《ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし》46……再びのデビュタント

日付を改め、デビュタントを開かれた。

王族の令嬢であるリティは、前回はピンクのドレスだったのだが、今回は可らしい小花の布を使ったドレスで登場する。

前回のエスコートをしていたのは兄のデュアンだったのだが、漆黒の長い髪を、リティのドレスと同じシュシュでしばったセリがエスコートしている。

ちなみに、ローズさまをエスコートしているのはティフィである。

「オホホ……本當に、嬉しいですわ。殿下にエスコートして頂けるなんて」

「と言うか、絶対デバガメでしょう?カイ先輩の代わりに父親みたいな気分……あいたぁ!」

「何が父親ですの!私はですわよ!」

「……すみません。ローズさま」

「オホホホ……分かっているならよろしくてよ」

ローズさまは微笑む。

リティは、前に父親に約束した通り、セリと二曲、そしてティフィと二曲を踴り、そして、両親や國王夫妻、クシュナ夫妻の待つブースに移する。

「お疲れ様。リティ。可かったよ?」

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「ありがとうございます、伯父様。セリお兄ちゃんとティフィお兄ちゃんがとてもお上手なので、すごく張していましたが、踴れました」

先に座っていたセリが、隣の席を勧める。

「あ、ありがとうございます」

ちょこんと座るが、反で飛び跳ねそうになり、セリは慌てて抱き寄せる。

「うわっ。危ない!」

「すみません」

「び、びっくりした。デュアン先輩に言われていた、これが危険の意味か……」

セリは自分の膝の上に乗せる。

「こら!セクハラ!」

ミューゼリックは睨むが、リティに、

「姫様。何か食べたいですか?ジュースとか如何です?お取りしますよ」

「えっと……ジュース……それと、クッキー」

「えぇ、どうぞ」

ジュースは側に控えるメイドから渡され、クッキーは幾つか取って貰ったお皿をこちらはセリが手にして、

「はい、アーンしましょうか」

「こらこらこら!」

止めようとするが、リティは食べたかった……セリが調査しただけあり、好きな味である……にぱくんと食べ、

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「はい、セリお兄ちゃん。どうぞ」

「ありがとう」

とセリはチョコチップクッキーを食べさせて貰う。

本人は口の中に甘い味が広がり、頬を膨らませた小のようにご機嫌である。

が、セリは、橫座りにさせたリティを覗き込み囁く。

「今日はデュアン先輩がいなくて殘念だね……」

「だ、大丈夫です。お兄ちゃん元気になったらダンスするのです」

「そうだねぇ……」

「こら、叔父上が移できないのを承知で、ベタベタしない」

先程まで數人の貴族と……適齢期の娘のいるがつく……話をしていたティフィが空いている、元々リティの席に座るとこちらもストレートティーを頼む。

「リティ、味しい?」

「はい!お兄ちゃんも食べますか?」

「ありがとう」

こちらは、シンプルな穀を混ぜたあっさり味のクッキーに満足である。

「うん、味しい。リティは食べた?」

「僕が食べさせてあげてます!」

「こらこら、ティフィもセリも、リティはレディだよ。小の餌付けじゃあるまいし、やめなさい」

フーフーとを逆だてるセリと、半分面白がっているティフィをリスティルはたしなめる。

「全く。リティ?大丈夫?」

「……って、あらあら、このデビュタントで眠くなるなんて、大ね」

ティアラーティアはくすくす笑う。

ウトウトとしてハッと目を覚ますことを繰り返している。

「あ、ごめんなさい……き、昨日張して眠れなくて……」

「ジュースは私が持っておこうか。大丈夫?し寢てる?」

「下がって寢てもいいよ?」

リスティルは優しく促すが、目を大きく開き、必死に首を振る。

「パパとママと、伯父様たちやお兄ちゃんたちといたいです。エスティお姉様とお話ししたいです……」

実はあの事件以降1人でいるのが怖いと兄や両親……そして、隣國の國王の勅命で正式にリティの護衛に決まったローズさまとセリの側にいることが多い。

今日は、クシュナの妻であり従姉妹のエスティマとお話ができるとワクワクしていたのである。

「まぁ、嬉しいわ。リティ。私もお話がしたかったのよ」

クシュナの妻のエスティマは、調を崩した王妃ティアラーティアや、叔父の妻のアリアの代わりに、従姉妹たちと共にお茶會を催し、今回の事件の沈靜化を図っていた。

政治は男の世界ではあるが、はそれ以外の面でサポート役も擔うし、それ以上にお喋りをすることで報収集を行う。

そして、今回は粛清と言うよりも、向こうが勝手に起こしたもので、クーデターであり、今までは國王も黙っていたが、もうこれ以上は許せないと斷罪に至ったのだと辛そうに告げてみせた。

特にエスティマは、夫が最前線に立ち、暴力を振るってきたのを抑え込んだ時に、従兄弟だった男に刺されそうになり、その前に立ちふさがったデュアンが死にかかり、今も半分寢たきりであることを伝える。

國王の三人姉妹も、

「デュアンお兄様にお見舞いに伺ったのですわ」

「あのお兄様が昏睡狀態で、ラルディーン公爵閣下も奧様も本當に……」

「その上、養に引き取ったファティ・リティも、一時は連れ去られ行方不明で……見つかった時には傷だらけで泣いていたそうですわ」

「リティは、王太子殿下が見つけて保護しましたのよ」

と聲をかける。

関係の話題のほぼない王太子殿下に春が……と盛り上がったのだが、すぐに別のお茶會に、エスティマたちと共に1人のが姿を見せる。

らかな金髪に大きな丸い瞳はグリーン……。

聲はハスキーだが澄んでいて聞き苦しさもない。

「初めてお目にかかります」

優雅にお辭儀をするを、エスティマは紹介する。

「紹介しますわね。私の夫の知人のローズ様ですわ。シェールドのマルムスティーン侯爵の遠縁だそうですの」

「突然お邪魔しまして申し訳ございません。私はローザリンド・エスティ・マリア・レイル・マルムスティーンと申します」

「レイル・マルムスティーン侯爵……!」

ざわつく。

シェールドでは諜報の一族の面で知られているが、

「も、もしかして……ローザリンド様はあのブランドの……」

「そうですの。姉たちが立ち上げたもので、私は姉たちのデザインを起こしたものをにつけるだけ……ですわ」

「そんな!伺っておりますわ!ウィンディ・ローズ・ブランドの総デザイナーはナーニャ……ナリア・レーネ様。そのデザインを共にチェックされるのがローズ様だと……そしてのカリスマ!シェールドの王妃殿下もローズ様のデザインをお気に召されているとか……」

「そうですわ!それに、こんなにおしいなんて……」

年も様々な嘆するのは、貌だけでなくしさに完璧な禮儀作法……。

「まぁ……恥ずかしいですわ。これでも子供がいるのですわ」

エスティマたち従姉妹同士は心で突っ込んだ。

「この人、本當は男で、奧さんに子供や孫もいるんです〜」

しかし、たちは気づきもせず、

「子供がいても、そのプロポーション!」

「完璧なドレスコードに」

「マナー……本當に、お會いできて嬉しいですわ……」

目をキラキラさせるたちに、頬を赤くし、

「ありがとうございます。歓迎して下さって本當に嬉しいですわ」

と答えるローズ様の図々しさ……いや、隙のなさに、4人は、

「負けた!」

と思ったのだった。

それからはローズ様は、あちこちのお茶會に呼ばれ、々と報を収集する。

そして、同じドレスでは恥ずかしいと言うよりも、実家の姉たちがデザインしたシェールドの流行のドレスをにつけて、こちらのデザインとの違い……しかし、ルーズリアの流行をけなすことはない……そして、ルーズリアのファッションに1つモチーフを加えると獨自のファッションになることや、エスティマたちがモデルとなり、ローズ様の持ち込んだ裝飾で変わると言うことを説明するのである。

そのモチーフはルーズリアに売っているものだったり、もしくはシェールドにしかないものだが、こちらに出店している姉のブランドの店にあることを伝える。

そういったものはすぐに廃れるものではなく、ブローチにしたり、チョーカーの飾りにも使え、ネックレスにもなることを提案する。

売るだけでなく使って貰うことを優先である。

それに、夫や嫁姑問題、娘の嫁ぎ先、息子が結婚しないなどの愚癡にもローズ様は丁寧に対応するものだから、エスティマたちは、自分たちよりも凄い人だとしたのは別の話。

エスティマは、従姉妹になるリティと距離を置いていたと言うよりも、混を鎮靜化させる為にいていたのである。

その為、リティに會うのを楽しみにしていた。

前回と違うドレスで、その上、夫の後輩である漆黒の神的な年の膝で座っている姿も本當に悶えする程可い。

「私のお母様や、お兄様にも伝えたのよ。お母様はリティに是非會いたいって……お兄様はやめろですって。叔父様に迷だって」

「……まぁ、會いに來ても良いけど、ローズ、お前に任せた」

「あらぁ……閣下のお申し出は大変嬉しゅうございますが、あちらの王陛下にお會いしとうございますわ。確か、ティアラーティア様が真紅の薔薇、エレナ王陛下はピンクの薔薇、リールの王陛下は純白の薔薇とそれぞれ例えられますもの……」

「シェールドの王妃殿下は、青い薔薇とも言われているだろう?」

ミューゼリックはニヤッと笑う。

珍しくローズ様はしいの仮面が剝がれ、苦笑する。

「ルエンディード妃殿下は、マナーレッスンは全く必要はないのですわ。でも、普段は素っ気なく年のような言いですの。男裝を好み、昔は漆黒の年の格好をして出歩いてましたもの。一度は、一時期王宮の中が整わず、カズールのチェニア宮に滯在していた陛下たちが抜け出して、魔がいると言う噂の窟に行ったのを追いかけて、叱りつけたとか。お父様や弟が可い顔でしょう?だから自分もバレないと思ったとか」

「バレたのか?」

「陛下だけは。陛下は妃殿下が小さい頃から好きでしたのよ」

「あのはねっかえり王妃殿下」

「閣下方の妹のアンジュ様には敵いませんわ。それに、こちらの陛下の母后陛下の方が……」

遠い目をするローズ様に、ミューゼリックもリスティルも頷く。

「そうだな……」

「そうだね……うん、ルエンディードは立派にレディだよ」

「でしょう?」

3人は頷く。

「セリお兄ちゃん。セリお兄ちゃんのところの、あのコウヤさまの奧方様、綺麗な方なのね」

「そうだね〜。ルゥ姉さんは、人かな……ローズ様の従姉だよ」

「わぁ……じゃぁもの凄く綺麗……」

「違うわ。私は母に似ているの。ルゥ姉さんは本家の顔なのよ……」

「本家の顔?」

リティはセリを見る。

「ルゥ姉さんは、顔立ちはマルムスティーンやカズールの貌をそのままけ継いでて、瞳と前髪の一房が蒼。殘りの髪はプラチナブロンド」

「陛下と並んでも遜ない貌の持ち主よ。姉さん房なの」

「そう。僕の母と陛下が叔母甥で、先日までいた父の父……僕のお祖父様とルエンディード妃殿下の父上が従兄弟。その縁もあって僕も可がって頂いてるんだ」

「そうなのですか……お會いしたいです」

リティは微笑んだのだった。

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