《貴方を知りたい//BoysLove》#1 突飛な出會い

[翼つばさ 進級おめでとう。これは気持ちです。]

毎月屆く、母からの仕送り。今月はこんなメッセージと茶封筒が添えられていた。まさに俺は今から3年生になって初めて登校する。

「谷川たにかわ翼、部活はやってない。よろしく。」

擔任は今年が初任らしく初々しい。どうやら短い俺の自己紹介にし戸っているようだ。

それでも周りをあまり気にせず淡々と自己紹介を済ませた。

「有馬雪埜ありまゆきの、音楽が好きよ。勉強も運も嫌いだけれど、ご存知の通りなくともあなた達よりは出來るわ。その點今後私を頼っても構わないわよ、どうぞ宜しく。」

普段他の生徒の話など聞きもしないが、有馬雪埜...隨分厄介なのがクラスにいるようだとわかった。

チャイムが鳴り響き、放課後。

俺は〝いつもの場所 〟へ向かう。

そこは昔図書準備室として使われていたらしいが、今は人が近寄らないただの古本置き場になっている。

俺は周囲に誰もいないことを確認して、中にる。

2年の頃からこの場所で眠るのが好きだ。ただ小さな空間の中で本に囲まれ、日を浴びながら靜かに眠ると、ここがどこだか忘れてしまうほど気持ち良く夢の中へり込める。そして今日もそのように眠りについていたのだが...

「起きたかい。」

「え──」

溫かくて大きな手が俺の髪にれている。

「ああ、すまない。あまりにも綺麗な黒髪だったから、ついりたくなってしまって。」

「あの、先生...ですよね?」

スーツ姿の金髪男は落ち著いた表で俺の顔を見つめている。こんなに目立つ教師がいたら、一度見れば忘れるはずはないのだが...。

「そうだよ、今日からこの學校に務めている。君は何年生なの?」

「この部屋を勝手に使っていたのは悪かったです。でも先生も生徒の髪を勝手にっていた。俺もこの事は誰にも言いませんから、見逃して下さい。」

俺はこの場所だけは守りたいという一心で目の前の見知らぬ教師にできるだけ強い口調で説明した。

すると、教師はきょとんとした顔をする。

「私を脅迫しているのかい?安心して、當の私だって人目をはばかってここへ來た。それにし失禮じゃないか?私の質問を無視するなんて。」

俺は本當にのままにしていてくれるかとまじまじと見つめた後で、やっと口を開く。

「...必死になってたのが馬鹿らしいや。3年生ですよ。先生の名前は?」

「ま、君が何かしでかした時にはここともおさらばだけどね。私は櫻宮允樹さくらみやみつき、親がハーフだからがこうなんだ。音楽科だよ。」

「先生、綺麗。」

「Merciありがとう.」

よく見るとスラッとしていてスタイルがいい。まるでどこかの雑誌のモデルの様に思えた。

「そういえば君、私に頭をでられている時に母さんって呟いてたよ。実はかなり寂しがり屋さんなのかな。」

「っ...そんな、俺は一人暮らしなんです。寂しがり屋はやってけないでしょ。」

俺はあまりに恥ずかしくて仕方なくて、目を逸らす。

...無意識って怖い。

「はは、私で良ければいつでも君の〝ママ〟になるよ。おっと時間だ、じゃあね。」

ドアが閉まり、またいつもの靜寂な空間に包まれる。

「なんだよ...」

俺は獨り言をらして髪をった。

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