと警備、勉強を見たり、髪を結い上げたり、ドレスのデザインにもチェックをれる。

の子だから、年齢相応のものではなくて、顔立ちに似合う可らしいものがいいと思うんだ。ほら、無地のドレスよりも花柄のドレスにしたり、可くて十分。ハァ……姫様は可くて本當に似合うから、僕は見てるだけで幸せかも……」

「あの、セリお兄ちゃん。短くでいいのですか?」

「えっ?あぁ、このドレスはね、失禮しますね。こーやって……」

デュアンとカイ、ローズ様とミューゼリックが唖然とする。

膝をつき、ドレスの裾のリボンを解いたセリはドレスの裾をばしていく。

「はい。これが公でのドレスで、さっきのリボンでミニスカートにしておくと、普段著と言うかちょっとよそ行きとか出來るでしょう?」

「ふわぁ……可いです」

「でしょう?でねでね?はい。手首に何もないのは寂しいでしょう?姫様の瞳ののリボン。とても可いと思うなぁ……」

「リボンがですか?」

「リボンをつけてる姫様が可いんだよ?とっても似合うなぁ」

ニコニコと笑う。

「本當に可い。良いなぁ。こんな可いお姫様」

「セリ……戻っておいで」

「父上。ねっ?可いでしょ?似合うでしょう?」

「はいはい。セリ。一応騎士団長としてきちんとしなさい」

「……野郎どもは暑苦しいし、お姉さまは僕をおもちゃにする……」

遠い目をする。

「……自分がもっと父上に似ていたら……」

「えっと、お兄様はかっこいいですよ?とってもよくお似合いです」

リティと共に揃えられた一式を著たセリに、リティは微笑む。

「……どうしよう……もの凄く可すぎるんだけど……」

「セリ。リティを連れてこっちに來い」

ミューゼリックは、リティの周りで可い可いと悶えているセリに釘をさす。

「はーい、お姫様どうぞ」

「あ、ありがとうございます」

セリは、慣れた様子で手を差し出す。

しかし、今までの父やティフィ、若返る前のデュアンに比べ、背は低く、それに細かいところに気がつく。

「姫様。ゆっくりでいいですよ。本來のエスコートというのは、男がレディを強引に引っ張るのではなくて、レディのペースに僕たちが合わせるのが本來なんです。ゆっくり歩いてみますか?」

と、ゆっくりと歩いてくれ、

「はい。とてもお上手です。それに、ローズ様に教わったのでしょう?扇子の扱い方がとても綺麗ですよ。それに、手先まで集中していますね。本當に短期間でここまで……素晴らしいです。お上手です。それにこんなに可い……エスコートできて本當に嬉しいです」

リティは恥ずかしがるが、セリはニコニコと微笑む。

リティの父のミューゼリックの隣のソファにエスコートすると、空いていた斜め橫の1人がけソファに座る。

そうして、テーブルに幾つも置かれているデザインのイラストを覗き込む。

「豪華ですね……」

「だろう?前回散々だったから、今度はと思ってな?」

「と言うか、デビュタントですよ?ケバくないですか?どうして紫とか、濃い系のなんです?淡い系で、薄いレースを重ねるなり、ギャザーやレースをれるなりしましょうよ。濃いでもピンク、ブルーで、薄いレースを重ねたら淡く見えて可いですから」

「と言うか、14に見えないと言われてな……」

「14なんですから、いいでしょう?それに、似合う間に可いドレス著ないと損ですよ?うちの長兄と次兄の嫁……姉さんは男裝が楽とずっとそれで通していたら、結婚式や正式な行事の際にドレスを著ることになったら、何を合わせるか、ドレスコード1つも分からない上に、最後に逆ギレで『俺は普段通りで行く!お前が裝しろ!』って……父さんが叱りつけて、何とかなりましたけど、姫はまだ僕よりも10歳も若いんです。可いドレス、十分じゃないですか。リボンだって、レースだって似合うんです。うちの姉達が20歳過ぎで、フリフリドレスを兄貴たちが選ぼうとして、ぶっ飛ばしましたよ。年齢と見た目に応じたドレス、最高ですよ!」

言いながら、幾つかのデザインをポイポイ放置し、3枚のイラストを並べる。

「このデザインならいいと思います。それに、もう1つのこのワンピースは、ピクニック用に如何です?」「……お前の趣味だな」

ローズ様の一言に、にっこりと、

「ローズ様の息子のラファ兄さんの影響です。僕、顔だけ兄貴よりも、ラファ兄さんが良かったです」

「がーん!私の顔が嫌い?」

「いや、父さんは強いし優しいし、手先も用だし、格も可いし、悪いところは運だけ。でも、兄貴たちは顔だけで腹黒、悪、好き、タラシ。弟2人が本當にまともに育って良かった」

「……運悪い……」

息子の一言にカイは衝撃をけたらしい。

「大丈夫。父さんはかっこいいからね」

める。

「それと、うーん……姫様に似合う……あっ、そうだ!シンプルイズベスト!昔流行したドレスイメージで、淡い生りの生地で、この裾の長いドレス!外側はこんなじだけど、ここで、スカートの裾を止めたら、今年流行の、前と後ろの長さの違うドレスに!上品でしょ?髪飾りもヴィンテージっぽく。手袋は、手甲を覆うのは布で、指先や手の甲、肘までは手編みのレース!これは本當に淑っぽいと思います!」

「ノリノリだな。セリ……」

「ローズ様。どうですか?ね?ね?清楚ですよ!」

「と言うか、ウェディングドレスみたいじゃない?」

デュアンが後輩を見る。

「えっ?そうだったかなぁ?でも絶対似合いそうですもん!」

「だから嫁には出しません!リティは」

「じゃぁ、僕、婿に來ます!あ、姫様はまだ14ですもんね。それに二年あったら僕もこっちで々出來そうですもん」

「ちょっと待て!いつの間に婿に決まってるんだ?」

ミューゼリックは口を挾むが、

「僕、仕事も真面目にしますし、今もしています。それに履歴書とか職務経歴書とか出しますよ?騎士の館での績とか……」

「そう言う問題じゃない!」

「じゃぁ、こっちの陛下にお願いして來ます……」

「そこまで出すか!」

「だって、可いし、一目惚れだから。それに、この背の低い僕に最初の一言が、低いとかじゃなく、『髪のがつやつやしてる。王子さまみたい』ですよ〜!兄弟並んだら、僕だけ低い!コンプレックスだったんです!それを姫様言わなかったんです!」

拳を握り締める。

「姫様本當に可いし、一所懸命だし、真面目で、素直で……と言うことで、コウヤ小父さんにお願いして來ます!誰かに取られたらやだ!」

と、立ち上がると、部屋を出て行った。

「パパ。しょくむけいれきしょって何ですか?」

リティは首を傾げる。

直していたミューゼリックは、何とか笑顔を作り、

「職務経歴書とかは、自分が何歳からどんな仕事をして來たとか、仕事についていなくても、上司について仕事をしたとか……自分を証明する書類だな。兄貴だけじゃなく、向こうのアルドリーにもって……うわぁ……嵐になったらどうしよう……」

頭を抱えいたのだった。

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