《ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし》閑話休題……ローズ様の溺するメオくん

メオ……メテオールの毎日は、じいじとばあばに起こして貰うことから始まる。

じいじもばあばも年齢に別を超越した……特にじいじ……存在である。

「おはようごじゃいましゅ。じいじ、ばあば」

普通は起きたらメイドなどが著せ替えを手伝うのだが、メオは人見知りの為、じいじ、ばあばが抱っこして著替えをさせる。

「メオ〜?何の服がいいかな?今日はじいじと陛下の所に行こうな?」

「メオくん。ウィリーさま……じいじとばあばと行きましょうね?」

「あい」

お返事はちゃんとできるお利口なメオくんですが、朝食を2人に食べさせて貰い、お出かけすることになると、ぐずり始める。

人見知りで、余り人に會うのが怖いのである。

「メオ?ルゥさまと幸矢さまが待ってるぞ?」

「幸矢しゃま!」

メオは國王陛下夫妻が大好きである。

抱っこに庭で一緒に遊んでくれるのである。

「行こうな?」

「あい!」

「それに、ラファにセナいるからな?」

「んーと……ラファパパとシェニャパパ……?」

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「そうそう」

汚れてもいいようにスモックと半ズボン、革靴ではなく走り回れるように靴を履いて祖父に抱き上げられ祖父の職場に向かう。

途中で會うのはこちらは長で落ち著いた腰の亜麻の髪の青年と、ローズ様瓜二つのらしい……ではなく、

「セナ、ラファ」

「あ、ウェイト伯父上、アルファーナ叔母上、おはようございます」

「父さん、母さん、おはようございます。あ、メオ。おはよう」

ニッコリととろけるように微笑む……ラファは子煩悩である。

メオは恐る恐る顔を覗かせると、

「ラファパパ、おはようごじゃいます。シェニャパパ、おはようごじゃいます」

頬を赤くしてテレテレと挨拶をする。

ラファは、落ち著いたら養子に迎えるメオをすでに可がっていて、

「メオはいい子だなぁ。パパとセナにもちゃんと挨拶ができて」

「本當だねぇ。メオはいい子だよ」

ラファの橫で、セナも目を細める。

ちなみに、セナは父がリオン……エドアルド・ヘリオスと言い、現在のカズール伯爵の甥。

ラファよりも1歳上で、國王アルドリーの妹王を妻にしている。

「メオ、パパのところに來るかな?」

「あい!」

ようやく慣れた義父に抱っこして貰い喜ぶ様子に、祖父であるウェイト……ローズ様は裝時のお名前です……は安心する。

連れ戻る前、最初は孫の行方不明だと聞き、主君に許可を得て飛んで行った。

すると、見つかったものの、両親にも周囲にも距離を置き、口數のない……心を閉ざす孫に心を痛めた。

點滴をして、側に母親がいるものの、言葉を発することもなくただぼーっと天井を見つめている姿。

「星蘭せいらん」

「お義父様……申し訳ございません」

妊婦の星蘭は表が余り出ないが、自分を責めるように表を歪める。

「どこにいたんだ?メオは」

「紅騎士団の武庫の中です」

「武庫!怪我は?」

「いいえ……怪我はなく、酷い水癥狀と熱です。でも、先生に診て頂いても、返事もなくて……」

ウェイトは、孫に呼びかける。

「メオ?じいじだぞ?」

「……」

こちらを見ることなく、心を閉ざす孫を見て、このままではダメだと嫁に告げ、安定した所を見計らい王都に連れ帰った。

息子が追いかけてきたが、徹底的に毆り飛ばし、

「メオはお前に返さん!面倒一つ見もしないで、親父ヅラするな!」

と追い返した。

ちなみに、追い返しても何度か會おうとしたのだが、諦めて帰ることにしたのは、一度だけ庭で遊んでいたメオに駆け寄ろうとした時。

父親を見たメオがおもらしをし、を引きつらせ泣き出したのである。

「だ、団長……」

その時、ちょうど休暇でメオと同じ年の娘と共に來ていたラファと、ラファの妻で星蘭の妹の那智なちの前で、ボロボロ涙を流すメオ。

「団長の邪魔しないの。大人しくしてなしゃいなの……ごめんなしゃい……ごめんなしゃい。おもやし、ごめんなしゃい……」

「お、怒ってない!それに、俺は父ちゃんで……団長じゃないぞ?」

「ごめんなしゃい、団長。ごめんなしゃい……見えないとこいく……」

走って行こうとしたメオを那智は慌てて抱き上げ、義兄を非難するように睨み、

「メオちゃん。ママと行きましょうね?ばあばがジュースを用意しているって……」

と娘の手を引いて奧に消える。

それを確認したラファは弟に近づき、

「メオを俺たちが養子に引き取ることになった。メオはお前の息子じゃない。諦めて帰れ。星蘭もいるだろう」

「だけど、兄貴!」

「団長……とメオはお前に言った。那智は星蘭からの手紙で、『メオが自分のことを參謀、夫のことを団長と言うのがとても心配しています。何度かパパとママと教えても首を振って団長と參謀と繰り返し、口數もなくおしめをしても、おもらしをしたとか言えないのです。表もなく心配しています』とな」

を噛み、うなだれる弟に、冷たく、

「仕事は大事だが、団長としての資格はあるが、お前にはメオの父親の資格はない。帰れ。子供を放置して仕事に沒頭し、放置して自宅に帰ったと聞いている。まだおしめをした子供に、騎士団を出ていけるはずもない、門や扉には警備がいるはずだ。それらが任務を怠っていないなら、部でメオはいるはずだと言うのに探しもできない。騎士団長としていたいなら、メオは忘れろ。帰れ」

ラファは言い放ち、

「ではな。メオをこれ以上苦しめるなら、隼人義父上にも伝えておく。帰れ」

そう言って去った。

うなだれて帰っていく姿を見送ったウェイトは、ヒックヒックしゃくり上げる孫を抱き上げ、

「大丈夫だぞ〜?メオ。ほら、パパが戻って來た」

「ごめなしゃい。おもやし、ごめんなしゃい……」

「良いんだよ。怒ってないよ?さぁ、メオ。お部屋でじいじたちとおやつを食べよう」

著替えをさせた孫に、微笑んだ。

職場に向かったウェイトは、友好渉を行なっている隣國の王族の暗殺未遂事件に、出向の命令を與えられ、同僚のカイと向かうことになったのだが、殘念だったのが、

「メオ……ごめんね!じいじはお仕事でしばらく行ってしまうんだ。帰って來たら沢山遊ぼうね」

「あい。じいじ」

「ラファ。後は頼んだ」

「あぁ。父さんも気をつけて」

「あぁぁ……メオに會いたい、メオに會いたい……」

ウェイトは、今日もローズ様に変しつつ孫の名前を呼ぶのだった。

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