《殘念変態ヒロインはお好きですか? ~學校一のが「奴隷にして」と迫ってくる!~》プロローグ

それはそれは、どこまでも果てがないように錯覚させる、き通った青空だった。

現在俺達が立っている琵琶高校の屋上から見える景は普段からそれなりに壯観なのだが、今はある一人のがその魅力をより一層引き立てている。俺のせいでプラマイゼロだと? やかましいわ!

「あたし、ゆーっちが──ううん」

そこまで言って、目の前のは小さく首を振る。

がその大きな瞳でまっすぐ俺を見據え直した時、彼のきめ細かな黒髪ボブカットヘアが、春獨特の暖かいそよ風になびく。

この景を模寫すれば、相當な値が付くことだろう。それほどまでに、麗で、優で、綺麗な景だった。俺も一応一端いっぱしの絵師なので、今ペンタブを持っていないことが悔やまれる。

息を呑むような、靜寂。

俺の鼓が、やけに大きく聞こえた。

俺ともあろう者が、を前にして張しているのだろうか? まさか。誰が三次元子《リアルガール》なんかにときめくか。アニメ『3D彼リアルガール』を見る方がまだしくらいときめくかもな。

そんなしょうもない思考を繰り広げていると、涼風は意を決したのか、永遠に続くかと思われた沈黙を破る。

「裕也のことが、好き。だから──」

頬を染めて、はにかむような照れ笑いを浮かべながら。

そして、聲優顔こえ負けの可らしい聲で、核心を告げる。

けれど。けれど、告げられた容は──

「──あたしを奴隷にしてくださいっ!!」

──そのものだった!

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