《ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし》60……シェールドの客人として滯在しています。

部屋を用意してもらい、服を著替えさせてもらったのだが、

「えっと、これはなんでしゅか?」

「うふふ、グランディアの普段著みたいなものかしら?靴は普通の靴でもいいから」

手伝ってくれたのはプラチナの髪と、右目が真紅、左目がライトブルーの

きつくはないが、お腹から背中に回る布で縛ってもらう。

「はい、可いわ。よく似合ってる」

「お姉さま、ありがとうございます。えと、はじめまして、私はファティ・リティと申します」

「ありがとう。リティちゃん。私は、マルムスティーン侯爵夫人のレイ・ディーアです。よろしくね」

「マルムスティーン侯爵……えと、金髪のお兄さんの奧様ですか?」

「うふふ、しゅーちゃんは旦那様なの」

微笑む顔は國王アルドリー程人外の貌ではないが、らしい。

リティは兄のデュアンや先日まで來ていたアルトゥールに教えてもらったことがあるのだが……。

「あ、あの……もしかしてアルトゥールお兄ちゃんのお姉様ですか?えっと……」

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「えぇ。15歳上の姉なの。みーくんの上のお姉ちゃんよ。みーくんの雙子の姉があちらにいるねがちゃん」

せっせと何かをしている……いや、侍らしいとともに、何かを探しているのは銀の髪と青い瞳の

「どうしましょう。髪飾りはどれがいいのかしら……お姉様。あらまぁ、可い。お姉様の言う通りとてもよく似合っているわ」

「でしょう?ねがちゃん。こう言うのでゆっくりとして貰えたらいいのよ。帯よりも、こんな風に蝶々結びの方が可いでしょう?」

リティの髪を軽くまとめ、髪飾りで飾る。

「本當。お姉様。でも、お姉様、ルゥお姉様が々と見立てるとか」

「姉様が準備してくださる間だけでも、この姿でいいと思うの。リティちゃん。一緒に行きましょうね。あのおチビちゃんも待ってるわ」

レイ・ディーアと、アラバニールと名乗ったは微笑み手を繋いで歩いてくれる。

二人とも國王の妹で、大変人だが気さくで優しい人たちである。

元の部屋に戻ると、

「アル!酷いじゃないか!私がカズールに行っている間に!」

と、それはそれはしい……大きなブルーの瞳に、目鼻立ちは驚くほど整っているが、貌と言うよりもお人形のように巧で計算し盡くされたらしい顔立ちに、長い髪はプラチナブロンドだが、左前の一房だけブルーシルバーの……。

「アル!私だって、私だって……著せ替えっこしたかったのに!リジーもそう思わないか?」

國王アルドリーに食ってかかるが、威勢がいいのに、それがくるくると表が変わり、ますます可らしく見え、

「だからね、ルゥ。本當に突然だったんだよ。だから、さーやと希(ねがい)に來てもらったの。その後はちゃんとここで向こうの戦闘が落ち著くか、ベビードラゴンが長するか見守ってもらわないといけないし」

「……アルが黙って連れてきたとか……」

「あり得ないよ!それでなくても、リー兄さんやミュー兄さんがキレて怖いのに!ミュー兄さんの娘だよ。それにマザードラゴンのし子」

「にーちゃ、ルゥ姉様、リジー姉様。リティちゃんですわ」

レイ・ディーアが聲をかける。

振り返ったは目を輝かせる。

「まぁ!何て可らしいの!」

「あ、と、突然お邪魔して申し訳ありません。私はルーズリアのラルディーン家の娘のファティ・リティと申します。どうぞよろしくお願い致します」

慣れない異國の服ではあるが母に教わったカーテシーをする。

「まぁ……こんにちは、ファティ・リティ姫。私はルエンディード・カエサールと申します」

「私はブリジット・アルカディアですわ。どうぞよろしくお願い致します」

「……えっ……シェールドのお二人の王妃殿下……でいらっしゃいますか?」

「違う違う」

アルドリーが慌てたように答える。

「私の奧さんがルエンディード……ルゥで、ブリジット……リジーは、私の雙子の弟、蒼記(あおき)の奧さん。一応ね?私と蒼記は雙子で王位継承権は同位だったんだよ。だから」

「と言うか、僕は王位に興味はなかったんだけどね〜。幸矢(こうや)の方が向いてるし。だけど、幸矢が王宮にいることが増えたから、ある程度外遊や國を見るのも公務だからと思って、外向きをしてるんだよ」

お茶を飲みながらアーサーは答える。

「それに、こんな破壊兵外に出したら、絶対戦爭起こるから」

「俺をなんだと思ってるんだ、お前は」

アルドリーは眉をひそめる。

しかし、憂げな表貌をますます引き立てるだけである。

「ところで、ルゥ姉さん。その手何?」

「可いドレス、あぁ、ナーニャ姉上と一緒に……」

「ルゥ!柘榴姫はが丈夫じゃないからゴテゴテの重たいドレスやヒールは厳だよ?」

「大丈夫だ!私とナーニャ姉上の手で!可いお人形のように!」

「姉ちゃん、ストップ!」

いつのまに近づいていたアルトゥールがリティを抱き上げる。

「リティは、うちのヒナの友達だから。姉ちゃんが遊んじゃダメ」

「そ、そうだよ。それに普通のワンピースで。庭で鬼ごっことかいいと思うんだけど。あ、セリ。綾ちゃんが泣いてたよ」

「大丈夫です!僕いなくても、末弟いるし」

「セリー!」

姿を見せたのは、く椅子に座った黒髪と瞳の年齢未詳のと、その後ろから、カイを小さくした年がぴょこんと飛び出す。

「あっ!セリお兄ちゃん!お帰りなさい!」

「わぁぁ!ウィンツェンツ……髪切ったの?」

「うん!だって邪魔だし、僕すぐグシャグシャにするから」

「えぇぇ!僕は切らせて貰えなかった!」

「そりゃ、金髪6人もいたら、お母さん一人くらい短くても良いって。でも、お兄ちゃんのはダメって言ってた。ね?お母さん」

短いといっても、肩のあたりで切り揃えられた年の頭をでながら、

「これでも、我慢させたのだぞ。セリ。ウィンはもっと短くすると言い張って」

「母さんは僕には切るなって……ずるい」

「私ではないぞ。カイが言ったのだ。セリの髪は切らせない。そろえる程度。だから私も長いではないか」

「母さんは、グランディアの巫姫の筋でしょ。僕は巫も何もないじゃない」

セリが頬を膨らませる。

すると、

「グランディアの奉納の剣舞が舞う後継者がいない。幸矢(こうや)と々荒っぽいが月歩(つきほ)、無表の星蘭(せいらん)、時(せいじ)の妹の七姫(ななき)はお転婆だ。六槻(むつき)のところはが弱い、幸矢の娘も問題あり、蒼記(あおき)の娘も、彗(すい)のところは全くダメダメだ。さーやのを引いてないらしい。誰か後継者が生まれるまではセリがやれ。それとも、自分の姪……つまり、バカ息子どもの娘に踴らせるか?まだよちよちだが、叔父が姪をいじめるのか?兄はいじめて良いぞ」

バッサリの言い方は本人のくせらしい。

「……うぅぅ……母さんの意地悪。僕だけ……僕だけ……」

「私が舞えるなら、舞いたかったが、無理だからな」

「あ、お母さん。僕も練習したい!ねえ?頑張るから良いでしょ?」

「しても良いが、ウィンはセリのように母から離れるな……頼むから」

「セリお兄ちゃんはお仕事で出張が多いんでしょ?僕は騎士になるけど、お母さんと姫さまの騎士でいたいから離れないよ?」

キリッとした7歳の弟は、きっぱり言い切る。

「良い子に育った!」

ひしっと息子を抱きしめる。

「はいはい、綾ちゃん。セリが忙しくて構って貰えないからっていじめないの」

「だって幸矢!」

「綾姉ちゃん。お客様が來てるって知ったんだろ?」

アルトゥールは近づくと、腕の中のを下ろす。

「姉ちゃん。こちらが、ルーズリア公國ラルディーン公爵の末娘、ファティ・リティ公。じい様がつけた名前は柘榴姫」

「は、初めまして。グランディアの姫様。私はファティ・リティ・ウィステリア・ルイシアと申します」

「……か……」

カーテシーを決めたリティを見つめたは、ギギギッとアルトゥールを見ると、

(のぞみ)!もらっても良いか?しい!可がるから!」

「ダメ!ルーズリアのリー叔父の可い姪っ子だよ!殺されるよ!」

「それに、先に私が言ったのだ!」

「ルゥ姉上には娘がおるだろうに!ずるいぞ!」

「その前に、姫はものじゃありません!」

セリが抱き上げ、母と王妃の友人同士を睨む。

そして溜息をつき、

「ごめんね?姫。紹介するね?僕の母の綾……鮮やかな織という意味。そして、末弟のウィンツェンツあと紹介してないのは、政務のすぐ下の弟と、三番目と四番目の愚兄だね。ウィン。姫に挨拶は?」

「はい!お兄ちゃん。初めまして。姫さま。僕はカイ・レウェリンの息子のウィンツェンツと申します。どうぞよろしくお願い致します」

と可らしい年はにっこりと笑ったのだった。

ちなみに、リティから見てウィンツェンツは可年なのだが、ウィンツェンツから見てリティは、

「小さい子だよなぁ……。僕と同じくらい?でも、僕は同年代の子から見ても大きいし……年下かな?」

と思ったのは緒の話。

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